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熱田神宮、及び2014年12月の読書メーター

本日はまた例年通り、熱田神宮へと初詣に行ってきました。
ただ天候(と言っても、今日は何も降りませんでしたが)のせいか、ここも参拝客は例年と比べかなり少なめでした。

も見ました。下から見上げる格好になった上に写りもよくありませんが。
熱田神宮に鶏がいるのは子供の頃から見ていましたが、近年はしばらく見た覚えがなく……よもや木の上に止まっているのを見ようとは。

熱田神宮 鶏

熱田神宮は神剣・草薙剣が収められている神社、そして草薙剣は出雲でスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した時に出た剣……ということで、宝物館では、現代企画展「神剣のふるさと 出雲の名宝」展が開催されており、それも観てきました。
国宝・重要文化財クラスを含めて出雲大社の収蔵品が数来ており、熱田神宮の収蔵品にも中々の貴重品があって、興味深いものでした。

なお、この時期の神宮前には毎年、「悔い改めよ」とか「イエス・キリスト以外に救いはない」とかいう幟を掲げ、説教を流している人たちがいます。

熱田神宮前

説教は録音で、旗を持っている人はアルバイトでしょうね。寒い中なので楽な仕事でもなさそうですが。
しかしいつも思うのですが、神社の前でこうやってキリスト教を布教する(?)のもどうかというか、異教の参拝でもいいので人が集まるところを狙って、ではあまりにも安直ですし、あえて“異教に戦いを挑む”のだとしても、立っているだけのアルバイトに任せていては説得力がないと思うのですが、どうでしょうか。

 ~~~

さて、先月の読書量(読了したもの限定)は43冊11325ページでした。

読書メーター2014年12月

半分を超える23冊が漫画、しかも実家再読が結構な量を占めるのですが、それにしても月刊40冊を越えたのは久しぶりです。
フランス語の学術書(自分の専門分野とは限りませんが)も3冊読了していますし(何ヶ月も前から読んでいたもの含む)。
問題はいささかドイツ語から遠ざかり気味なことでしょうか。

1年間のまとめも可能ですが、長くなるので貼りません。
389冊95406ページというデータとグラフのみを。

読書メーター2014年12月計


以下抜粋です。

【漫画】

魔法少女・オブ・ジ・エンド 7 (少年チャンピオン・コミックス)魔法少女・オブ・ジ・エンド 7 (少年チャンピオン・コミックス)
(2014/12/08)
佐藤 健太郎

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悪魔の力を得るべく9世代目の魔法少女を捕まえて回る姫路の動き。他方で貴衣達の前には亜種魔法少女を生み出し姫路達に対抗している殿ヶ谷という男が登場、全ての鍵は20年後にあるという。まあ過去に行った時点で未来行きも想定の範囲内というべきか。貴衣とつくねが事態の中心にあった4巻までのセカイ系的状況もマクロな視点から明らかに。そして後半は全ての亜種魔法少女に変身できる「パペット・マスター」の襲撃と迎え撃つ亜種魔法少女の戦い。そして次は変身というか合体…? 魔法少女のパロディらしいネタ……とは言い難いかな、やはり。


話としては当初のパニックホラーからセカイ系を経て、随分とまともな少年漫画らしい展開になった、と言うべきでしょうか?
モチーフこそ異形ですが。


きのこ人間の結婚きのこ人間の結婚
(2014/11/29)
村山 慶

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動物がほとんど存在しない世界で、きのこ人間(雌雄同体)達の活劇。牧人の子アリアラと書記の子エリエラは結婚する。しかし有性生殖で子が残せるかどうかには相性もあり、しかもエリエラは第三王女の想い人だった…。独特の世界観とそれを見せる背景描写は魅力的。アクションは淡々としてスピード感に欠けるきらいはあるが…。後、スケールが摑みにくかったが、この世界では蜘蛛が巨大なのね。


きのこ人間は雌雄同体なので、みんな乳房が膨らんでいます。
表紙の二人を含め、多くは可愛い女の子に見えますが、「書記」の一族は逞しい肉体を持ち、顔立ちも角張って男性的ですが、やはりおっぱいがあります。
「女の子同士」に見えるかどうかは皆さんの判断にお任せします。


ここめ不定点 (まんがタイムKRコミックス)ここめ不定点 (まんがタイムKRコミックス)
(2014/01/27)
竹本 泉

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麦畑小米(通称おこめちゃん)は高校生になっても幼い外見で飛び級生徒に間違えられるほど。友達の武東ゆかりや本当に飛び級で高等部に来ている小学生・三園三々加達と平穏な日常を送り、三々加が部長を務める漫研をはじめとして萌え民謡部等様々な部活に顔を出して回る日々。中盤で進級、2年生の冬までやって全1巻完結。何ということもない緩い日常だが楽しい。作者のきららキャラット連載作品では初めて変な要素の少ない作品だが、まあ平常運転。


1年前に発売されていたのですが、見逃していました。
同作者の4コマ誌である『きららキャラット』における(4コマでない漫画の)連載も4作目になるようですが、今回は変な要素の少ない日常物。雰囲気的にはいつも通りの竹本作品です。


シンリャクモノデ 3 (ビームコミックス)シンリャクモノデ 3 (ビームコミックス)
(2014/12/25)
竹本 泉

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 (前巻の記事

読み切り連作なので続いてもいつ終わってもあまり関係ないとは言え、これにて完結。侵略をテーマにしたシリーズ。猫やらコウモリやらに侵略される日常寄りの話から召喚した精霊に侵略される異世界の話まで。最後はまた交渉部。その他、南の島の話にも交渉部ゲスト出演。そういう相互の繋がりもあり、聖林檎楽園学園を舞台にした変な話も一本あって良かった。しかし今度の聖林檎~の制服は男女が紛らわしいというか、かおるが男とは…。


こちらは3巻続きましたが、今ひとつ売れていなかったようで全3巻完結となりました。
そう言えば、聖林檎楽園学園が舞台になりながら絵理子も先輩も登場しないもの、何か物足りない気も……


瓜子姫の夜・シンデレラの朝 (Nemuki+コミックス)瓜子姫の夜・シンデレラの朝 (Nemuki+コミックス)
(2013/12/06)
諸星大二郎

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日本民話から「瓜子姫とアマンジャク」「見るなの座敷」、西洋から「シンデレラの沓」「悪魔の煤けた相棒」、そして中国から「竹青」の5編。お伽噺を活劇に発展させたものから、古いお伽噺の世界が現在と交錯するパロディめいたもの、不条理な怖さまで縦横無尽なアレンジ、相変わらずの手腕が発揮されている。巫女に課せられた宿命に抗い、アマンジャクと独特の交流を築く瓜子姫がとりわけ印象的(アマンジャクが彼女に成り代わるエピソードが通りすがり的な一挿話に過ぎないものになろうとは)。


「瓜子姫とアマンジャク」は平安時代以前と思われる日本を舞台に、もののけと人間の少女の交流等を絵型シリアスで物悲しい作品、「見るなの座敷」は前近代から現代までが交錯する不気味な話、「シンデレラの沓」はお城の建物や登場人物の服装は前近代ヨーロッパ風なままに、シンデレラたちがパソコンを使って働き、王子様の秘書として書類のコピーを撮ってくるパロディ的設定……と多様で、しかもいずれもセンスに溢れています。


新装版 栞と紙魚子1 (Nemuki+コミックス)新装版 栞と紙魚子1 (Nemuki+コミックス)
(2014/11/07)
諸星 大二郎

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旧版は読んでいたが新作目当てで手に取ると面白くて一気に読んでしまった。胃の頭町を舞台に栞と紙魚子の女子高生コンビが毎回怪事に出会う。ネタの考証などにはこだわらない怪談・ホラーのパロディ系でギャグ度高め。生首を拾ってきて水槽で飼い、中年のオッサン猫が人間に化け、幼女クトルーちゃんがテケリ・リ。モラルとか何でこんなのがいるのかとかは気にしない、全編そんな感じ。怪奇が自然と存在しているお伽噺的世界。結局描き下ろし新作は数ページだけだが生首事件の続きとは。概ね満足。


新装版 栞と紙魚子2 (Nemuki+コミックス)新装版 栞と紙魚子2 (Nemuki+コミックス)
(2014/12/05)
諸星 大二郎

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今回は旧版2巻後半~3巻最後まで。ちょうど頸山城の長姫に関するエピソードが全て収録されることに。恐ろしい敵だったはずだがそこまでの緊張感でもないのはもっととんでもないのが身近にいるためか。それから新レギュラーとして菱田きとら、準レギュラーでゼノ奥さんも登場。ゼノ奥さんの家は『アリス』的な不条理さに満ちていて毎度可笑しい。描き下ろし新作は新手の技巧に凝った作品。水着姿が見られる貴重エピソード。


旧版を既読の方にとっては、この「新装版」の新規書き下ろしは1冊につき数ページだけなので、お勧めするかは迷うところですが……作品としては素晴らしいものです。
旧版では6巻あったものが新装版4巻にまとめられる予定らしく、次の3巻もまもなく発売です↓

新装版 栞と紙魚子3 (Nemuki+コミックス)新装版 栞と紙魚子3 (Nemuki+コミックス)
(2015/01/07)
諸星大二郎

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【美術】

1863 Naiss de La Peint (Folio Essais)1863 Naiss de La Peint (Folio Essais)
(1996/05/01)
Gaetan Picon

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ガエタン・ピコン『近代絵画の誕生 一八六三年』。1863年の「落選者展」とそこに出展されたマネ《草上の昼食》を美術史における断絶にして近代絵画の始まりと位置付ける。絵画が背後の意味を失い、知覚そのものを描くことを目指し、鑑賞するための距離の取り方も変化する。話が文明のあり方にまで繋がる壮大さはあるが、基本はマネから印象派への教科書史観を代表する、というべきだろうか。しかしこれがあくまで現代の我々の視点からであるのに著者も自覚的なこと注目し、こうした史観への批判と合わせて読むとまた面白い。


先月の感触が悪くなかったこともあり、この読書メーターまとめでは引き続き学術書も取り上げてみることにしました。
マネは印象派の父であり近代絵画の父である、マネから印象派の流れが19世紀美術の本流である、マネ最初の代表作は1863年サロンの「落選者展」に出展された《草上の昼食》である……といった見方は、美術史の概説書にも書いてあるか、半ば暗黙に前提されていることです。
しかし本書に対しては、同時代のサロン評などを調べてみると《草上の昼食》は必ずしもスキャンダルを引き起こしたとは言えない――といった批判も存在します。

が、下記の稲賀先生も指摘しているように、実は本書で著者ピコンは1863年の出来事を「同時代人たちが見ることができなかったように見る必要がある」と明言しているのです。
同時代人がどのような反応をしたか、例えば《草上の昼食》がスキャンダルとなったか否か、ということは、ある程度まで実証的に白黒付けられることだと思われます。
しかし、「当時《草上の昼食》はスキャンダルとならなかった」ことから、「《草上の昼食》は(その後の美術史の流れを踏まえて見ると)エポックメイキングな作品である」ことが否定されるのかどうか。
ここに歴史の捉え方に関する難しい問題があります。

なお邦訳はこちら↓です。

近代絵画の誕生 一八六三年近代絵画の誕生 一八六三年
(1998/12)
ガエタン ピコン

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絵画の黄昏―エドゥアール・マネ没後の闘争絵画の黄昏―エドゥアール・マネ没後の闘争
(1997/01)
稲賀 繁美

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1863年の落選者展で《草上の昼食》はスキャンダルを起こしたのか、その裏で忘れられたもう一つのスキャンダルとは。マネ作品の死後売り立てにおけるデュレ等の工作。ゾラ、ボードレール等のマネ評言説の背景。「近代絵画の父」マネ、そして彼から印象派の流れを正道とする歴史観が生まれた過程を緻密な文献研究によって解明する。問題になっているのは、そうした史観を否定して別の真実を掘り起こすことではない。歴史とはある観点から回顧的に形成されるしかないことを自覚した上で歴史形成の構造を露わにする、超メタ的な美術史批判。


先日私も発表してきた新規の学会、「思想文化研究会」が第1回講演会で講演者としてお呼びしたのがこちらの著者である稲賀繁美先生でした。本書は稲賀先生の三部作となる研究の第1弾です。
本書は19世紀当時の新聞、雑誌などの資料(厖大な量!)を緻密に調べ、引用して、「近代絵画の父マネ」「マネから印象派」という史観がいかにして形成されてきたか、そのためにデュレ等がいかに奮闘したかを明らかにします。その意味では極めてマニアック、美術史のオーソドックスな史観やマネの大まかな伝記、代表作品などを知っている人向けですね(図版もモノクロしか載っていませんし…)。
しかし注意すべきは、著者自身言っているように、ここではそうした広く流布している史観を解体することで「別の真実を発掘する」ことが問題になっているのではない、ということです。
「別の真実」もやはり、別の「後世の視点」から構成されたものであり、異なる歴史観同士をぶつけても水掛け論になる可能性が高いでしょうから。しかも美術史の場合は大概「マネは真に偉大な画家だったのかどうか」といった価値観の問題が絡むので、なおさらです。
ここで問題なのは、そもそもそうして回顧的にしか成立しない「歴史」というものがいかにして形成されるのか、という力学の解明であり、その上に立ってしか研究のできない美術史研究者の自覚です。
だから本書は「批判」と言っても美術史を退けるという意味ではなく、自らの足下を問う美術史研究の徹底なのです。


【哲学】

Donner la mortDonner la mort
(1999/03/12)
Jacques Derrida

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デリダ『死を与える』。キリスト教と責任ある主体の関係とその歴史を論じるパトチュカ、アブラハムのイサク献供を論じるキルケゴール等の読解を通して、責任の根底にある「神秘」ではない「秘密」、それに伴う無責任、「死を与える」という審級を露わにする。後半部ではカフカ等を通して語ることと赦しとの関わりを論じるが、問題系は一貫して我が子イサクを生贄に捧げねばならなかったアブラハムのことに通じている(レンブラントの版画がまた効果的)。そこには、一方の他者のために別の他者を切り捨てねばならない我々自身の姿がある。


大学の演習で扱っていたことから。先月の『アブラハムのイサム献供物語』に抄録されている書の一つでもあります。
邦訳はこちら↓

死を与える (ちくま学芸文庫)死を与える (ちくま学芸文庫)
(2004/12/09)
J・デリダ

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読んだ本の詳細な一覧は追記にて。



2014年12月の読書メーター
読んだ本の数:43冊
読んだページ数:11325ページ
ナイス数:614ナイス

スカートの奥を征く者(1) (モンスター文庫)スカートの奥を征く者(1) (モンスター文庫)感想
後輩の西神由美から新発売のVRMMO「FWO」を勧められ、さらにこのゲームはスカートめくりが可能だと聞いた篠山勇司は、スカートめくりを目指しスピードに特化したプレイを始める。ゲームプレイに関する筋は敵との戦いも仲間集めもイベント攻略も然程の見せ場にならず物足りない。スカートめくりもあまりしてないし。簡単に目標達成しては話にならないので、それを主題にしてしまうとかえって描けなくということか。そしてイラストもいまいち。絵への依存度が高いネタはリスキーだった。毒舌ながら勇司にべったりの由美が可愛いのが救い。
読了日:12月3日 著者:マツ
ワンパンマン 7 (ジャンプコミックス)ワンパンマン 7 (ジャンプコミックス)感想
前半丸々使って過去最強の敵ボロスと決着。ワンパンチで倒れなかった時点でボロスの強さは明らかだったが、今回は具体的な描写も相応の内容で良かった。見開き12連続は衝撃的。後半はほとんど番外編で、まだ新展開には入らないが、アマイマスクの(案の定嫌な奴な)本性とメタルナイトの動きが描かれる。それぞれの思惑を抱えてヒーロー達は何を目指すのか。
読了日:12月4日 著者:村田雄介
かくて聖獣<ユニコーン>は乙女と謳う 1 (オーバーラップ文庫)かくて聖獣<ユニコーン>は乙女と謳う 1 (オーバーラップ文庫)感想
「雷霧」の脅威に侵食されつつある世界にて。雷霧に対抗できるのはユニコーンの背に乗る処女騎士達だが、そのほとんどは生きて帰らないという状況にあった。ユニコーンと心を通わせることのできる青年セスシスは、聖士女騎士団の少女達を指導する教導騎士として10年ぶりに表舞台に登場する。主人公は異世界の人間らしく、異世界召喚された勇者のその後という感じでもある。話としては教え子達の初陣までで、名前とキャラを印象付けたのも一部なのでまだこれから。女の子達は可愛いので、今後は敵方の動き次第かな。
読了日:12月5日 著者:陸理明
【急募】賢者一名(勤務時間は応相談) (このライトノベルがすごい!文庫)【急募】賢者一名(勤務時間は応相談) (このライトノベルがすごい!文庫)感想
鳥居千早は「賢者」として、異世界から送り込まれてくる魔物を討つため、クラスメイトの「勇者」鈴木ミカゼを自転車で現場に送る日々。勇者と仲間達の仕事は市役所からの委託で、魔王軍の手先になったクラスメートが闇の儀式として便所飯を行い、戦いも気の抜けた様相で…と日常に勇者を嵌め込んだパロディ的だが、ひどく落ち着いたテンションでギャグとしての味わいは弱い。キャラもごくあっさり味で、地に足の着いたところでキャラを立てたかったのかも知れないが成功しているかは疑問。どちらの方向を追求すれば活きるのかよく検討してほしい。
読了日:12月7日 著者:加藤雅利
Donner la mortDonner la mort感想
デリダ『死を与える』。キリスト教と責任ある主体の関係とその歴史を論じるパトチュカ、アブラハムのイサク献供を論じるキルケゴール等の読解を通して、責任の根底にある「神秘」ではない「秘密」、それに伴う無責任、「死を与える」という審級を露わにする。後半部ではカフカ等を通して語ることと赦しとの関わりを論じるが、問題系は一貫して我が子イサクを生贄に捧げねばならなかったアブラハムのことに通じている(レンブラントの版画がまた効果的)。そこには、一方の他者のために別の他者を切り捨てねばならない我々自身の姿がある。
読了日:12月7日 著者:JacquesDerrida
魔法少女・オブ・ジ・エンド 7 (少年チャンピオン・コミックス)魔法少女・オブ・ジ・エンド 7 (少年チャンピオン・コミックス)感想
悪魔の力を得るべく9世代目の魔法少女を捕まえて回る姫路の動き。他方で貴衣達の前には亜種魔法少女を生み出し姫路達に対抗している殿ヶ谷という男が登場、全ての鍵は20年後にあるという。まあ過去に行った時点で未来行きも想定の範囲内というべきか。貴衣とつくねが事態の中心にあった4巻までのセカイ系的状況もマクロな視点から明らかに。そして後半は全ての亜種魔法少女に変身できる「パペット・マスター」の襲撃と迎え撃つ亜種魔法少女の戦い。そして次は変身というか合体…? 魔法少女のパロディらしいネタ……とは言い難いかな、やはり。
読了日:12月8日 著者:佐藤健太郎
ひとりぼっちの地球侵略 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)ひとりぼっちの地球侵略 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)感想
広瀬岬一は高校入学の日、妙な仮面を付けた先輩女子・大鳥に襲われる。自分は地球侵略にやってきた宇宙人で、10年前に岬一を助けて心臓を与えた、という。地球侵略のためただ一人で派遣され、自分が侵略するため他の宇宙人を相手に密かに戦ってもいる大鳥。一緒に本を読んだりと穏やかな日常を共有しつつ、彼女の手を取って一緒に戦おうという想いを強めていく岬一。本屋と連結した喫茶店や公園に出現する廃車の秘密基地といった風景が素敵。ボーイミーツガールとしてもクラシックながら暖かい雰囲気だが、さてどうなるだろうか。
読了日:12月8日 著者:小川麻衣子
STARGAZER 〜星に願いを〜 (1) (ガンガンコミックス)STARGAZER 〜星に願いを〜 (1) (ガンガンコミックス)感想
十数年ぶりだろうか再読。願いを叶える流星が降り注ぎ、それによって街が破壊され、願いで人が怪物化したり異形の力を手にしたりした終末的的世界で、左腕に星を受けた少年・大空友樹は、人間になった犬の陸王と猫のミケを仲間に、父と幼馴染みの少女・のぞみを捜して旅をする。一つ一つのエピソードは割とあっさりしているが、行く先々で出会う人々の悲劇が人間の浅ましさと強さを共に見せ付けて響く。今読むと、冒頭からはっきりと『創世記』を示唆していたことに改めて気付いたり。
読了日:12月10日 著者:堤抄子
STARGAZER 〜星に願いを〜 (2) (ガンガンコミックス)STARGAZER 〜星に願いを〜 (2) (ガンガンコミックス)感想
引き続き再読。機械の怪物、街を支配する「大王」。願いを叶える星の生み出した強大な敵との戦いを経て、次第に強くなっていく友樹の左手の星。そして、友樹を監視し、呼び寄せようとする「メサイア」の手。しかしそんな友樹も幻を見せる食肉植物により危機に……。過酷なことばかりだが、願いを叶えられたことによる幸せも確かにあった――それは人以外の者たちにも。
読了日:12月10日 著者:堤抄子
STARGAZER 〜星に願いを〜 (3) (ガンガンコミックス)STARGAZER 〜星に願いを〜 (3) (ガンガンコミックス)感想
最後まで一気に再読。ついにメサイアの塔に辿り着いた友樹たち。しかし、世界を立て直し救済すると言いつつ、恣意的な人間選抜を行っているメサイアの実態は…。メサイトと黒幕の正体が明かされる最終巻。この悲惨な世界を神の邪悪さの反映と見なし、ノアの大洪水よろしく世界を刷新しようとするのはサタンであった。神のやり方は過酷で、救い難きを一挙に救う恩寵を齎してはくれないのかも知れない。しかし、そこでもなお希望を摑み取れる可能性があるとしたら、それはきっと人間自身の選択に懸かっている――
読了日:12月10日 著者:堤抄子
ここめ不定点 (まんがタイムKRコミックス)ここめ不定点 (まんがタイムKRコミックス)感想
麦畑小米(通称おこめちゃん)は高校生になっても幼い外見で飛び級生徒に間違えられるほど。友達の武東ゆかりや本当に飛び級で高等部に来ている小学生・三園三々加達と平穏な日常を送り、三々加が部長を務める漫研をはじめとして萌え民謡部等様々な部活に顔を出して回る日々。中盤で進級、2年生の冬までやって全1巻完結。何ということもない緩い日常だが楽しい。作者のきららキャラット連載作品では初めて変な要素の少ない作品だが、まあ平常運転。
読了日:12月11日 著者:竹本泉
La durée bergsonienne comme nombre et comme moraleLa durée bergsonienne comme nombre et comme morale感想
Miraveteの博士論文。ベルクソンの純粋持続は数との類比を持たないものとされるが、著者は持続の内に「特殊な数」を認めねば解決できない問題があると主張、あくまでも有限で連続的な「数としての持続」の存在とその性格を解明していく。後半部は「道徳としての持続」、とりわけ持続にとって創造と道徳のどちらが根源的かを論じ、その解決にも「数としての持続」が意味を持つと主張するが、論の繋がりはやや弱いような。後、数や連続性の概念については補遺で説明があるものの、ベルクソンのテクストに定位した分析としては不満が残る。
読了日:12月11日 著者:SébastienMiravete
プラド美術館――鑑賞案内―― ゴヤ 黒い絵プラド美術館――鑑賞案内―― ゴヤ 黒い絵感想
プラド美術館で購入したもの(1ユーロ)。ゴヤが晩年に住んだ「聾者の家」の壁に描かれた油絵連作《黒い絵》の解説。と言っても、確認されるのはまずもって、謎めいた絵がやはり謎に包まれており安易な説明を許さないことと、伝統的なアトリビュートとは手を切ったゴヤの圧倒的な表現力だったりする。プラド美術館の見取り図と「聾者の家」での元々の《黒い絵》の配置図も載っており便利。ただし、文章は引っ掛かる箇所多し。翻訳の問題か。
読了日:12月11日 著者:バレリアーノ・ボサール
誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ (アリアンローズ)誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ (アリアンローズ)感想
貧乏貴族ユーフォルビア伯爵家の娘ヴィオラは、名門フィサリス公爵家の当主サーシスと結婚する。ただし、サーシスには身分違いの愛人がいるので、対面を繕うお飾りの妻として。しかし旦那様のいない家で、使用人達と一緒に働き家の様子を変えていくヴィオラを前に、サーシスにも変化が…。傷付く様子もなく割り切ってこの結婚を契約として受け入れ、修羅場になりそうでも他人事気分で観察(本当に旦那様に興味がないし)、貴族の奥様らしさも無視して自由に楽しく働くヴィオラと、極端に軽い現代口語調の語りが痛快。楽しかった。
読了日:12月13日 著者:徒然花
この恋と、その未来。 -一年目 夏秋- (ファミ通文庫)この恋と、その未来。 -一年目 夏秋- (ファミ通文庫)感想
夏休みに和田、三好の二人と遊びに行く四郎と未来。秋には文化祭でまさかの女装。だが、未来への恋を決して表に出せない四郎の胸中は苦しく、せめて未来が誰とも付き合わないで欲しいと思うものの…。淡々とした日々に浸透する苦しい想いの描写は秀逸。未来を「女」として読んでしまうと気のない様が辛くもあり、他方でどうせ四郎以外皆女じゃんと思うこともできるかも知れないが、そもそもそうした読み自体を問い質すものがある。ただしテーマ面での評価は最後まで待つことになりそう。個人的には四郎への感情移入だけで済ませられぬものあり。
読了日:12月14日 著者:森橋ビンゴ
誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ 2 (アリアンローズ)誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ 2 (アリアンローズ)感想
旦那様サーシスと仮面でなく本当の夫婦になったヴィオラ。今までの分を取り戻そうとアピールする旦那様だが、高価なプレゼントに高級店を廻るセレブデートはヴィオラに合わず悉く裏目。それでも彼も反省し、ヴィオラの趣味を勉強していて、ヴィオラも心が動く場面が……。とは言え、旦那様が不要な勢いでヴィオラが好き勝手やって、何かあれば今後の生計を気にしている方が断然楽しいのであった。その点ではちょっと物足りない面も。でも平和でいい。見事に裏目に出ている旦那様視点のパートも良かった。
読了日:12月15日 著者:徒然花
UQ HOLDER!(5) (講談社コミックス)UQ HOLDER!(5) (講談社コミックス)感想
フェイトと雪姫の対決。だがひとまず戦いはお預けとなり、フェイトはネギの消息に関わる事と自らの目的を語って去る。状況はネギ―ナギに似ており、歴史は繰り返しているのか……ただ刀太はネギと違い、復讐のような負の面はあまりないのだが、両親に関する記憶を取り戻したらどうだろうか。そして(名前は変わっているが)麻帆良学園に潜入する調査する刀太達。異能力を持つ不死者による連続殺人事件だが、そこには新たな差別にまつわる死者の怨念が絡み…。友情バカな刀太の手がどこまで届くのか、楽しみなところ。
読了日:12月17日 著者:赤松健
四人制姉妹百合物帳 (星海社文庫)四人制姉妹百合物帳 (星海社文庫)感想
内容は同人版で触れた通り。微細な表記を除いてほぼ加筆修正なし。驚異の百合青春剃毛小説。恥毛を剃った「つるつるのあそこ」を見たがるところから始まりつるつるを廻るギャンブル、そして閖村三十人剃毛と凄まじい悪ノリを見せるも、そこから後半は「卒業」を廻るしんみりした青春小説の味わいに。同時に多恵視点が増え、多恵―句美子の関係を通して卒業後の世代に繋ぐ技も見事。最後は剃毛も感動的に。表の式典に対置された、密やかなサロンの儀式。イラストもキャラデザ、箇所とも同人版に忠実でいい仕事。ただ温泉の絵だけ無いのは何故だ。
読了日:12月17日 著者:石川博品
瓜子姫の夜・シンデレラの朝 (Nemuki+コミックス)瓜子姫の夜・シンデレラの朝 (Nemuki+コミックス)感想
日本民話から「瓜子姫とアマンジャク」「見るなの座敷」、西洋から「シンデレラの沓」「悪魔の煤けた相棒」、そして中国から「竹青」の5編。お伽噺を活劇に発展させたものから、古いお伽噺の世界が現在と交錯するパロディめいたもの、不条理な怖さまで縦横無尽なアレンジ、相変わらずの手腕が発揮されている。巫女に課せられた宿命に抗い、アマンジャクと独特の交流を築く瓜子姫がとりわけ印象的(アマンジャクが彼女に成り代わるエピソードが通りすがり的な一挿話に過ぎないものになろうとは)。
読了日:12月18日 著者:諸星大二郎
誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ 3 (アリアンローズ)誰かこの状況を説明してください! ~契約から始まるウェディング~ 3 (アリアンローズ)感想
旦那様が南隣の国との戦争で長期の出征に。その前にデートに行くことになるが、今回は旦那様もヴィオラの好みに合わせてきており、だいぶ接近の気配が…? とは言え温度差は相変わらず。熱心に手紙を送ってくる旦那様に対し呆れてい対処に困るヴィオラ。今回は旦那様と入れ替わりで同居することになる義父母に注意しつつだが、やはり彼女がお屋敷で自由にやっているところが一番痛快なのだった。最後は旦那様にまたちょっと妙な変化が…? で引き。まあ気になる度合いはそれなり。
読了日:12月18日 著者:徒然花
夢見村にて 妖怪ハンター 稗田の生徒たち (1) (ヤングジャンプコミックス)夢見村にて 妖怪ハンター 稗田の生徒たち (1) (ヤングジャンプコミックス)感想
久々の『妖怪ハンター』だが人物設定は記憶朧気。今回は過去の準レギュラーが主役の話なのでちと残念。内容は大学生になって民俗学を専攻する天木薫君が夢を売買する習慣のある村で調査を行う話と、大島君と渚のコンビがかつての同級生経由で得意な海女村に関わる話の2本。前者は夢の売買や奪い合いに群がる村人達がシュール、夢と現実の交差するイメージは流石。夢盗り男が怖い。後者の悪魚はあんとく様を思い出した。どちらも村社会の怖さの話でもあり。巫女的な活躍のヒロイン勢もいい感じ。しかし稗田先生にも後継者が…と思うと感慨深い。
読了日:12月19日 著者:諸星大二郎
新装版 栞と紙魚子1 (Nemuki+コミックス)新装版 栞と紙魚子1 (Nemuki+コミックス)感想
旧版は読んでいたが新作目当てで手に取ると面白くて一気に読んでしまった。胃の頭町を舞台に栞と紙魚子の女子高生コンビが毎回怪事に出会う。ネタの考証などにはこだわらない怪談・ホラーのパロディ系でギャグ度高め。生首を拾ってきて水槽で飼い、中年のオッサン猫が人間に化け、幼女クトルーちゃんがテケリ・リ。モラルとか何でこんなのがいるのかとかは気にしない、全編そんな感じ。怪奇が自然と存在しているお伽噺的世界。結局描き下ろし新作は数ページだけだが生首事件の続きとは。概ね満足。
読了日:12月19日 著者:諸星大二郎
新装版 栞と紙魚子2 (Nemuki+コミックス)新装版 栞と紙魚子2 (Nemuki+コミックス)感想
今回は旧版2巻後半~3巻最後まで。ちょうど頸山城の長姫に関するエピソードが全て収録されることに。恐ろしい敵だったはずだがそこまでの緊張感でもないのはもっととんでもないのが身近にいるためか。それから新レギュラーとして菱田きとら、準レギュラーでゼノ奥さんも登場。ゼノ奥さんの家は『アリス』的な不条理さに満ちていて毎度可笑しい。描き下ろし新作は新手の技巧に凝った作品。水着姿が見られる貴重エピソード。
読了日:12月20日 著者:諸星大二郎
シャルパンティエの雑貨屋さん  1 (アリアンローズ)シャルパンティエの雑貨屋さん 1 (アリアンローズ)感想
小国アルール王国の雑貨屋の娘ジネットは、隣国ヴィルトールのシャルパンティエでの営業許可証を入手したのを機に、独立開店を目指し旅立つ。しかしシャルパンティエは想像以上に未開の地で…。領主ユリウスとの出会いもあって、新天地の開拓が始まる。1巻ではまだ開店にも至っておらず、仲間集め編に相当する内容かと思うが、それにしては共に村を築く仲間達の印象が薄め。もっとキャラ紹介に力を入れても良かったのでは。しっかり者のジネットは魅力的で物語を引っ張ってくれそう。イラストのユリウスがあまり強面でないのが気になるが…。
読了日:12月20日 著者:大橋和代
百器徒然袋 雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑 (怪COMIC)百器徒然袋 雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑 (怪COMIC)感想
何故か拉致監禁され人を刺す猿芝居をさせられた本島君。他方で薔薇十字探偵社には霊感探偵・神無月鏡太郎からの挑戦状が届いていた。殺人事件も起こっているがメインはそこではなく、榎木津を潰そうとする神無月の目論見…でもあまりにも小物。そんな阿呆を叩き潰す榎木津が最高に痛快なエピソード。だから解決編が圧縮されてるのがちょっと残念だが楽しかった。神無月の顔が崩れていくのもよくイメージに合ってる。さて百器徒然袋も後一本か……まだ後一本あるわけだし、その後は今昔続百鬼にも期待しよう。
読了日:12月21日 著者:志水アキ
勇者よ、魔王にデレるとは情けない! (一迅社文庫)勇者よ、魔王にデレるとは情けない! (一迅社文庫)感想
異世界に繋がるダンジョンが出現したのをきっかけに、安国寺大智と園神理奈は、異世界ベルでそれぞれ勇者と魔王でありながら愛し合っていた前世を思い出す。異世界の住人たちやって来てが(しょうもない)騒ぎを起こす中でイチャつきながら駆け回る二人。エロに力入れすぎ。敵のアホらしさは前半の何かに目覚めたユニコーン辺りがピーク、後半は物足りない。さりとてシリアスで盛り上がる訳でもなく。パロネタもありがちで冴えを感じない。イチャつかせるために前世まで出した設定は買うが、修羅場とかもっと描きようがあったのではないか。
読了日:12月22日 著者:高尾瑞夫
カオスノートカオスノート感想
日記風に綴られる不条理ギャグ。かなりのネタが1コマから数コマで完結し、しかもしばしばサイレントに近い形で淡々と展開する。ネタ同士もほとんど連関を欠いたまま。たまに現実にありそうな思いに訴えるものもあるが……。かつての『不条理日記』と比べても圧倒の洗練具合。漫画におけるナンセンスの極北たる衝撃作。女の子の可愛さも相変わらず。
読了日:12月22日 著者:吾妻ひでお
きのこ人間の結婚きのこ人間の結婚感想
動物がほとんど存在しない世界で、きのこ人間(雌雄同体)達の活劇。牧人の子アリアラと書記の子エリエラは結婚する。しかし有性生殖で子が残せるかどうかには相性もあり、しかもエリエラは第三王女の想い人だった…。独特の世界観とそれを見せる背景描写は魅力的。アクションは淡々としてスピード感に欠けるきらいはあるが…。後、スケールが摑みにくかったが、この世界では蜘蛛が巨大なのね。
読了日:12月23日 著者:村山慶
吸血姫は薔薇色の夢をみる 1 イノセント・ヴァンパイア吸血姫は薔薇色の夢をみる 1 イノセント・ヴァンパイア感想
事故で死んだ少年は、ネットゲームの中で自らのアバターだった吸血姫・緋雪として転生した。しかもプレイヤーとして集めた配下のモンスター達は血気盛んで世界を殲滅する勢い。最初は自分より遙かに強い臣下達に内心怯えていた一方、かなりドライでもある主人公のキャラが少し摑みにくかったが、臣下の暴走を押さえ敵の被害を減らそうとしているのに気が付けば征服を進めていってしまう様は中々楽しい。ゲームとは違うようで通じている要素もある世界の謎、同じ転生者と思しきキャラの登場もあって、今後もまずまず楽しみな作品かな。
読了日:12月23日 著者:佐崎一路
1863 Naiss de La Peint (Folio Essais)1863 Naiss de La Peint (Folio Essais)感想
ガエタン・ピコン『近代絵画の誕生 一八六三年』。1863年の「落選者展」とそこに出展されたマネ《草上の昼食》を美術史における断絶にして近代絵画の始まりと位置付ける。絵画が背後の意味を失い、知覚そのものを描くことを目指し、鑑賞するための距離の取り方も変化する。話が文明のあり方にまで繋がる壮大さはあるが、基本はマネから印象派への教科書史観を代表する、というべきだろうか。しかしこれがあくまで現代の我々の視点からであるのに著者も自覚的なこと注目し、こうした史観への批判と合わせて読むとまた面白い。
読了日:12月24日 著者:GaetanPicon
絵画の黄昏―エドゥアール・マネ没後の闘争絵画の黄昏―エドゥアール・マネ没後の闘争感想
1863年の落選者展で《草上の昼食》はスキャンダルを起こしたのか、その裏で忘れられたもう一つのスキャンダルとは。マネ作品の死後売り立てにおけるデュレ等の工作。ゾラ、ボードレール等のマネ評言説の背景。「近代絵画の父」マネ、そして彼から印象派の流れを正道とする歴史観が生まれた過程を緻密な文献研究によって解明する。問題になっているのは、そうした史観を否定して別の真実を掘り起こすことではない。歴史とはある観点から回顧的に形成されるしかないことを自覚した上で歴史形成の構造を露わにする、超メタ的な美術史批判。
読了日:12月25日 著者:稲賀繁美
シンリャクモノデ 3 (ビームコミックス)シンリャクモノデ 3 (ビームコミックス)感想
読み切り連作なので続いてもいつ終わってもあまり関係ないとは言え、これにて完結。侵略をテーマにしたシリーズ。猫やらコウモリやらに侵略される日常寄りの話から召喚した精霊に侵略される異世界の話まで。最後はまた交渉部。その他、南の島の話にも交渉部ゲスト出演。そういう相互の繋がりもあり、聖林檎楽園学園を舞台にした変な話も一本あって良かった。しかし今度の聖林檎~の制服は男女が紛らわしいというか、かおるが男とは…。
読了日:12月25日 著者:竹本泉
海竜祭の夜―妖怪ハンター (Jump super ace)海竜祭の夜―妖怪ハンター (Jump super ace)感想
新作を読んだこともあり何年ぶりかで再読。開始から40年経つ「妖怪ハンター」シリーズ第1弾(収録順が初出順と違っているが)。やはり印象が強いのは表題作の「あんとく様」と「生命の木」の「おらといっしょにぱらいそさいくだ」。他の話は結構忘れてて驚く。「花咲爺論序説」は準レギュラーとなる天木薫・美加の初登場でもあり(初登場時にはイニシャル違うけど)。最初から奇跡の兄妹だったな…とその後の成長を思い感慨に耽る。この話と「幻の木」は結構未解決要素も多いが、当初から続きを書く気があったのだろうか?
読了日:12月25日 著者:諸星大二郎
天孫降臨 (ヤングジャンプコミックス ワイド版)天孫降臨 (ヤングジャンプコミックス ワイド版)感想
引き続き再読。最初の「闇の客人」と最後の「天神さま」は異界から来る鬼(?)にまつわる話。その間に再登場の天木兄妹が活躍する話が挟まれた格好か。「川上より来たりて」は加えて「幻の木」の続編でもあり。話として回収されたような、何とも不気味さが残るような…。奇跡で命と力を得た兄妹の神話的冒険もこれで終わり…かと言うとまだ出番が続く布石も打ってあったり。生命の木を追い続けた橘さんの出番もこれにて終了。しかしこうして見ると、別のエピソードであるものも含めて「生命の木」を巡る緩やかな連作が結構続いたという感じ。
読了日:12月25日 著者:諸星大二郎
黄泉からの声―妖怪ハンター (ヤングジャンプ・コミックス)黄泉からの声―妖怪ハンター (ヤングジャンプ・コミックス)感想
引き続き再読。海辺の町・粟木を舞台に活躍する大島君・渚のカップルが初登場の「うつぼ舟」、願いを叶える遺跡を巡る「蟻地獄」、そして皿屋敷を題材にした表題作の3編。表題作の後編は珍しく東京が舞台になり、高校生になった天木美加も出演。年齢が明言されないことが多かったが、そうか…これ以降、美加は最新作までそれほど変わってないような。ともあれ、皿屋敷のお菊を古事記の菊理媛と結びつける大胆な解釈が魅力的。大島君・渚に関しては、いつも話が海に関わるだけにオチは似たような傾向になりがちなんだろうか。
読了日:12月26日 著者:諸星大二郎
六福神―妖怪ハンター (ヤングジャンプ・コミックスUJ)六福神―妖怪ハンター (ヤングジャンプ・コミックスUJ)感想
引き続き再読。今回は大島潮君・渚のカップルが主役の4本に、雪国が舞台の「産女が来る夜」と河童を題材にした「淵の女」の2本。潮・渚のシリーズは海から漂着するエビスと海難・亡者を巡る話が主。七福神の数合わせを題材にして禍々しく描いた「六福神」は割と自分の思考に合ってて好み。現実と鏡像、生者と死者の入れ替わりを描いた「鏡島」も実にいい感じ。しかし絵的なインパクトな雪囲いの中をやって来る産女。神を欺いて利用しようとする人間の妄念……と言うべきだろうか?
読了日:12月26日 著者:諸星大二郎
闇の鶯 (KCデラックス)闇の鶯 (KCデラックス)感想
再読。『妖怪ハンター』スピンオフと言うか大島潮君・渚が主役の「それは時には少女となりて」と、やはり海の怪異を描いた「人魚の記憶」、元は『京極堂トリビュート』に収録された短編(ここでも稗田先生が登場)、山を開発する企業と山姥の奇妙な多血を描いた表題作に、不思議な砂漠の旅を描く「涸れ川」を収録。大島君達は高校生になったか…それ程変わってないけど。他が2000年代の作品なのに対して表題作は'89年の作で、パソコンのレトロさにそれが現れている。しかし海の恐怖とか原発とか、今見るとまた色々思うものがあったり。
読了日:12月26日 著者:諸星大二郎
稗田のモノ語り 魔障ヶ岳 妖怪ハンター (KCデラックス)稗田のモノ語り 魔障ヶ岳 妖怪ハンター (KCデラックス)感想
再読。『妖怪ハンター』シリーズ随一の長編。例によって筋はかなり忘れてた。魔障ヶ岳の遺跡で稗田達は名前のない「モノ」と出会う。それに名付けた者達の数奇な運命。魔に取り憑かれたゴッドハンド考古学者、神を使役するようになった行者、死んだ男を追い求めた女…。モヒカンにサングラスのパンクな新興宗教教祖・岩田狂天がいい感じ。モノと出会った者の弟子の一人がこれ程の活躍とは。この軽さが得体の知れないものに捕らわれない秘訣だろうか。妖異の女性陣は正体不明だったり生き残ったりしたのも多いが、この得体の知れなさも味の内、か。
読了日:12月26日 著者:諸星大二郎
吸血姫は薔薇色の夢をみる 2 ハウリング・ゾアン吸血姫は薔薇色の夢をみる 2 ハウリング・ゾアン感想
緋雪と同じ「プレイヤー」達が登場、緋雪も窮地に。さらにその背後には正体不明のこの世界の「神」がいるようで…。他方で味方として「獣王」が登場、舞台は獣人の国クレス王国へ。という訳で今回半ば主役なのは「獣王の後継者」レヴァン。主人公が達観しているだけに、サブキャラのこうした成長が見せ場になっていくのだろうか。さらに終盤は帝国との間で一大事に発展。プレイヤーという強敵が出現したとは言え、総戦力で言えば未だ真紅帝国は圧倒的と思えるが、その覇権はどこへ向かうのか…。ジョーイは気概こそ見せても相変わらず馬鹿で安心。
読了日:12月27日 著者:佐崎一路
暗殺教室 12 (ジャンプコミックス)暗殺教室 12 (ジャンプコミックス)感想
いよいよ世界最強の殺し屋「死神」が登場、その多彩にして圧倒的な技能をE組と殺せんせーに向ける。という訳で今回はほぼ一冊vs死神編。中学生が敵わないのは勿論、殺せんせーの暗殺も十分可能と見える実力は衝撃的。E組生徒達の活躍はあまりなく、リベンジは次巻持ち越しだが、他方で烏間先生とビッチ先生に大きな掘り下げと見せ場が。相手は恐らく学外では最強の敵。教室で学んだ暗殺の成果を学外で発揮する「暗殺教室」の(最終ではないにしても)一つの決算とも言うべきものが近いのかも知れない。
読了日:12月27日 著者:松井優征
ニートの恩返し (電撃文庫)ニートの恩返し (電撃文庫)感想
何故か公園で罠にかかっていた鶴を助けた少年・葛城大和の許に一人の美少女が訪れる。しかし蓋を開けてみると彼女はニートのダメ人間で…。動物報恩譚、絶滅危惧種の保護、人間に化けられる「擬人」となった動物の方の立場、それにラブコメと色々あったが、ありすぎて問題点がぼやけた感は否めない。ツッコミを入れて笑うところがいつの間にか真面目に扱われていたような…馬鹿を真面目にやるにしてももう少し突き抜けて欲しい。動物保護のような問題にしても、安易な解答がないのは分かるが、ファンタジーなればこその切り口がないと物足りない。
読了日:12月28日 著者:丸山英人
吸血姫は薔薇色の夢をみる 3 ケイオス・ジョーカー吸血姫は薔薇色の夢をみる 3 ケイオス・ジョーカー感想
特使としてグラウィオール帝国入りし刺客に襲われたレヴァンは皇女オリアーナに救われる。これが機となりグラウィオールと真紅帝国の間の動きも急展開。だがこの話が序盤1/4でほぼ終わり、第2章では厄介者のプレイヤー・パーレンが封印から復活。国一つを吸血鬼化して滅ぼす進撃。初めて真紅帝国の総力を挙げても苦戦する強敵との戦いは流石に見応えがあった。同時にこの世界誕生の背景や黒幕の正体も判明するが、蒼神はすでに底が見えた感も…殺されても死なない影郎の活躍が美味しい。他方、クズの末路を描くことには余り興味がないのかね。
読了日:12月28日 著者:佐崎一路
盟約のリヴァイアサンIII (MF文庫J)盟約のリヴァイアサンIII (MF文庫J)感想
特級魔女ルナ・フランソワが来日。ついに雪風の姫と邂逅する春臣達。そして、潜伏するガラドを狙うドラゴンのラ・エグゾスにより、東京新都が魔術に包まれる…。敵味方共に美味しいキャラの立て方と扱い方、主人公達もプロフェッショナルとしての生活をメインにしたサスペンスムービー的構成の中で上手く絡んでくる日常サイドのキャラ、相次ぐ迫力あるバトルと高水準。主人公は毎回戦闘スタイルが変わっている気がするが、「選帝」の技により、目指す竜王像とハーレムのあり方にも結び付いたスタイルを確立したか。まだ序章の感だが期待大の一品。
読了日:12月31日 著者:丈月城

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プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

実名での仕事
7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
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