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2015年1月の読書メーター

先月の読書メーターのまとめです。
36冊9974ページでした。

読書メーター2015年1月

1冊/1日は超えていますから、まあまあです。
本業に関係する学術書の読了は1冊だけ、というのはまだ物足りませんが。
以下は抜粋です。

【小説】
竜の卵を拾いまして 1 (アリアンローズ)竜の卵を拾いまして 1 (アリアンローズ)
(2014/11/12)
おきょう

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貴族の娘シェイラは、(なぜか鶏卵に混じって)火竜の卵を手に入れてしまったことから、王宮に住み込みで卵から生まれた竜の子ココを育てることになる。ココが割といい子でしかも成長が早いので、子育てでの苦労といった要素は控え目。シェイラと竜との関わり、そしてその中で問われる彼女の生き方が話のメインか。シェイラの秘密があっさり明かされてそれ関連が山場になっている(しかもここではココは脇に退く)だけに、なおさらそう思う。


拾ったか預かったかはたまた超自然的な形で授けられたか、とにかく実の子ではないものの主人公が子供を育てることになる話……というのは漫画等でも時折見かけるジャンルですが、子供というかけがえのなくも思い通りにならないものとの付き合い、それを通しての親の側の成長といった子育ての機微に触れてくる作品は、なかなかありません。
本作は恋愛色の方が強めだった印象です。

ちなみに個人的には、ライトノベルにおける子育て物の名作は断然『B.A.D.』です。


土方美月の館内日誌 ~失せ物捜しは博物館で~ (メディアワークス文庫)土方美月の館内日誌 ~失せ物捜しは博物館で~ (メディアワークス文庫)
(2014/12/25)
大平しおり

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 (前作にしてデビュー作『リリーベリー』についての記事

大学卒業後路頭に迷っていた沖田は、私設美術館の館長・土方美月の助手として働くことになる。休館日には探偵も営む美月は様々な事件に関わり…。モチーフは『遠野物語』、伝説を思わせる場面を現代の事件に重ね、そうした伝説(とりわけ神隠し)の意味を示すという趣向は悪くない。ただ事件も人間ドラマもバラ付き気味かな。美月の推理も快刀乱麻を断つ時から迷走する時まで様々で。皆であらぬ方向に突っ走るようなギャグは相変わらず良かったが、重めのメインストーリーはいまいち物足りない。


デビュー作の作者プロフィールに「古いものと甘いものとコーギー的なものが好き」とあり、そしてデビュー作が「甘いもの」を題材にしていたので今回は「古いもの」という思い入れはよく分かりますが……
現代の事件において(偶然であれ、意味的な相似によるものであれ)伝承や怪奇譚を思わせる場面が出現したり、伝承の意味が現代の事件を読み解くにも役立つ、というのも京極夏彦氏の作品などを思わせて、好みの構成ではあります。
ただ、やはりシリアスなストーリー面での盛り上げはいささか空回り気味。
次回作はまた『リリーベリー』の適度な軽さが読めたらいいのですが……。


サディスティックムーン (電撃文庫)サディスティックムーン (電撃文庫)
(2014/11/08)
出口 きぬごし

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死んだように生きていた久遠久は、幸徳秋良という美少女に脅され、陰陽師たる彼女に仕える式神になるよう迫られる。久と組んで、他人の復讐を代行し、いじめっ子等のクズ達に残酷な復讐を加えていく秋良。秋良の復讐計画は杜撰なのかとんでもない実行力があるのかよく分からず、クズを潰すカタルシスがあるかと言えば微妙。気力を無くした少年と屈折した少女の歪んだ絆、という青春っぽいところに話を収束させるなら途中過程で犯罪に走りすぎ。「自主規制」連呼のエログロ表現も肝心なところを力業で押し流された感あり。


本作のヒロイン・幸徳秋良(こうとく あきら)はいきなり主人公の股間を摑もうとして、勃起しないと知ると彼を「インポテンツ」と呼びます。同性愛の気がある少年の渾名は「アナルセックス」
復讐の手口は公開お漏らし男性器切断。そういう話です。
まあそこまではいいでしょう。

最後は、そんな彼女も実はちょっと屈折した普通の女の子なんだ、という話になっているようですが、そんなことはどうでもいいことに思えてきます。
人格的に普通であろうがあるまいが、犯罪行為は犯罪行為です。
主人公サイドの犯罪行為を肯定するピカレスク・ロマンというのなら、それもいいでしょう。
しかし、行為のことを流して「少年と少女の歪んだ絆」という青春っぽい形で締めてしまうのは、違うと思えてなりません。


定本 百鬼夜行 陽 (文春文庫)定本 百鬼夜行 陽 (文春文庫)
(2015/01/05)
京極 夏彦

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百鬼夜行シリーズ、番外編の短編集第二弾。劇的に本編理解に資するというわけではないものの、読んでいて「これはあの人のこの時の話か」とピースが嵌る感覚が何とも言えない。語り手(あるいは視点人物)の正体や隠していたことが最後に明かされる仕様の話も多いがさすがの出来。心理の襞に暗部に分け入る描写は見事。『陰』に引き続き最後のエピソードはレギュラーキャラに当てられており、今回の「目競」は榎木津の話。次回作『鵺の碑』の前振りらしき話も2本(あるいは3本?)もあり。さてその本編はいつかな……。


本書の旧版が出たのは2012年で、シリーズ本編の最新作『邪魅の雫』から早6年。
講談社と揉めたとかで出版社移動など色々あったようですが、さすがに間が空いたことで若干熱が冷め気味だったこと、それに大きく本編理解に資する訳でもない短編集ということで手にしないでいましたが、この度の文庫化を機に読んでみました。
相変わらず話は重くハードで、そして本編と異なり「憑物落とし」が行われないので、登場人物の主観で不思議なこと、割り切れないことはそのまま放置される、なんとも不思議な雰囲気の物語です。
印象的なのを一つ挙げるならば、母の死を前にも心の動かなかったある青年の話でしょうか。

 その母が死ねば。
 しかも、眼の前で死んでしまったりしたなら。
 僕は――この僕の絵界は、一変してしまうのではないか。
 僕はあの時、そんな莫迦なことを夢想していたのじゃないだろうか。まるで身勝手な話だ。そうなら、僕は実験をしたことになる。母親の命を材料にして。
 実験は失敗した。
 僕は何も変わらなかった。込み上げる哀しみも寂しさも苦しみも、何もなかった。どろどろとした頭の中の鉛は冷えて固まるばかりである。
 つまらない。
 (京極夏彦『定本 百鬼夜行―― 陽』、文藝春秋、2015、p. 239)


「人を殺してみたかった」という類の供述をする殺人事件の犯人に関しては、現実の死が隠蔽されているがゆえに、死に過剰な期待を抱いている、それが通過儀礼になると思い込んでいるのが問題なのではないか――というのはかつて京極氏が対談で語っていたことで、それが生々しく描かれています。

そんな中、相変わらずで癒しなのがセッちゃんこと奈美木セツでしょうか。
『絡新婦の理』で織作家のメイドとして登場した家政婦で、事件があって職を失った後は『百器徒然袋』の「五徳猫」で再登場、今度は東京の信濃という金持ちの家出働いていました。
しかし信濃家の商売も五徳猫の事件でやられて失職、続く「雲外鏡」ではこれも探偵のせいだからと榎木津の探偵事務所に再就職先の斡旋を要求して、「榎木津の兄が日光でやってる外国人向け保養所」を斡旋されていました。
今回登場するのはその後の彼女です。

セツ
 (京極夏彦/志水アキ『百器徒然袋 雲外鏡』、KADOKAWA、2014、p. 68)

というわけで、次回作『鵺の碑』の舞台は日光のようです。
とは言え、その予告編2本を収録したはずの本書旧版が出てからすでに3年なので、どれほど期待できるか分かりませんが……。

定本 百鬼夜行 陰 (文春文庫)定本 百鬼夜行 陰 (文春文庫)
(2015/01/05)
京極 夏彦

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【漫画】
新装版 栞と紙魚子3 (Nemuki+コミックス)新装版 栞と紙魚子3 (Nemuki+コミックス)
(2015/01/07)
諸星大二郎

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 (既巻に触れている記事

引き続き、旧版は読んでいるが新規描き下ろし目当てで。少し掲載順が変わってるようだが、「何かが街にやって来る」が長いので、その前のエピソードが次巻送りになったかな。基本は一話完結ながら、股毛神社のもののけ達、ボリスの仕事、魚の怪物等色々な要素が後々繋がってくるがまた楽しい。侵略者も奥さんには敵わないこともあって全体にコミカル。料理担当として敵に付いては結局寝返る鴻鳥さんが黒い。繭姫は世界を生み直すことに意味があったのか…と考えさせるような、そうでもないような。新作はこの趣向で続けてくるとは。


今までと同じく旧版の順番を変えずに旧版5巻(『何かが街にやって来る』)の半ばまで収録すると長編「何かが街にやって来る」が途中で切れるがゆえのこの体裁、でしょうか。
内容的には他言を要さず。どんな怪異が現れても「まあ何がいても不思議じゃないわよ」というノリで受け入れる栞と紙魚子の女子高生コンビが最高です。


ハクメイとミコチ 3巻 (ビームコミックス)ハクメイとミコチ 3巻 (ビームコミックス)
(2015/01/15)
樫木 祐人

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 (シリーズ既巻についての記事

今回、前半は「なんでもあり」がルールの蜂蜜館にて、コンジュのコンサートを巡り、妨害する古参住人と大立ち回りの中編。後は一話読み切りで、家(大樹の根元)の上の思わぬ住人達と出会ったり、イワシ親方と街に遊びに行ったり、お菓子を作ったり、旅人を迎えたり。相変わらずキャラは可愛く魅力的で、背景の描き込みと食べ物等の描写の細かさが楽しい。中編の分だけ街の印象が強めだが、森の暮らしと街がバランス良く描かれてるのも良い。あののっぺりした顔で髭に覆われてる小人はシュールだけど。


1話完結のシリーズも、長くやっていると連載何回もにまたがる中~長編エピソードが出てくるもので、そういう巻です。
しかし、途中で立ち回りを描いても、最終的に登場人物は皆いい人揃いで綺麗に締めるのが本作の持ち味です。


目玉焼きの黄身 いつつぶす? 4 (ビームコミックス)目玉焼きの黄身 いつつぶす? 4 (ビームコミックス)
(2015/01/24)
おおひなたごう

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 (前巻の記事

今回は焼き肉後編(社長が焼き肉に白メシを否定する真相)、炒飯のすくい方、かき氷のシロップ、そして全てを根本から揺るがすかのごとき「食に興味ない人」を過去最長の3話かけて。「食べ方で排除される辛さを…知って欲しかった…!」妙に人間ドラマ重め、やたらと深刻になっている様が可笑しい。食べ方に現れるのは生き方、妥協が難しいこともあるが、他者との差異を受け入れないと共生はできない。まだ二郎とみふゆがヨリを戻してはいないが…。巻末のアニメ版監督・ラレコとの対談も作者のこの作品への臨み方を物語っていて良かった。


今回は二郎とみふゆが別れたままであることもあって、失ったものとを強調したりとドラマに重いトーンが目立ちます。
まあそれも、「くだらないことに対してここまで真面目にオーバーアクションしている」と思えば見事なギャグですが。

巻末の対談では、今まで二頭身のギャグタッチをもっぱら描いてきたのが、今作では大きくリアル絵寄りに変えていることに関する話が印象的でした。
もちろん、おおひなた氏の過去作品を知っていれば、絵柄を変えていることは明らかなのですけれど(私はそれほど多くのおおひなた作品を知っているわけではないので、初挑戦かどうかは知らなかったのですが)。
ただそれは、やはりと言うべきか、単に小手先の違いには留まらないようです。


ポム・プリゾニエール La Pomme Prisonniereポム・プリゾニエール La Pomme Prisonniere
(2014/12/25)
鶴田謙二

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水の街ヴェネテツィアで、あるいはほぼ水没した廃墟で猫と暮らす少女達。彼女達は毎回のように裸になる、というかほとんど常に全裸。そういうコンセプトがあるのみ。ストーリーはほぼ無く、だらだらした生活の一場面が、台詞も少なくサイレント気味に綴られるのみ。懐かしの伊万里マリエルも再登場だが、そんな訳で話の動きのようなものは特に無し。生活感と猫の仕草の描写は流石。絵の制度がいささか下がっている気はしたが、鶴田謙二は毎号連載中では仕方ないか……。カラーページに5人の漫画家達による寄稿もある豪華本。


帯の裏表紙側に掲載誌『楽園』の広告があるのですが、そこに「21世紀コミック界最大の奇跡!? 鶴田謙二毎号掲載中!!!!!!!」とあります。
まあ遅筆漫画家のトップとも言われる鶴田氏の場合、実際その通りなのですけれど。
その結果(あるいは手段?)がほとんどサイレントのショートショートということですか。まあ相応しいのかも知れません。ストーリー物はほとんど途中で中断していますし……。


勝利の女神だって野球したい! Climax Series勝利の女神だって野球したい! Climax Series
(2015/01/22)
松本 ミトヒ。

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 (前巻に触れている記事

掲載誌の休刊により単行本が出ないところを個人出版とは立派だが、判型デカいな…雑誌サイズか。内容は、初めての練習試合で勝利を摑むことができるのか? そして藍香の姉・蒼依を要する所沢東と県大会で対戦…というところまで。姉妹対決の内容と結末が見られなかったのは残念。試合の魅せ方は手堅いが絵はキャラのアップ中心、グラウンドの様子を俯瞰する構図が少ない分やや状況が伝わりにくく迫力も物足りないか。ともあれ、チームワーク、自分達の手で勝利を手にする喜びが描かれているのは良かったね。


3巻まで続くことは内定、豪華声優陣によるモーションコミックまで作られたというのに掲載誌が休刊……という話ですから、世の中何があるか分かりません。
ちなみにモーションコミックはこちらで配信中。


【学術書(専門外)】
モンティ・ホール問題 テレビ番組から生まれた史上最も議論を呼んだ確率問題の紹介と解説モンティ・ホール問題 テレビ番組から生まれた史上最も議論を呼んだ確率問題の紹介と解説
(2013/12/18)
ジェイソン・ローゼンハウス

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3枚の扉の内当たりは1枚。あなたが1枚の扉を選んだ後、司会者はあなたが選ばなかった扉の内、外れの1枚を開ける(選択の余地がある場合はランダムに)。当たる格率を高くするためには扉を変えるべきか? TV番組から生まれた、専門家の間にも数多くの議論を呼んだ問題。この問題とその様々な変種を通して確率論の基本を伝えるのみならず、確率論という分野の直感に反した難しさをたっぷり扱い、最後には話は認知心理学や哲学にまで及ぶ。非常に面白い。


数学というのはもちろん、多くの素人に難しいと思われている分野ですが、確率論というのはとりわけ直感に反しており、実は当たり前に見えることが当たり前でなく、何でもなさそうなことが多くの問題を孕んでいて、専門家が間違えることが一番多い分野――だとのこと。
そんな世界の一端が味わえます。


読んだ本の詳細は追記にて。

2015年1月の読書メーター
読んだ本の数:36冊
読んだページ数:9974ページ
ナイス数:1003ナイス

B.A.D.チョコレートデイズ(4) (ファミ通文庫)B.A.D.チョコレートデイズ(4) (ファミ通文庫)感想
これで最後の短編集。作中時期的に1巻以前の話が3本というのはある種の原点回帰ということか。当時の状況を想起させる一方、黒幕として事件を設計する異能者は不在で、不幸な経緯あるいは人間の黒さや愚かさが際立つ。七海さんは相変わらず腹黒い……お祖母ちゃんは実在確認されたと見ていいのだろうか。後は5巻頃の白雪視点の話と、13巻後のアフターストーリー。各々の幸せなその後を見られて良かった。ついでに「宵下様」とのクロスオーバーといった小ネタも嬉しい。実在的な怪異と向き合う人間についての透徹した分析小説、完遂を見て満足。
読了日:1月1日 著者:綾里けいし
おいしいサンドイッチの作り方 スタンバイタイム (ファミ通文庫)おいしいサンドイッチの作り方 スタンバイタイム (ファミ通文庫)感想
高二デビューを目指す草加雄馬は、剣道部のエース吾妻剛毅、書道部の眼鏡っ娘・文坂記子と一緒に帰る途中、一軒の喫茶店を見つける。とびきり美味しいコーヒーを入れるが他はからきしの店長・天宮甘美にある才能を見込まれ、バイトするばかりか店で出すサンドイッチ作りまで任される雄馬。自分のことをモブキャラだという主人公のオタク視点とそのノリが強い会話は所々気になるものの、そうして人をキャラ化する捉え方の問題点まで射程に入れているようで好印象。男二人に女一人のラブコメも今の流行からは外れてるかも知れないが爽やかで良かった。
読了日:1月3日 著者:やのゆい
絡新婦の理 (講談社ノベルス)絡新婦の理 (講談社ノベルス)感想
もう何度目か分からない再読。京極夏彦の最高傑作の一つ。街を騒がす連続殺人鬼、女子校を舞台とした少女売春と呪い…それぞれがミステリとしてシンプルながら完成度の高い事件が複数絡み合い、一つ解決すれば次に繋がり、蜘蛛の巣に比せられる巨大な図を描く。そしてフェミニズム、男系と女系の緊張関係といった蘊蓄は機織女の末裔たる絡新婦の形象に結集する。真相を知って読んでも尽きない興味、むしろ初めて全体像が見えてくるところも。呉美由紀は京極作品では一番気に入りヒロインの一人。辛いことばかりだったが、普通に幸せに育って欲しい。
読了日:1月4日 著者:京極夏彦
トリコ 33 (ジャンプコミックス)トリコ 33 (ジャンプコミックス)感想
エアを入手して盛り上がるトリコ達だが、そこにNEOの襲撃。致命傷を負った小松を助けられる食材は、アカシアのスープ「ペア」のみ。というわけでグルメ界エリア7へ。グルメ界はこのままアカシアのフルコースに絞って一気に攻略して行くのだろうか。他の豊富な食材に触れることが少なくなりそうでちょっと残念。全てが巨大な世界、猿達の統制された社会、かつての文明…とエリア7の設定も詰め込み気味だがイメージの豊かさは中々。伏線もかなり回収されてきたかな。
読了日:1月5日 著者:島袋光年
新装版 栞と紙魚子3 (Nemuki+コミックス)新装版 栞と紙魚子3 (Nemuki+コミックス)感想
引き続き、旧版は読んでいるが新規描き下ろし目当てで。少し掲載順が変わってるようだが、「何かが街にやって来る」が長いので、その前のエピソードが次巻送りになったかな。基本は一話完結ながら、股毛神社のもののけ達、ボリスの仕事、魚の怪物等色々な要素が後々繋がってくるがまた楽しい。侵略者も奥さんには敵わないこともあって全体にコミカル。料理担当として敵に付いては結局寝返る鴻鳥さんが黒い。繭姫は世界を生み直すことに意味があったのか…と考えさせるような、そうでもないような。新作はこの趣向で続けてくるとは。
読了日:1月8日 著者:諸星大二郎
La licorneLa licorne感想
マルティーヌ・ブール『ユニコーン』。小さな王国の小さな城に住む小さな王様は、見たこともない動物を森で見かけて欲しがるが……求め、摑もうとするほどに手に入らないもの、しかもそれを二段階で描く。ユニコーンが森の代表だとすればここに描かれているのは人間と自然の関係でもあるのか? と、色々な含意を考える余地もあり、絵本としては模範的で暖かい物語。
読了日:1月8日 著者:MartineBourre
ファング・オブ・アンダードッグ (ダッシュエックス文庫)ファング・オブ・アンダードッグ (ダッシュエックス文庫)感想
文明が崩壊し怪物「鵺」が横行する世界、剣士・府津羅の家に生まれながら出来損ないと扱われてきた少年は、漢字の力で様々な現象を操る「陣士」を目指した。この巻ではまだ主人公が歩み出すところまでという感じだが、彼の負け犬として育てられながらも家と兄に執着する心理描写等は悪くない。相方のユニも可愛い。しかし、作者の食事を初めとした生活感の描写は、異世界を描くには合ってないのではないか。旧文明の遺産ということで現代のものが持ち出せる設定にしたようだが、ちょっとご都合かつ無軌道に過ぎる。
読了日:1月9日 著者:アサウラ
でぃす×こみ 1 (ビッグコミックススペシャル)でぃす×こみ 1 (ビッグコミックススペシャル)感想
女子高生・渡瀬かおる(少年漫画家志望)は新人賞で大賞を受賞して漫画家デビュー……かと思いきや、受賞したのは兄・弦太郎(就活失敗中の大学4年生)が妹の名前で応募した少女漫画だった。これが自分の実力でないことを偽りつつ、マネージャーと称した兄と一緒に担当と打ち合わせを行い成長する妹の物語、あるいは適材適所に配置されなかった兄妹の話。各話冒頭に作中作がカラーで載り、ちゃんとフルカラーで収録されるという凝り具合も楽しい。他の漫画家の修羅場やら編集部の様子やらも描かれるが、業界話はまだ控え目か?
読了日:1月10日 著者:ゆうきまさみ
モーテ ―水葬の少女― (MF文庫J)モーテ ―水葬の少女― (MF文庫J)感想
必ず10代の内に自殺する奇病・モーテの存在する世界。特殊な事情のある孤児施設「ドケオー」にて、マノンという少女を巡る物語。彼女に関わると死ぬという噂、不気味なフォスターのドゥドゥ…。親のエゴ渦巻くえげつない実態、子供の怖さ、絶望的な転落の道行き……心情描写は格別の出来、展開は残酷ながら最後は美しくハッピーエンド。何より、中盤から視点を変えて実態を見ると前半の印象が大きく変わってくる構成、黒幕の手の巧緻さもミステリ的に非常にいい味を出していて好み。良かった。
読了日:1月11日 著者:縹けいか
竜の卵を拾いまして 1 (アリアンローズ)竜の卵を拾いまして 1 (アリアンローズ)感想
貴族の娘シェイラは、(なぜか鶏卵に混じって)火竜の卵を手に入れてしまったことから、王宮に住み込みで卵から生まれた竜の子ココを育てることになる。ココが割といい子でしかも成長が早いので、子育てでの苦労といった要素は控え目。シェイラと竜との関わり、そしてその中で問われる彼女の生き方が話のメインか。シェイラの秘密があっさり明かされてそれ関連が山場になっている(しかもここではココは脇に退く)だけに、なおさらそう思う。
読了日:1月11日 著者:おきょう
白暮のクロニクル 4 (ビッグコミックス)白暮のクロニクル 4 (ビッグコミックス)感想
吸血鬼?に デリヘル嬢が血を吸われ殺される事件が発生。雪村達は吸血鬼同好サイト「カインの裔」を運営するオキナガ・ムラカミに接触するが…。オキナガの「吸血鬼」としての面、それに関する通俗的理解と実態の差等が前面に出た巻。終盤まで来てこれはまだ続くか? と思いきややはり一区切り。1巻ごとにエピソードが区切られるのも話を追いやすくて安心。相変わらず、様々な時代を生き抜いてきたオキナガ達が割と普通の人として生きているこの雰囲気が何とも言えない。
読了日:1月13日 著者:ゆうきまさみ
Bergson et les neurosciences: Actes du Colloque international de neuro-philosophie, Faculté libre de médecine-Institut de philosophieBergson et les neurosciences: Actes du Colloque international de neuro-philosophie, Faculté libre de médecine-Institut de philosophie感想
当時の神経生理学的知見を数多く引用したベルクソン第二の主著『物質と記憶』を巡るシンポジウム。あるいはこの著作を時代の中に位置付け、あるいは哲学的読解を展開し、あるいは現代の神経科学の視点から批判する。実証的批判に関しては、いささか議論が噛み合っていないように思われることもあったが……しかし、それに対する反論とも言うべき、ベルクソンを擁護する論も同時に収録されているので、議論の広がりは十分見られたというべきか。ホワイトヘッドとの比較は少し浮いているような…。
読了日:1月13日 著者:
定本 百鬼夜行 陽 (文春文庫)定本 百鬼夜行 陽 (文春文庫)感想
百鬼夜行シリーズ、番外編の短編集第二弾。劇的に本編理解に資するというわけではないものの、読んでいて「これはあの人のこの時の話か」とピースが嵌る感覚が何とも言えない。語り手(あるいは視点人物)の正体や隠していたことが最後に明かされる仕様の話も多いがさすがの出来。心理の襞に暗部に分け入る描写は見事。『陰』に引き続き最後のエピソードはレギュラーキャラに当てられており、今回の「目競」は榎木津の話。次回作『鵺の碑』の前振りらしき話も2本(あるいは3本?)もあり。さてその本編はいつかな……。
読了日:1月14日 著者:京極夏彦
ハクメイとミコチ 3巻 (ビームコミックス)ハクメイとミコチ 3巻 (ビームコミックス)感想
今回、前半は「なんでもあり」がルールの蜂蜜館にて、コンジュのコンサートを巡り、妨害する古参住人と大立ち回りの中編。後は一話読み切りで、家(大樹の根元)の上の思わぬ住人達と出会ったり、イワシ親方と街に遊びに行ったり、お菓子を作ったり、旅人を迎えたり。相変わらずキャラは可愛く魅力的で、背景の描き込みと食べ物等の描写の細かさが楽しい。中編の分だけ街の印象が強めだが、森の暮らしと街がバランス良く描かれてるのも良い。あののっぺりした顔で髭に覆われてる小人はシュールだけど。
読了日:1月15日 著者:樫木祐人
【Amazon.co.jp限定】異世界ラ皇の探求者 書き下ろし4PリーフレットSS付き (GA文庫)【Amazon.co.jp限定】異世界ラ皇の探求者 書き下ろし4PリーフレットSS付き (GA文庫)感想
一人のラーメンバカがファンタジー世界に転生し、この世界でもラーメンを作り出し、開店し、極めることを目指す…。主人公の鍼がやたらハイスペック、順調にヒロイン達も射止めてハイテンポで進む…一方で、肝心の料理は(無自覚だが)問題あり、それを障害として乗り越える話でもなく(「酷さ」は後半に話題として再燃するが)…とどうも方向性が摑めない。トントン拍子の展開はまずまずだが、全体としては話の流れと主人公の目指す方向が合ってるようなズレてるような微妙さ。主人公がハクパと山奥で暮らしていた事情も不明だし、少し物足りない。
読了日:1月15日 著者:西表洋
モンティ・ホール問題 テレビ番組から生まれた史上最も議論を呼んだ確率問題の紹介と解説モンティ・ホール問題 テレビ番組から生まれた史上最も議論を呼んだ確率問題の紹介と解説感想
3枚の扉の内当たりは1枚。あなたが1枚の扉を選んだ後、司会者はあなたが選ばなかった扉の内、外れの1枚を開ける(選択の余地がある場合はランダムに)。当たる格率を高くするためには扉を変えるべきか? TV番組から生まれた、専門家の間にも数多くの議論を呼んだ問題。この問題とその様々な変種を通して確率論の基本を伝えるのみならず、確率論という分野の直感に反した難しさをたっぷり扱い、最後には話は認知心理学や哲学にまで及ぶ。非常に面白い。
読了日:1月16日 著者:ジェイソン・ローゼンハウス
修羅の門異伝 ふでかげ(8)<完> (講談社コミックス月刊マガジン)修羅の門異伝 ふでかげ(8)<完> (講談社コミックス月刊マガジン)感想
東京ギガンテス戦決着、そして完結。三沢提督は最後の山場となる敵としてはあまりにセコいなあ……と思ったが、理不尽さに対しても最後までサッカーを好きであり続ける姿勢からすれば妥当な設定なのか。衝撃の助っ人イグナシオも、彼を主役にすることなく決めるふでかげ、という構成も良かった。目標が国立競技場なので、決勝戦はついでになることも予想の範囲内だったが、その上でもう一つ魅せて、爽やかに締める。良かった。
読了日:1月17日 著者:飛永宏之
修羅の門 第弐門(15) (講談社コミックス月刊マガジン)修羅の門 第弐門(15) (講談社コミックス月刊マガジン)感想
姜子牙との戦いはEXラウンドに突入。そして……そう、ここまで聞いていなかった「陸奥圓明流千年の歴史に敗北の二次はない」の一言。それをまた聞くまでに、思えば随分と時をかけたものだった。これは流石に感慨深い。他方で回想のケンシン・マエダ戦は思ったよりもあっさりしていてやや残念。とりあえずは姜子牙の残る一手に期待しておこう。
読了日:1月17日 著者:川原正敏
盟約のリヴァイアサンIV (MF文庫J)盟約のリヴァイアサンIV (MF文庫J)感想
新たな竜弑しの秘文字が眠るという、かつて火乃迦具土の居城「竜宮城」を求めて伊豆に向かう春臣達。かくして今回は海で水着回。ヒロインとしてはルナ・フランソワがメイン。陥落とパートナーとして秘文字を与えられることがセットになっているので流れは摑みやすい。敵も僭主でなく竜王との全力対決なのだが、所詮成れの果てなのでランクアップしている感はあまりなく、キャラ的にも印象薄めか。ハーレム、バトル、いずれも着実に歩を進めている感じで楽しめる。M部長の出番がなかったのが一番残念。
読了日:1月18日 著者:丈月城
義妹が勇者になりました。 (アリアンローズ)義妹が勇者になりました。 (アリアンローズ)感想
異世界に勇者として召喚された女子高生・天音と、一緒に召喚された義理の姉・里桜。しかし里桜は闇の力に覚醒してしまい、妹を助け元の世界に変える道を探し召喚した連中に落とし前を付けさせるために密かに活動することに…。妹のことを完璧超人と言いつつ本人も(闇の力や魔法以外にも)やたらとハイスペックでタフ、飲む打つ喧嘩する盗むと荒みまくりの里桜の活躍が痛快。能力は圧倒的だが自分の力との向き合いが話の軸になるのも悪くない感じ。ただ旅立ってからは妹の出番なしで…妹の冒険を陰から助けるという感じは薄い。まあいいか。
読了日:1月18日 著者:縞白
義妹が勇者になりました。 2 (アリアンローズ)義妹が勇者になりました。 2 (アリアンローズ)感想
獣人傭兵のレグルーザと別れ、北の帝国の皇子イールを助けた里桜。ようやく使い勝手のいい魔法を習得して、魔法を使う場面も出てきて、ついでに使い魔も登場。この世界の情勢や歴史も語られ、政治的闘争にも絡んだ彼女の冒険が本格的に始まった感じか。設定はハードそうで展開はそれ程でもないが、今回は型破りな活躍も意外と控え目だったような。しかしレグルーザも天音も本編にはほぼ登場せず、キャラの交代が激しいのもWeb作品的傾向か…と思っていたら、最後で全てが合流してくるようで。設定説明が味気ないのがややマイナス。
読了日:1月19日 著者:縞白
東亰ですとぴあ 〜終わらぬ昭和のあやかし奇譚〜 (桜ノ杜ぶんこ)東亰ですとぴあ 〜終わらぬ昭和のあやかし奇譚〜 (桜ノ杜ぶんこ)感想
昭和89年、百年も欧州大戦が続き、日本は戦前のテイストの街に妖の存在する世界。斎都宮と呼ばれる巫女の香具夜は妖に襲われ、二尾の狐の六本木とコンビで活躍する下街の何でも屋・久坂草平に助けられる。雰囲気は悪くないが、淡々としてバトルもドラマもやや物足りず、アカシックレコードとかが出てきて世界の命運が関わる終盤の展開はついて行けない感が。活劇からそういう大スケールの話に繋げるためには少し道具立てが不足していたか。
読了日:1月20日 著者:くしまちみなと
義妹が勇者になりました。 3 (アリアンローズ)義妹が勇者になりました。 3 (アリアンローズ)感想
ようやく天音およびレグルーザと合流。そして、「黒の塔」の幹部の一人「茨姫」ロザリーとの対決。神話の真相に関わる里桜の正体については引っ張ると思いきや、中盤で割とさらっと明かされたね(まだ残る疑問はあるものの)。やはり彼女は猫だったか…。ただ、相変わらず過去の解説はあまりにも淡々とした説明文に留まっており物足りない。他方で圧倒的な里桜の力のリスクも示され、自らの内なる危険との戦いという面はいい感じ。無自覚ながら義妹とは別の方向で皆に愛され、逆ハーレムも築きそうな里桜の周辺が楽しい。
読了日:1月21日 著者:縞白
ポム・プリゾニエール La Pomme Prisonniereポム・プリゾニエール La Pomme Prisonniere感想
水の街ヴェネテツィアで、あるいはほぼ水没した廃墟で猫と暮らす少女達。彼女達は毎回のように裸になる、というかほとんど常に全裸。そういうコンセプトがあるのみ。ストーリーはほぼ無く、だらだらした生活の一場面が、台詞も少なくサイレント気味に綴られるのみ。懐かしの伊万里マリエルも再登場だが、そんな訳で話の動きのようなものは特に無し。生活感と猫の仕草の描写は流石。絵の制度がいささか下がっている気はしたが、鶴田謙二は毎号連載中では仕方ないか……。カラーページに5人の漫画家達による寄稿もある豪華本。
読了日:1月21日 著者:鶴田謙二
紅盾の皇女と剣の道化 (一迅社文庫)紅盾の皇女と剣の道化 (一迅社文庫)感想
田舎の小国レヴィンシュタイン公国にて、皇女オルテンシアは公家に伝わる魔法の盾に選ばれ、公都を守護する近衛隊の副隊長を務めている。公都は平和な中、派手な活躍で市民を助ける「剣の道化」が話題を呼んでおり…。前半はダラけた主人公が皇女に叱られる近衛隊の日常中心で事件も小規模、いささか退屈だったが、これが平和のために意味がある、という設定はまずまず。ただ、前半で一通りの設定が明らかになって、短~中編エピソード衆的な構成で行くかと思いきや、後半は大きな布石も打ってきておや? と。続きが出るか分からんだけに尚更。
読了日:1月22日 著者:伽遠蒔絵
姑獲鳥の夏 (4) (怪COMIC)姑獲鳥の夏 (4) (怪COMIC)感想
全てが明かされる完結編。久遠寺家の呪いは現代にまで引き継がれ、第三の伝説を生んでいた。世に騒がれる事件とそれぞれの私的な過去、全ての意味の層が繋がり、現実に現れたうぶめの形象に結実しての美しくも悲しい幕引き。しかし原作はあまり再読してないが、今見ると犯人の内的論理に言葉を与え、常識を払い落とす京極堂の憑物落としが中々キツい。漫画になるととりわけ久遠寺夫妻の恐慌がよく伝わり辛い。娘のためと称して自ら因習に縛られ続けた母。院長には医者の不肖の息子として何とも言えぬ想いを抱いてしまう。菅野の変質者顔が衝撃。
読了日:1月22日 著者:志水アキ
殺したがりの天使ちゃんは黒木君の夢を見る。 (MF文庫J)殺したがりの天使ちゃんは黒木君の夢を見る。 (MF文庫J)感想
事故で野球を断念し、周囲からはヤンキーと見なされていた黒木勇人は、ある日空から落ちてきた美少女天使と遭遇、その胸を揉んでしまう。天界では胸を揉むのは婚約の印、死なないと天界には行けないということで彼を殺して連れて行こうとする天使。前半は普通の出来のコメディ、持ち味であるブラックさが天使の言行にストレートに出過ぎていてかえって物足りない。しかし後半、黒木を敵視するクラスの嫌らしさは流石の迫力。過去のことに関するあっさりした説明も程良く、最後も綺麗な締めで良かった。
読了日:1月24日 著者:からて
勝利の女神だって野球したい! Climax Series勝利の女神だって野球したい! Climax Series感想
掲載誌の休刊により単行本が出ないところを個人出版とは立派だが、判型デカいな…雑誌サイズか。内容は、初めての練習試合で勝利を摑むことができるのか? そして藍香の姉・蒼依を要する所沢東と県大会で対戦…というところまで。姉妹対決の内容と結末が見られなかったのは残念。試合の魅せ方は手堅いが絵はキャラのアップ中心、グラウンドの様子を俯瞰する構図が少ない分やや状況が伝わりにくく迫力も物足りないか。ともあれ、チームワーク、自分達の手で勝利を手にする喜びが描かれているのは良かったね。
読了日:1月24日 著者:松本ミトヒ。
目玉焼きの黄身 いつつぶす? 4 (ビームコミックス)目玉焼きの黄身 いつつぶす? 4 (ビームコミックス)感想
今回は焼き肉後編(社長が焼き肉に白メシを否定する真相)、炒飯のすくい方、かき氷のシロップ、そして全てを根本から揺るがすかのごとき「食に興味ない人」を過去最長の3話かけて。「食べ方で排除される辛さを…知って欲しかった…!」妙に人間ドラマ重め、やたらと深刻になっている様が可笑しい。食べ方に現れるのは生き方、妥協が難しいこともあるが、他者との差異を受け入れないと共生はできない。まだ二郎とみふゆがヨリを戻してはいないが…。巻末のアニメ版監督・ラレコとの対談も作者のこの作品への臨み方を物語っていて良かった。
読了日:1月24日 著者:おおひなたごう
二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)感想
バンドを結成し、文化祭でライブを行い…森山燐という少女は一夏を駆け抜けて、病で死んだ。ずっと彼女の隣にいた篠原智は半年前にタイムスリップしてしまう。伝えるべきでなかった想いを今度は最後まで伏せ、燐が笑って逝けるようにしようと決意して…。終盤まで歴史を変えるのでなく一週目のなぞりを目的としながら要所では緊張感を持って見せ、不思議と変わらない歴史の中で心情だけはズレていく描写もお見事。お互いに言えないこと、それゆえに分かる想い、恋愛の対称性と非対称性の間がここにある。最後も切なくも爽やかで泣いた。秀作。
読了日:1月24日 著者:赤城大空
土方美月の館内日誌 ~失せ物捜しは博物館で~ (メディアワークス文庫)土方美月の館内日誌 ~失せ物捜しは博物館で~ (メディアワークス文庫)感想
大学卒業後路頭に迷っていた沖田は、私設美術館の館長・土方美月の助手として働くことになる。休館日には探偵も営む美月は様々な事件に関わり…。モチーフは『遠野物語』、伝説を思わせる場面を現代の事件に重ね、そうした伝説(とりわけ神隠し)の意味を示すという趣向は悪くない。ただ事件も人間ドラマもバラ付き気味かな。美月の推理も快刀乱麻を断つ時から迷走する時まで様々で。皆であらぬ方向に突っ走るようなギャグは相変わらず良かったが、重めのメインストーリーはいまいち物足りない。
読了日:1月26日 著者:大平しおり
オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。 (富士見ファンタジア文庫)オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。 (富士見ファンタジア文庫)感想
女子嫌いの及川弥代は、クラス委員長の美少女・星宮奈々がノーパンなのを見てしまう。怪現象「屈折のデザイア」によりパンツを穿いていると弾け飛んでしまうという彼女の秘密を守るため助けることになる弥代だがが…。弥代が自らの女子嫌いとその原因たるトラウマを理知的に把握して語りすぎで、あまりトラウマという感じがせず。さほど苦しんでないのに言い訳してる感じで印象は悪い。パンツが穿けないという現象で何が出来るか、あるいは変態性についても探求が甘い。ホモネタの使い方も時に引っ掛かる。周辺キャラはいいが、話としては微妙。
読了日:1月26日 著者:佐倉唄
コートボニー教授の永続魔石 (オーバーラップ文庫)コートボニー教授の永続魔石 (オーバーラップ文庫)感想
魔法工学が発達した世界(19~20世紀前半位の感覚)で、大学生で魔工機職人のスービは、永続魔石という夢を追うセノのコートボニー教授と出会ったことで発明家としての道を行き始める。発明とかローグ系ダンジョンとか要素が色々で方向性がよく見えないのだが、中盤まではいかにも発明家伝っぽくて楽しく読めた。しかし後半の盛り上がりは今一、ハーパティ嬢らサブキャラの絡むドラマも唐突過ぎ。外見と仕草は幼女、一人称オレで人妻の教授は新機軸の可愛さ。ただ主人公と教授の関係に意外と発展性がなく、ドラマを牽引しなかったのも難かと。
読了日:1月28日 著者:桜山うす
サディスティックムーン (電撃文庫)サディスティックムーン (電撃文庫)感想
死んだように生きていた久遠久は、幸徳秋良という美少女に脅され、陰陽師たる彼女に仕える式神になるよう迫られる。久と組んで、他人の復讐を代行し、いじめっ子等のクズ達に残酷な復讐を加えていく秋良。秋良の復讐計画は杜撰なのかとんでもない実行力があるのかよく分からず、クズを潰すカタルシスがあるかと言えば微妙。気力を無くした少年と屈折した少女の歪んだ絆、という青春っぽいところに話を収束させるなら途中過程で犯罪に走りすぎ。「自主規制」連呼のエログロ表現も肝心なところを力業で押し流された感あり。
読了日:1月29日 著者:出口きぬごし
簡単に彼を変態とは呼べない簡単に彼を変態とは呼べない感想
クラスメイトの伊南楠臣に告白した乙姫留々子。だが伊南君は「おしっこを見せてほしい」と言ってくる変態だった。他方で乙姫も実は重度のストーカーで…。変態的な題材だが意外に良かった。軽妙な会話で妙に理知的に語られる性癖の分析と対話は楽しいと同時に、「容認できることとできないことの境は何か」「倒錯者いかに付き合うべきか」という問題を結構真剣に問うている。お互いおかしいけど相手に対しては冷静にツッコめるのもいい感じ。ただ、単に対話篇にとどまらず物語を発展させられるかどうかが作者の今後の試金石だろうか。
読了日:1月31日 著者:福本丸太
できそこないの魔獣錬磨師 (富士見ファンタジア文庫)できそこないの魔獣錬磨師 (富士見ファンタジア文庫)感想
魔獣錬磨師育成学園。契約できるモンスターの種類を示す紋章は生まれつき決まっている中で、主人公レインの紋章は最弱のスライム。才能では最弱の主人公が努力と執念とパートナーとの信頼関係で圧倒的格上を破るという話は確かに熱い。ただ、彼を「強い」のでなく「最弱」と見なせるのも「才能」が客観的に明瞭な世界観のお陰とも言えるが…。どう転んでも決め技が地味なのが続けるならネックになる気も。何かと主人公に突っかかるヒロインのエルニアはちょっと負の面を背負わされすぎた気もするが、可愛いことは可愛いし、サブキャラがいい味。
読了日:1月31日 著者:見波タクミ

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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