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王への道とハーレムの道――『盟約のリヴァイアサン』

今回取り上げるライトノベルはこちら。先月の新巻を含めて6巻まで刊行されている作品です。

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本作は基本設定を一通り説明するのに2巻までかけていますので、現段階で作品紹介をするなら、2巻までの内容には触れておいた方が良いでしょう。

本作の舞台はほぼ現代的な世界、ただし宇宙の彼方からドラゴンが「帰還」して20年が経っています。
旧東京のかなりの部分やニューヨークのマンハッタン島などはドラゴン族の租借地となり、人の住まなくなった土地に巨大なモノリスが立っているという状況です。

上位のドラゴンは高い知性を持ち、人間とコミュニケーションを取ることもできますが、非常に好戦的で、発作的な破壊衝動に襲われて地上を攻撃するという習性を持っています。
これに関して「紅きハンニバル」と呼ばれた竜王の取った態度は、「ドラゴンに対して人間が自衛するならば我々はそれを妨害しない」――つまり、自分で勝手に身を守れ、というもの。
しかし、ラプトルと呼ばれる小型種ならばともかく、上位のドラゴンは軍隊でも敵わないような存在。
それに対抗するための切り札となったのが、「蛇」と呼ばれる人工のドラゴンもどきを操る「魔女」たちでした。
魔術への適性が高いのは女性ということで、少なくとも現代において、魔女になれるのは女性だけです。

主人公の春賀晴臣(はるが はるおみ)は、ドラゴンに対抗するための魔術などに関する知識を研究する機関「S.A.U.R.U.」に所属するエージェントで、男ですから魔術は使えませんが、もっぱらトレジャーハンターとして魔術に必要な呪具を獲得するのを仕事にしています。
この度、彼は久し振りに故郷の東京に戻ってきて、高校にも通うことになりました。

しかしそんな中、ドラゴンに襲われて危機に陥り、父の形見の魔道具に仕込まれていた石から「竜弑し(りゅうごろし)」の緋文字を受け継ぐことになってしまいます。
実はこの「竜弑し」の緋文字は、全てのドラゴンたちが求める、「竜王」となるための足がかり(様々な緋文字があるのですが、晴臣が手にしたのは「弓」の文字でした)。
竜王ならざる身でこの緋文字を手にしたものは「僭主」と呼ばれ、ドラゴンたちから狙われる身になりますが、そうしたサバイバルを勝ち抜いて力を身に付ければ、やがて竜王となることができる、というのです。
ちなみに生まれの種族は関係無く、竜王への階梯を登ればその身もドラゴンになっていく、とのこと。

降りることはできないこのレース。
35歳までに財産を築いてのんびり隠居するのが夢で、怠けるためには努力を惜しまない晴臣は、いったいいかなる奇策を以て臨むのか……


本作は魅力的なヒロインを取りそろえたハーレムラブコメ、そして熱いバトルと両面において密度の高い作品です。
ただ、主人公の戦闘スタイルが確立するまでに3巻くらいを要しており、それまでは毎巻のように戦い方が変わる印象もありますが、これも先達の導きを当てにすることはできず、自ら「王の道」を切り開かねばならない主人公が自分で工夫して自らの形を見出す過程であることを考えれば、納得できるものです(彼に緋文字を与えた赤い着物の少女・火乃迦具土(ひのかぐつち)はかつての竜王の亡霊ですが、何でも気前よく教えてくれるような人物ではありません)。
晴臣自身が武器や魔術を操って戦うこともできますがけ、決め技はヒロインたちの操る「蛇」に晴臣が力を与え「まがいものの竜王」に仕立てる「選帝」で、これはハーレムのバトルの優れた融合形の一つでしょう。
ヒロインたちと次々に仲良くなることで戦力が増していくだけではなく、心臓に直接魔力を送り込むためとかいった理由で彼女らの胸を揉むなど、エロ描写の理由作りも欠かしません。
さらに――

「……待てよ、王様か。いっそ十條地織姫あたりを看板代わりの王様に仕立てて、僕とかが摂政や大司教に収まるのも面白いかもな。アーシャじゃカリスマ性が足りないから王様って柄じゃないし……」
 (丈月城『盟約のリヴァイアサン III』、メディアファクトリー、2013、p. 234)


この晴臣の台詞はもちろん、ヒロインの操る「蛇」を「まがいものの竜王」として立てて戦わせる彼の戦い方と呼応しています。
彼の「王」としてのあり方は、竜の力を駆る戦いと女性関係という二つの方面で、精確に対応しているのです。
まことに興味深いことです。

ヒロインたちの織り成す恋愛模様もまた楽しいものです。
晴臣のクラスメイトで、1巻で新たに魔女になるお嬢様・十條地織姫(じゅうじょうじ おりひめ)(2巻表紙)が圧倒的にヒロインらしく美味しいところを持っていく一方、晴臣の幼馴染みで特級認定(マスタークラス)の魔女、アーシャ(アナスタシア・ルバシヴィリ)(1巻表紙)は野性的な大食らいで、仕事に関しては晴臣と気心の知れた仲ですがさっぱり異性として見られてはおらず、女子力を磨くべく修行を始めたりしますがつねに空回り気味。5巻から新たな手で攻勢に出たりしていますが、その副産物で異変も……?
織姫の従妹で以前から東京を守る魔女として働いてきた白坂羽純(しらさか はずみ)(6巻表紙)は誰からも「天使」と形容されるくらいの純真ないい子で、晴臣から教わったことを何でも熱心に聞いてメモまで取っている可愛い後輩です。私も含め教えたがりの男には堪らないタイプですね。
それから、アーシャと並ぶ特級認定魔女のルナ・フランソワ(4巻表紙)は、手管を弄して男を落とす腹黒い少女ですが、根は純だったようで比較的あっさり落ちました。

以上が魔女であり晴臣の仲間として共に戦うヒロインたちですが、その他にもう一人、主人公のライバルで真ヒロイン(作者談)として竜王の一人、雪風の姫(3巻表紙)がいます。
上位のドラゴンは変化することもでき、彼女も普段は人間の少女の姿――というより彼女の場合、いざとならないとドラゴンの姿になれないようですが、しかしその実態は晴臣の持つ「弓」と対になる「矢」の緋文字を持つ竜王
彼女との関係は一体どうなるのでしょうか。


本作のもう一つの特徴は、一応主人公が高校生であるものの、アクション部分は学校やその周辺を舞台にするのではなく、車で街を駆け回るアクションムービー的な展開が多いことでしょうか。4巻では伊豆、5~6巻ではアメリカと、東京を離れて出張もします。
何しろ、晴臣と一緒に高校転入したアーシャはもちろん、一般人のクラスメイトとして出会った織姫もすぐに魔女になっており、仲間内ならば日常会話からして「S.A.U.R.U.」の仕事や晴臣のことに関する話をしていたりしますから、どこに出張しても変わらぬ日常を展開できます。

とは言え、魔女でも「S.A.U.R.U.」関係者でもない一般人サイドにも、負けじと濃いキャラがいます。
何しろ、晴臣たちが誘われて加入する部活からして「UFO研究会」ですが、この場合の「UFO」とはドラゴンのこと。もちろん、一般人の高校生が部活動で「研究」できる内容が高が知れているのですが、なかなかにマニアックです。
何より、そのUFO研究会を含む5つの部活の部長を兼任するM部長(推定体重140キロの肥満体で黒いドレスにオネエ言葉の性別不明、とモデルはどう見てもマツコ・デラックス)が圧倒的な存在感を誇ります。
魔術は使えずとも謎の異能力を発揮し、それで違和感がありません。

3巻では東京がドラゴンの手によって封鎖され、一般人のクラスメイトでUFO研会員である武藤さんや船木さん、それにM部長も巻き込まれて、非常事態の中で晴臣たちと一緒になるという、これまたアクションムービー的な展開がありましたが、こういう展開での彼女たちの使い方も堂に入ったもので、また非常時でも逞しい彼女たちの姿が印象的です。


さて――
私が本作を読んでいて何を思いだしたかと言えば、『魔法先生ネギま!』です。

複数のヒロインたちと次々に契約を結ぶことで力を与え、彼女たちと組んで戦うという設定はもちろん、主人公がやがて人間でなくなるという事態も共通しています。
ただ、バトルのあり方に関しては違いも際立ちます。
『ネギま!』が「男女でパートナーを組んでのバトル」という方向からは徐々に外れていき、山場の戦闘は主人公がタイマン(1対1)を張る傾向が強くなったのに対し、本作はヒロインとのコンビプレイで決めるという方針がここまで揺らいでいません(同様のことは『魔弾の王と戦姫』についても言えます)。

総じて、少年漫画のバトルは「男の世界」という色彩が強いのに対して、ライトノベルの方がバトルヒロインの陰が濃い、という気がします。
それだけに、ハーレムとバトルの融合を描くにも、向いているのかも知れません。

ただし……
最新6巻では、晴臣のドラゴン化による真のリスク(肉体がドラゴンになるものの相変わらず人間の姿にもなれるのなら、それはまだそこまで深刻ではない、と言うこともできました)と、ヒロインたちの存在が彼をいかに繋ぎ止めるかが語られ、彼の女性関係にまたも大きな動きをもたらしそうな布石が敷かれました。
そして、人間を辞めつつある身であるがゆえに、ヒロインたちとの関係について逡巡する部分があることも、確かに描かれました。

怪人物・M部長は晴臣の恋愛運を見て、――慧眼にも彼の抱える事情を見抜き――言っていました。

「おかしいわね。恋愛事情が全然見えてこないわ」
「そりゃ見えないでしょう」
「いえね。アンタはとてつもなく大きくて厄介な運命に呑みこまれつつあって、恋愛運なんてチャチなものがどこかに吹き飛んでいる……。そんなふうに見えるのよね」
 (『盟約のリヴァイアサン II』、メディアファクトリー、2013、p. 104)


王たる者、ハーレムの一つや二つ築いておかしくないのかも知れません。
しかし他方で、王への道を行くからには、恋愛どころではなくなるという可能性もあります。
ハーレムと恋愛が別だと考えれば、両者は両立するのかも知れませんが……
晴臣の巻き込まれた運命は、彼女たちを侍らせる理由になると同時に、肝心要のところで一線を引く理由にもなり得るのです。

この問題に関して本作がいかなるアプローチと答えを見せてくれるのか、とても楽しみです。

 ―――

本作はコミカライズされており、漫画版も今月3巻が出る予定です。
こちらの質も悪くないのではないでしょうか。

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プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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