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「難しい」と「易しい」

先日の記事を書いた後でさらに思い当たったのですが、結局母が単位を出すことを見越してデータを丸写しにして来たのであれば、やはりその学生は相当に「頭が良」かったのかも知れません。

この辺で一旦その話からは離れて、一見するとちょっと別の話をします。
「現代アートは難しい」「分からない」と言う人は多いですが、それに対して現代アート業界に関わっている人の中には「いや、むしろ現代アートは易しい」と言う人もいます。曰く、昔の西洋美術は様々な歴史的背景や表現されている内容、表現の仕方の「約束事」を知らなければならないけれど、現代作家はずっと我々と共有するものの多い世界に生きて、作品を作っているから、というのです。お爺ちゃんがお孫さんと一緒にギャラリーに来て楽しんで行った、と言った話もあるそうです。
(美術鑑賞に求められる知識と現代作家との関係については、語りの妙についても参照)

鑑賞に知識はいらないというのは、古典的な言い回しを使うなら「考えるな、感じろ」というところでしょうか。しかしこの「感じる」を古典的な美的感受性の意味で取ってしまうと、では…と現代アートの作品を見てみたが、やっぱり何がいいのかよく分からない、ということになりがちです。心を開いて見れば誰でも容易に分かる…とは行きません。

では結局現代アートは「難しい」のか「易しい」のか。
こう問う時には前提として、「分かる」ために求められる知識や理解力が多いものの方が「難しく」、少ないものは「易しい」という考えがあるのではないでしょうか。
しかし、知識や理解力がある位のことで分かる訳ではないものもあるのではないでしょうか。それは確かに「簡単に分かる訳ではない」という意味では「難しい」のですが、上の「求められる知識や理解力の量」を基準とした意味では難しいとも易しいとも言えない、あるいはその基準による「難しさ」をいくら延長しても辿り着けないもののはずです。

この知識がある、理解力がある、あるいは効率よく問題を処理できる、上手く勉強するポイントを押さえられる、といった能力を一般に「頭の良さ」と呼べるでしょう。
しかし、大学の教室で教えられるようなこと――一応にも「学問」たらんとするものが、「頭の良さ」なんぞに頼って何とかなるものかどうかは、話が別です。「分からないのは頭が悪いからだ」と思う方も、その点を考えてみて欲しいのです。
                           (芸術学2年T.Y.)

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テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

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