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四属性が調和して丸く――『俺と巫女たちの方陣輪舞』

昨日は大阪梅田で開催されたベルクソン哲学研究会に参加、研究発表もしてきました。

京都から大阪は近くと言えば近くなのですが、それでも阪急電車で河原町~梅田間は45分程(運賃400円なので、易くて速いと言っていいとは思いますが)。
終電の時間を気にしつつ懇親会の二次会まで参加して、帰宅した時には深夜1時頃でした。

 ~~~

さて、今回取り上げるライトノベルはこちら。一迅社文庫の新作です。

俺と巫女たちの方陣輪舞 (一迅社文庫)俺と巫女たちの方陣輪舞 (一迅社文庫)
(2015/03/20)
浜倉 修

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作者はプロフィールによると、例によってシナリオライター出身の作家で、本作が小説家デビュー作となる方のよう。
今回ライトノベルデビューに当たってペンネームも変えたとのことで、またあとがきも見当たらないので、それ以上の詳しい素性はよく分かりません。

本作の舞台は、地水火風の四種の精霊の力を操る精霊術が社会において大きな役割を担っているファンタジー世界です。
主人公のリューズ・ボイルは山間部の農村に住む平凡な16歳の少年でしたが、ある日水の精霊術に目覚めたことで、トロッケン精霊学院に入学することになります。
といっても、本来トロッケン精霊学院は精霊に仕える巫女を養成する女子校だったのですが、近年水術科の学生が極端に不足していたという事情もあり、特例で、諸手を上げて歓迎されつつ学院に入ることになります。
この手の、「本来は女性だけが使える技能を使える男の主人公が女子ばかりの組織に入ってハーレム」というのも今や定番の一つですが、本作の場合、「精霊術が使える男性も稀にいるが、普通は女性だけで足りているのでその修行をすることはない」、ただこの場合「水系の巫女が不足していた」という設定により、主人公の例外性をやや抑え、無難な設定になるよう気を遣っている感があります。

さて、リューズの妹ルビィ(元気なボクっ娘)も火の精霊術士で、学院では兄より先輩、最初に学院でリューズを案内する立場でもあります。
さらに、リューズが入学してから出会うヒロインとして、風の精霊術士シェイラと、土の精霊術士ティータがいます。
属性のイメージ通りの性格と言いますか、気ままなシェイラは短期間で上級に昇格した天才ですが、自分の才能をひけらかしたがる目立ちたがりで、また才能にかまけて努力をしたがりません。他方、ティータは生真面目なマニュアル人間で、やはり能力は高くまた努力を重ねてもいますが、不測の事態にはひどく弱いところがあります。
しかし、リューズとの関わりがそんな彼女たちにも影響を与えます。

ヒロインたちもまずまず可愛いですし、リューズは真面目かつ、精霊術では初心者ながら有事にも冷静な好人物です。精霊術士としては格下ながら、先輩のヒロインたちに助言できる場面があるのも、確かな人間的下地あってのことでしょう。
序盤、村人からは「ボイルさんとこのボンクラ」扱いさったり、精霊術を行使しながら「俺のやることなんか、信用できると思うのか?」と大真面目に言っていたりと、自他共に認める冴えなさを強調する場面もありましたが、別にこれも客観的に三手の彼の能力の低さや、あるいは自己評価の低さを示すものではなかったようで。
むしろ、彼がちょうどシェイラとティータの間で、適度な真面目さと力の抜けたところを併せ持っていることを物語っていたのかも知れません。

というわけで、お互いに出会い力を合わせての成長、それにラブコメ……と安定したつくりではありますが、物足りなさも否めません。
主人公は精霊術の初心者として一から学び始め、格上の相手と勝負したりもするのですが、壁に当たって苦労したりする展開はあまりなく、努力描写もそれほど見当たりません。
終盤の強敵との対決も、最後まで展開は常識的に予想される範囲を出ず、盛り上がりの弱さを感じます。

何も、壁に当たって苦労するという展開ばかりが魅せ場だと言いたいのではありません。
ただ本作は全体に、読者を引き留める「引っ掛かり」に乏しいのです。
あまりに引っ掛かりすぎると読み進めなくなりますが、何も引っ掛からないと印象にも残りません。

本作の基本設定として、四つの精霊の力の調和が大切で、そのバランスが崩れると精霊獣が出現し暴れたりと災禍に繋がる、とされています。
それは異なる属性を操るキャラ同士の関係にも反映されており、そのこと自体はいいのですが、作品そのものも、調和して滑らかに纏まりすぎ、アピールとなるような尖りをも失ってしまっているような……

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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