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きっと皆に愛されて――『義妹が勇者になりました。 4』

さて、今回取り上げる小説はこちら、「小説家になろう」の女性向け作品を書籍化しているレーベル「アリアンローズ」の今月の新巻――『義妹が勇者になりました。』の4巻です。

義妹が勇者になりました。 4 (アリアンローズ)



 (このシリーズについての記事

前巻で主人公・里桜の正体を含む世界観の謎は大部分説明された本作ですが、「勇者」たる里桜の義妹・天音は今回ようやく、いわば最初のダンジョンに挑むところです。
実力的にも里桜は最初から最強で無敵なのに……というこのズレも見所の一つでしょう。

とにかく、今回最初のダンジョンとでも言うべき「風の聖域」に赴き風の大精霊と契約する予定の天音ですが、相変わらず過保護な里桜は先回りして風の聖域を視察し、魔物に侵食されていると知ると魔物を一掃しにかかります。
里桜が独立して冒険を進めている感の強かった話にあって、過保護に妹をサポートする様は原点回帰でもあります。
しかし、風の魔法しか使えない聖域で風の精霊獣の暴走を止めねばならないという困難なミッションに直面するのですが……内容的には困難なミッションも、展開としては割とあっさり片付けてしまいます。
むしろ、「困難なミッションをクリアする過程」といった部分で魅せる気があまりないというか、その辺をサックリと済ませるための無敵設定という感すらあります。

里桜は強力な魔法が使えるとか喧嘩が強いとかいうことよりも、敵視する相手には容赦せずえげつないその性格が痛快な主人公です。
彼女たちをこの世界に召喚した首謀者の一人であるアースレイ王子(召喚される相手の迷惑など考えない傲慢な人だった)が豹変させられるくだりは今回一番笑いました。

今回も風の精霊の力を得たり、魔法の杖を入手したり、幻術を操る怪盗「幻影卿」と対決することになったり、はたまた新たな魔導書を手にしたりと、力と縁には事欠かない里桜。
彼女自身は、義妹の天音の方が美人でモテると信じていますし、天音に関しては従者を初めとする取り巻きの男たちが想いを寄せて暴走しかねない雰囲気なのは事実ですが、里桜もトラの獣人の傭兵レグルーザとヴァングレイ帝国第七皇子のイール(竜人)という二人の男といい雰囲気だったり好意を持たれたりしていますし、さらに精霊の類には妙に好かれている印象があります。3巻書き下ろしの、元の世界にいた時に怪異と遭遇したエピソードをも考え併せると、実は人間以外の種族に愛されているのは彼女の方なんじゃないかと思うくらい……
そしてもちろん、姉妹の仲は非常に良いですし。
その辺も楽しいところです。

ただ、前巻で戦った「黒の塔」の連中は今回登場しませんでしたし、「幻影卿」も今回は前振りのみという感じ。
大きな謎こそ概ね解決されていますが、そうした(様々な敵味方との関わり、その中で得た力も含めた)多様な縁がどれだけ物語に活かされてくるかが、今後どれだけ魅力ある作品になれるかに関してはポイントでしょうか。

他方、この世界では無敵であっても、当初からの目標である「元の世界に帰る」ことに関しては、未だ見通しが暗い(というより、かなり絶望的な)まま。
そんな中だからこそ、この世で唯一境遇を共有している姉妹の絆が光るのでもありますが……その点で、過去、元の世界にいた時のエピソードを描く番外編「義姉の日常。」と天音視点の書き下ろし番外編「お姉ちゃんだから」もいい味を出しています。
基調は軽妙な物語にあって困難な目標というこの点はどうなるのか、それはもちろん、作品の最終的な評価に関わる見所となるはずです。

相変わらず、ただ説明すべき内容を並べているだけの説明箇所と、粗さの目立つイラストは今一つ。

前巻から半年以上経っており、そして現段階でWeb版の最新話まででは次の単行本化には足りていないので、次巻はだいぶ先になりそうです。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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