オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
いよいよ『絡新婦の理』連載開始
角川書店から講談社へ、掲載誌ばかりか出版社も移動してのシリーズ新作です。
(原作小説についての記事)
実は今回、(保存するには良いかと思い)雑誌を電子書籍で買ってみたのですが、ビューアを立ち上げた際に不具合、再起動するも上手く読み込めないなど散々でした。
どうも漫画の場合、テキストのみよりも情報量が多いので形態が変わることが影響しているようですが、主な原因は我が家のPCの性能のようです。
だいたいコンピュータは余計なプログラムを入れるとどんどん劣化するのであって、こういうリスクを考えると電子書籍は割に合わないという私の思いはますます強化されました。
閑話休題。漫画の話に入ります。
本作の原作は時系列的にはラストとなる京極堂と真犯人の対決が冒頭に来る構成になっており、その後の第1章は刑事・木場修太郎が連続殺人鬼「目潰し魔」の事件を追う話だったのですが、意外なことにこのコミカライズは原作第2章の呉美由紀パートから始まりました。

原作だと「学校は石で出来ていて、迚(とて)も冷たい」で始まるこのパート。
学校を檻に喩えるモノローグもちゃんと原作をなぞっています。
まあ、真犯人との対決はさすがに、絵にすればそれで犯人が分かってしまうのでそれを外すのは当然の処置ということでしょう。
この京極堂と真犯人の対決するプロローグの最後が「それが、絡新婦の理ですもの」という台詞で締められているので、個人的にはここでタイトルロゴが入る流れまで頭の中で映像化されていたのですが、まあそれだとアバンタイトルが長くなりすぎるでしょうし(小説にして8ページ)。
そもそも、自分の頭の中ですでに映像化されているものは人に描いて貰わなくていいという考えもありますね。
それはそうと、女学生が主役のパートから始めるのは掲載誌(少年誌)を考えてのことでしょうか?
原作の構成だと、プロローグと章間のパートを除けば概ね時系列順になっているのですが、過去の出来事を説明している箇所も多いですし、そこに絶対的にこだわる必要もないのかも知れません。
京極作品で一番気に入りのヒロインである呉美由紀が思ったより早く見られたのは嬉しい限りです。
上のカラー見開き右にいる二人組の左、背の高い方が美由紀です。
長身でアクティブで、親友の小夜子(カラー見開き右の方)に比べると自分は女の子らしい可愛さがないと思っている(でも榎木津に言わせれば可愛い)と、そんな彼女のイメージがよく出ています。

芯が強くて、基本は庶民ですけれど(父親は水産会社社長ですけど要するに漁師の家)、生徒同士だと「~てよ」と女学生言葉らしいものも。

小夜子を気遣う美由紀の関係は、原作よりもだいぶ百合の雰囲気が強めでしょうか(これは『ルー=ガルー』のコミカライズでもそうでしたが)。

キリスト教ミッション系学園の建物や、修道服をイメージした制服もよく雰囲気が出ています。


そして重要なギミック「黒い聖母」。
この像の前で殺したい相手を呪うと、その相手を殺してくれるという噂があるのですが……

原作を読んでいると、この像の然るべき特徴をちゃんと描いていることが分かります。この辺も抜かりなし。
内容としては、原作第2章の始まりから半ばまで。このペースだと次号で一区切りになると思われます。
物語の展開にはまだ絡みませんが、最後に京極堂も顔見せ。
それから、同誌には京極夏彦・志水アキ両氏の対談も掲載されていました。
短いものですが、「大人になること」を主題としつつ、このコミカライズに当たっての両氏の態度にも触れていました。
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始まりは学園オカルトから――『絡新婦の理』(漫画版)1巻
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