オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
歴史はどこまで繰り返したのか――『UQ HOLDER! 7』
ただし手短に。
(前巻に触れている記事)
前巻の最後で刀太の前に現れたネギの旧い友人――それは『魔法先生ネギま!』の生徒たちの一人で、龍宮真名(たつみや まな)でした。

(赤松健『UQ HOLDER! 6』、講談社、2015、p. 186)
彼女が魔族のハーフだという設定は前作で判明していましたが、80年経ってもまるで変わっていないとは思いませんでした。
彼女は元々老けている……というかまったく中学生に見えなかったから余計に変わっていないというのもありますし、純潔の魔族の寿命がどれくらいか分かりませんが、ハーフなら人間の数分の一くらいは歳を取るものと……
まあ、中年の姿で出てこられても誰も喜ばないだろうし難しいところかも知れませんが。
今回彼女が刀太に持ちかけてきたのは、「まほら武道会」への出場。
『ネギま!』でも開催されたイベントですが、本格的な魔法や武器の使用もありの、むしろ魔法世界編での闘技場に近い派手な大会に変貌を遂げていたようで……

(『UQ HOLDER! 7』、講談社、2015、pp. 24-25、クリックで画像拡大されます)

(同書、p. 28)
過去の大会映像には、『ネギま!』の懐かしい顔ぶれもちらほら。
ちなみに脇役の人外キャラですが、今回の大会参加者にも前作で見たキャラがいたりします。
龍宮がそんな誘いをかけてきた最大の理由は、今大会の参加エントリーの中に、行方不明で公式には死亡扱いとなっている刀太の祖父・ネギの名前があったこと。

(同書、p. 30)
エントリーだけで姿は見せていないので、詳細は不明ですが……
そこに現れたのが雪姫=エヴァンジェリンとフェイト。
しかも雪姫がエントリー用紙に触れると、ネギとナギの姿が出現します。

(同書、p. 46)
会話が成り立っているところを見ると単なるビデオレターのようなものではなく、通信が繋がっている模様。
しかし、そこに「始まりの魔法使い」の介入が……

(同書、pp. 48-49、クリックで画像拡大されます)
これを見た雪姫は自分とフェイトが大会参加して対処すると宣言、刀太には手を引くことを命じます。

(同書、p. 54)
さすがにショックを受ける刀太。
それは雪姫への想いもあってのことか……

(同書、p. 58)
とは言え、肝心なことをなかなか説明してくれないのはいつものことですが、訳も言わずにただ引っ込めと言われて大人しく従う奴がいないのも定番。
刀太は飛び出し、そして図らずも武道会の予選に参加することになってしまいます。
しかしそんな中、刀太を「兄さん」と呼び敵視する正体不明の襲撃者が……

(同書、p. 126)
そして明かされる刀太の正体。
5巻では刀太の年齢が4歳だという前振りがあったので、割とすんなりくる種明かしでした。そもそも前作では、ネギは10歳で不老不死になったから子供はできない可能性が高い、という話もありましたし(まあ完全に不老なのか確言はされていませんでしたが。なお外見については魔法で変えられますので)。
それに久々に触れられて思い出しましたが、彼は魔法が使えないというのも第1話でさりげなく触れられていましたね(この理由はまだ不明ですが、やはり特殊な出生と関係がありそうです)。
それと後は、前作とは逆に「男の友情」へのこだわりからスタートした主人公の刀太が恋愛にぶつかる時は来るのか、というのは少なからず興味のあった点でしたが……新たに会ったヒロインと云々より、まず一番身近な女性であった雪姫への想いが……というのは、これまた割と自然な展開だったと思います(姉のような保護者でもあり教師でもあった彼女との関係は、男女関係のみには回収されない複雑さがあるのかも知れませんが)。
追記ではもう少し前作のネタバレに触れて。
前作『ネギま!』における主人公ネギの父ナギとその敵であった「始まりの魔法使い」については、断片的にしか語られていないことも多いのですが、それでも情報を寄せ集めれば以下のことは判明しています。
・「始まりの魔法使い」は「魔法世界」という異世界(実は火星上に作られた世界で、『UQ HOLDER!』では「裏火星」と呼ばれている)を作った魔法使いであり、死んでも復活できる不滅の存在、少なくとも2600年を生きている(西洋魔法の上位呪文は古典ギリシア語なので、古代ギリシア人で西洋魔法の創始に関わる人物の可能性が高い)。
・『ネギま!』本編の作中年代からさらに20年前、ナギは「始まりの魔法使い」を倒したことになっている。
・しかし不滅である「始まりの魔法使い」は滅ぼされてはいなかった。他者の肉体を乗っ取るかそれに類する能力を持つ「始まりの魔法使い」を、ナギは自らの肉体を乗っ取られながら自分ごと封印した。これが『ネギま!』本編の10年前。
・20年前の戦いでは、ナギの師ゼクトも乗っ取られていると思われる。
『ネギま!』最終話では、肉体を乗っ取られていたナギをネギたちが救出することに成功していたのが描かれていました。
以下は、『UQ HOLDER!』がパラレルワールドではなく『ネギま!』最終話の続編であるという仮定に基づいて話をしますが、今作ではそれでも「始まりの魔法使い」自身が滅ぼされたわけではなく、その後も(おそらくは80年経った『UQ HOLDER!』の作中にあっても)戦いは終わっていなかったことが判明しました。
「君の…いや…『造物主』の…『始まりの魔法使い』の『共鳴り』は既に君を…」という今回のフェイトのネギに対する呼びかけは、ネギもかつてのナギと同じく「始まりの魔法使い」に乗っ取られていること――より正確には、フェイトがそう考えていることを示唆します。
だとすれば、まさしく歴史は繰り返していたことになります。
ただ、それに対するネギの「いや 違う」という返答は、むしろ実態はそれとは少し異なることを示唆しているようでもあります。
いかなる限りで歴史は繰り返されたのか、この戦いに終止符が打たれる日は来るのか……期待しています。
それと、それに比べるとやや小さいことではありますが、龍宮が「古い友人に頼まれて」アマノミハシラ学園の学園長代理をしていたことも気になります。
彼女が代理という立場で登場して、現学園長や「古い友人」の名が出てこないところも、いかにも裏がありそうです。
アマノミハシラ学園の前身であり『ネギま!』の舞台である麻帆良学園の学園長は、『ネギま!』メインキャラの一人・近衛木乃香(このえ このか)の祖父である近衛近右衛門(このえもん)でした。
とすれば、現学園長は近衛家の子孫で「古い友人」は木乃香というのが一番ありそうですが、ただここで引っ掛かるのは、刀太も近衛姓であることです。
今回判明した彼の出生からすると、近衛家と直接血の繋がりはないことになりますが、ならばなぜこの姓なのか。
殺されたとされる刀太の「両親」とは何者だったのか。
そもそも、この展開で未だに近衛家が登場しないのはなぜなのか。
龍宮が「刀の祖父(=ネギ)の友人」として関わってくるだけで、あたかも近衛家が介在していないかのような態度なのも、どうも裏を感じてしまいます。
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