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ここまでは実にホラー的な

一昨日(6月20日)、昨日(21日)と京都ユダヤ思想学会の学術大会に行ってきました。
さしあたって私が研究していることに直接関わるような内容ではなかったものの、かなり多様な分野の専門家の方々が集まる場で、とても興味深いものでした。

 ~~~

して、例によって懇親会に出ていたりしたため連日ですっかり遅くなり、更新も遅れてしまいましたが、そんな間に『マガジンspecial』の発売日がやってまいりました。
京極夏彦『絡新婦の理』のコミカライズ(漫画:志水アキ)の第2話が掲載です。


 (前回の記事

内容的にはほぼ予想通り、原作第2章の後半で、これで聖ベルナール女学院編は一区切りとなります。

ただし、一つのアレンジとして、原作ではエピローグに当たる最終章でしか登場しない語り手の関口巽が先に顔見せ、また原作では中盤であった妖怪「絡新婦(じょろうぐも)」の紹介も一足先に入ります(詳しい妖怪蘊蓄はまた今度ですが)。

絡新婦の理 第2話1
 (京極夏彦/志水アキ「絡新婦の理」第二話『マガジンspecial No. 7』、2015年6月20日、pp. 60-61クリックで画像拡大されます)

今回、ストーリー上は関口が重要というわけではないのですが、掲載誌が移動したこともあり、原作やコミカライズのこれまでのシリーズを知らない新規読者に馴染んでもらうための配慮かも知れません(新規読者がどれくらいいるのか分かりませんが)。漫画版は女子校から始めましたが、この後はおっさんが主役のパートが続いたりもするわけですし。
考えてみれば、原作だと『画図百鬼夜行』の妖怪図像の引用は冒頭、本文の前に来ているわけですから、ここで妖怪を見せておくのは正当とも言えます。

内容としては、前回で学院内に人を呪い殺す儀式をやっている集団がいると聞き、接触した美由紀と小夜子。小夜子は教師の本田から性的暴行を受け、本田を殺すことを望んでいます。

絡新婦の理 第2話2
 (同誌、p. 65)

今回、いよいよ問題の儀式を行っている集団「蜘蛛の僕」の一因・麻田夕子から詳しい話を聞くことになります。

夕子の曰く、「蜘蛛の僕」は悪魔崇拝者の集団で、神を冒瀆するために売春や呪いの儀式を行っているというのです。

絡新婦の理 第2話6
 (同誌、p. 77)

まあ、呪いなんて胡散臭いものはともかく、売春は一つの事実。健全な女子中学生である美由紀にとっては、売春の方がずっと衝撃的なのは当然のことですが、夕子の曰く、呪いは成就してしまった、とのこと。

絡新婦の理 第2話5

絡新婦の理 第2話7
 (同誌、pp. 77-78)

こうして読むと、原作の時よりも学園ホラー的な雰囲気を強く感じます。
やはり表情が描かれる漫画は感情表現において大変豊かなジャンルであって、「呪い」が現実のものとなって脅える彼女たちの恐れが切々と伝わりますから。

考えてみれば、「日常を生きていた中学生たちが信じがたいものの作用する非日常の世界に巻き込まれていく」という流れは、少年誌的な冒険物語の王道展開でもありますし(小夜子の受けた性的暴行という、元々日常的とは言い切れない要素はありましたが)。
魔女等々のモチーフに、取り返しのつかない世界に巻き込まれてしまった少女たちの苦しみ、美由紀と小夜子の間に溝が生じる場面などを見ていると、『魔法少女まどか☆マギカ』を思い出す向きがあったとしても理解できます。
と言っても、もちろんこちらの原作の方がずっと先ですし、あまり直接の影響関係を感じたことはありませんが。


キャラ的には、学園創設者の孫、「織姫」こと織作碧(おりさく みどり)が登場。
黒髪ロングでふわふわして超然とした雰囲気の美少女、ということでほぼイメージ通りです(日本人ですから皆黒髪のはずですが、とりわけ彼女については黒い髪と目に白い肌が強調されていました)。

絡新婦の理 第2話3
 (同誌、p. 88)

そして、「黒い聖母」(?)の出現

絡新婦の理 第2話4
 (同誌、p. 98)

派手な柄の着物を被っている時点で黒い聖母像とは違いも大きいのですが、それを「もしや黒い聖母」と思わせる演出も十二分なものでした。


さて、次回から原作第1章に入るとすると、「呪いによって(?)殺人事件が起こった」という導入の後に、その殺人の詳細を描くことになります。むしろ繋がりは分かりやすくて良いかも知れません。
ただ、閉ざされた学園でのオカルトから東京の殺人事件へと、舞台と雰囲気の切り替わりは著しいものがあるでしょうが(これまでのシリーズを読んでいれば、木場パートのイメージはある程度予想できます)。

もちろん、章による雰囲気の違いは、描く順番に関わりなく存続しますし、怪談やホラーのような導入から徐々に理詰めで解決される事件へ、という展開は同シリーズの『狂骨の夢』などでも同様でした。
ただ、本作の場合は女学生の呪いと連続殺人事件とが同じ事件の異なる顔であるというのが、個々の場面について実態が解明された後ですら容易には理解しがたい、それゆえにこそ事件の核心だったわけで、その乖離を漫画でイメージ化して描いてくれるのは、とても楽しみです。
私もこの漫画版で読んで、改めてそうしたパートによる雰囲気の差異を実感したくらいですから。

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