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時を超えたボーイ・ミーツ・ガール――『UQ HOLDER! 8』

今回取り上げる漫画はこちら、『UQ HOLDER!』の新巻(8巻)です。
ただ、ただでさえ『魔法先生ネギま!』の続編あるいは第2部という色彩の強い作品ですので、前作のネタバレは少なからず入ってくることをご了承ください。今までは追記に回したりしていましたが、本作ももう8巻、前作の内容は最初から前提されていた部分もあるわけですから、それに関してある程度のネタバレはやむなしとさせていただきます。


 (前巻の記事

さて今巻、「まほら武道会」の予選では順調に勝ち進み、先のステージである「地下闘技場」(この名称からはついつい『グラップラー刃牙』を思い出しますけれど)に進む刀太。
しかし、上位ランカーにはさすがに苦戦し、連敗を喫します。

UQ+HOLDER!8巻1
 (赤松健『UQ HOLDER! 8』、講談社、2015、p. 19)

ここでも前作で見覚えのあるキャラも。

UQ+HOLDER!8巻2
 (同書、p. 21)

そんな中で彼の前に現れたのは、「狭間の魔女」ダーナ・アナンガ・ジャガンナータ――「貴族」と呼ばれる吸血鬼の真祖であり、雪姫=エヴァンジェリンの師でした。

UQ+HOLDER!8巻3
 (同書、p. 37)

イメージ的には『ハウルの動く城』の荒れ地の魔女を思い出します。

UQ+HOLDER!8巻4
 (同書、p. 77)

この台詞が『もののけ姫』のモロの君の「黙れ小僧!」に被ることもあって、私の中では彼女の声のイメージが完全に三輪明宏になりました。
(ちなみにさらなる余談ながら、刀太の武器の重力剣――通称「黒棒」――は前巻辺りから喋れることが明らかになりましたが、『仮面ライダードライブ』のベルトさんのイメージが重なってクリス・ペプラーの声で再生されたり。まあこちらは時期が違えば違うイメージになったような気がしますが)

なお、前作ではエヴァンジェリン(今回の内容に沿って、ここからは本作での通り名である「雪姫」ではなく本名に基づいた通称「エヴァ」の方で呼びましょう)も「真祖」と言われていましたが、今回は彼女自身がダーナについて「お前〔=刀太〕や私がニセモノだとするならコイツはホンモノだ」(同書、p. 40)と言っています。
吸血鬼によって吸血鬼化された人間がいわば二次的な吸血鬼であって、「真祖」とはそれとは別なのだろいうことまでは理解できます。おそらく、さらに言えば本作においては人間を真祖化する魔術というのがきわめて異例なものであって(エヴァはその実験台にされたわけですが)、そもそも生まれながらの真祖というものが存在しているのでしょう。
ちなみに刀太はエヴァによって吸血鬼となったという話でしたが、今回彼の不死化の要因は別にあるということが明言され、彼が吸血衝動や吸血鬼の弱点を示さない理由も明らかに。ただ、これはいくつかの設定を考えると決して設定返しとは言えません。その辺は後述します。

それはそうと、ダーナが新たな「師匠」となってふたたび修行編に入りますが、ダーナはただ圧倒的な力を持っているだけではない、明確に不死者としての生き方を説く師匠です。

UQ+HOLDER!8巻5
 (同書、p. 79)

今までも刀太は様々な人物に教えを受けてきましたが、たとえ不死者の組織たるUQホルダーの中でも、不死のメカニズムは人物によって様々ということもあり、この点に関しての「教え」はあまりありませんでした。
しかし、不死者なればこそ、再生・復活の仕方だって訓練の対象になるのです。
この修行において、刀太が持っている力の実態と、魔法を使えない理由も明らかに。

前作の主人公・ネギにも3人の師匠がいました(他の人物からもある程度の教えを受けたことはありますが)。

・古菲=総合力では必ずしもネギより強いわけではないが、拳法という必要なスキルを備えている師匠
・エヴァ=魔法というネギにとっても専門の分野で高度な技能と実力を備えており、もちろん圧倒的に強い師匠
・ラカン=真似できそうにないがとにかく桁違いの実力者である師匠

一方では当然実力は高い方が師匠として良いような気もしますし、他方でいくら凄くても真似できない相手からは学びようがないようにも思われます。
しかし、それはいずれも絶対ではありません。学ぶ側が何を求め、学び取ろうとするかによって、いずれかの面を満たさなくとも様々な相手が「師」たりうるという学びの機微を『ネギま!』は描いていました。

本作のダーナは高度なスキルを持ち、それぞれの適性を見て具体的な教えを与えてくれるという点ではエヴァに近いのかも知れませんが、しかしその人格の破天荒さはラカンに近いものがあります。
むしろ、後述する内容に絡んだ部分も含めて、ご都合主義的なくらいのハイスペックをそのキャラの濃さによって押し通すのが作者なりの技法でしょう。


そして何より――「狭間の魔女」の通り名の通り、時空の狭間に存在するダーナの宮殿は一時的に異なる時代とすら繋がることが可能な場所であり、刀太はかつての(吸血鬼になって間もない時期の)エヴァと出会います。

UQ+HOLDER!8巻6
 (同書、p. 86)

これまた懐かしい、チャチャゼロたち人形も登場(この時点では、まだ独自の人格は持っていないようですが)。

UQ+HOLDER!8巻7
 (同書、p. 113)

というわけで、エヴァの過去や吸血鬼になった時の絶望も描かれる、実は彼女の過去編という印象の強い巻でした。
キャラの掘り下げという面で、前作からの課題を引き受けたとも言えるでしょう。
もちろん、サブキャラ一人一人の過去を細かく描かねばいけないという道理はありませんし、それをしたからといって作品の完成度が上がるとも限らないのですが、しかし描こうと思えば十分に描く余地のあった、そしてまたファンサービスにもなることなのは確かです。

いかにも拾われた孤児よろしくボロボロの格好だった彼女が心を開き、女の子らしくお洒落になっていく過程も見所。
何より、本来出会うはずのない二人の、『ジェニーの肖像』を思わせる時間的ずれを含んだ一時の出会いという題材も、いささかの切なさがあってとても良いものでした。
前作では、こういう要素はあったとしてもせいぜいサブキャラのエピソードでしたしね。

とりあえずエヴァの魅力と、やはり本作のヒロインは彼女だったことを再確認した巻でした。



設定に関して少しばかり追記に回します。



刀太に関しては、ネギと明日菜、前作の主人公とヒロインの持つもっとも希少なスキルを併せ持つ、いわばサラブレッドだったことが明らかになりました。
この内、ネギの「闇の魔法」に関してはすでに判明していましたが、もう一方はきわめて重要なことが今回初めて判明。
もっとも、それは二つの能力をそれぞれにネギや明日菜のように発揮するのではなく、全く新しい彼なりの形になりそうですが。

前々から言ってきましたが、明日菜がネギにとって恋愛面でのヒロインになりうる人物だったのかは、最後までそれほど定かではありませんでした。
ネギの好きな「本命」を聞いた時の明日菜の反応を見る限りどうも、その「本命」は明日菜自身ではなく、また明日菜もそれを笑って応援していた、としか取れないのですよね。
おまけに血縁も示唆されており……

前回現れた刀太を兄と呼ぶ少女は、明日菜をネギの「パートナーだった」と言っていますが、これが「ただ一人のパートナー」を指すのかどうかもまた明瞭ではありません。

ただいずれにせよ、ネギには子供はできなかった、そしてだからこそ、いわば二人の間の子供のように二人のスキルを併せ持った「子供」としての刀太が作られ、続編の主人公となっている――そういう感じがします。

そして、刀太の不死化も実は「闇の魔法」のせい、という話でしたが、これは前作の以下の設定を思い起こすとおおむね理解できます。

・エヴァを吸血鬼化したのは「始まりの魔法使い」
・「闇の魔法」はエヴァがその吸血鬼の肉体をもって編み出した秘法であり、「始まりの魔法使い」の力に近い
・ネギは「始まりの魔法使い」の血を引いていたがゆえに、「闇の魔法」による魂の侵食を乗り越え、吸血鬼に近い不死者として生まれ変わった

(今回、「闇の魔法」を創ったのが「始まりの魔法使い」だと書かれていましたが、正確にはこうです)
つまり、そもそもエヴァの吸血鬼の力と「闇の魔法」の力は通じているのであって、だからエヴァの血を受けることにより、刀太はたんに吸血鬼化したというよりも、それが呼び水となって「闇の魔法」が覚醒、ネギと同様の転生を果たした――のではないかと思われるのです。エヴァによって吸血鬼化されのだというこれまでの話と、それ以前から備えていた「闇の魔法」のせいだという今回の話が矛盾するわけではないというのは、そういうことです。
この辺に関しては、今後の説明次第でまた多少の修正を求められるかも知れませんが。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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