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冒険には行かない、ただ窓越しに関わるのみ――『風呂場女神』

ストレスを少なくするため、余計なことに関わらないで生きたいと思いつつ、ついつい要らぬものに手を出してしまうのが困ったものです。

 ~~~

今回取り上げる小説はこちらです。



このレジーナブックスも「小説家になろう」のWEB小説書籍化を主として手がけているレーベルで、本作もその例に漏れず。
作者の小声奏氏は『賢者の失敗』で商業出版デビューして2作目となります。

実のところ、私はそれほど未書籍化のWEB小説は読まないのですが(書籍化されたものを買う前に目を通してみることはよくありますが)、本作は珍しくたまたま書籍化の報を聞く前に(全てではありませんが)目にしたことがあったもので、書籍化を知って改めて「何でも書籍化されるものだ」と実感したりしました。
ただ、読み終わってみるとなるほど、商業出版されても驚かないだけの質はありました。

本作の主人公は現代日本に生きる風呂好きのOL・玉野泉(たまの いずみ)
ある時、彼女の家の浴室の窓が異世界に繋がってしまいます。
砂漠で遭難している男に水を与えたのを皮切りに、この異世界の様々な人たちと出会い、「呪い師」「女神」「天使」などと好き勝手に呼ばれつつ、藁しべ長者のごとくアイテムを交換して彼らを助け、やがて異世界の歴史を動かす泉――

現代日本から異世界に召喚される話は無数にありますが、本作は主人公が異世界に行ってしまうことなく、徹底して窓越しの関わりに留まるのが特徴です(一時的に少し向こうの世界に飛び出したり、向こうの人を風呂場に招き入れてしまったりすることはありますが)。
しかも、登場する時は基本的に入浴中なのでほとんど裸。
でもそんな、異世界の出来事の当事者になりきらない彼女のポジションがタイトルとオチに上手く繋がっていて、なかなか感心しました。

気っ風が良くて物怖じせず、情に篤くて次第に異世界のことを気にかけ、積極的に関わるようにもなる泉のキャラもいい感じで、ご都合主義も何のそのと物語を引っ張ってくれます。

ただ、上で「藁しべ長者のごとく」と書きましたが、異世界の独自の効能を持ったアイテムで泉が得をしていたのは最初の内だけで、途中からは次の人が必要とする物品と情報を得て伝達するだけになっていきます。
異世界のアイテムで風呂生活がどう変わるか……という楽しみがあまり続かなかったのは残念。

異世界の固有名も「フーロン」「セツケン」「ロテン」等々と徹底して風呂ネタ……と言いますか、いい加減なネーミングと言うべきでしょうか。



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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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