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作風として原点回帰、か――『出番ですよ! カグヤさま』

今回取り上げるライトノベルはこちら、逢空万太氏の新作です。



ゲーマーズ限定特典は2ページのショートストーリーですが、本編中で描かれていることの裏舞台で、特に意外な情報などの出てくる内容ではありません。

カグヤさま リーフレット

その他、ゲーマーズでは限定クリアファイルもセット販売中。

カグヤさま クリアファイル

さて、本作の主人公は高校入学してまだ間もない少年・支倉結太(はせくら ゆうた)。流星を見に行ったところ、空から一人の少女が落ちてきます。
彼女はカグヤ・∀(ゼン)・ハインライン――失政によって追放された月の元女王でした。
月に戻るためには善行を積まねばならないのですが、目標値が善行ポイント100に対して彼女の現在のポイントはマイナス53万と道遠し。

そんなわけで、現代日本の少年のもとに非日常の世界からやって来た美少女が波乱を巻き起こすラブコメディ、という基本はデビュー作『這いよれ!ニャル子さん』やその後の『ヴァルキリーワークス』と同じ。基本は日常のドタバタを描きつつ、バトル展開もきっちりあります。
それから、主人公が女顔の少年というのも同作者の全作品を一貫しており、今回も変わりません。ただ本作の結太は珍しく一人称が「俺」だという違いはありますが……それと、結太がことさらに自分の低身長を気にしているのも

本作ならではの特色は、主人公が母親仕込みの(超常現象染みた)武術を使う武闘派で、ヒロインのカグヤが月の超科学「黒科学(ブラックアート)」で武器を生み出すマッドサイエティストだという取り合わせでしょう。
ただ、結太が武闘派として戦う展開は意外に少なく、カグヤが直接戦っても十分強くて、終盤のバトル展開に十分に活かされているかというと微妙かも知れません。

月の女王の名前がハインラインという辺り分かりやすいパロディですが、目次を見ると各章タイトルも「授業を制止する日」「幼年期のおわり、はじまる侵略」などと全てSFネタ。最終章が「奴は無慈悲な月の女王」という辺りで作品の内容をも的確に語った巧みなネタを見せてくれます。
そして、いつも通りの仮面ライダーネタ
本編の山場を描いたカラーページで「これが神の杖(リボルケイン)だ」から始まり、本文最初のページでいきなり謎の現象の名前が「グローバルレリーズ」……と新旧取り混ぜたネタで楽しませてくれます。
同作者の作品ではすっかり定番となったネタも含め、文章のかなりの部分を出典ありのパロディで構成していると言っていい密度ながらすんなり読ませるテクニックは見事な芸風です。

ただ気になるのは……最初から積極的に迫る(本性邪悪な)ヒロインと、裏がありそうで距離を取ろうとする主人公という組み合わせは、『ニャル子さん』のニャル子と真尋のほぼ再来なのです。
『ヴァルキリーワークス』では男女逆転して女たらしの総食系主人公、『勇者が魔王を倒してくれない』ではやはりヒロインの方が積極的ですが、あまりにもバカでチョロくて危なっかしいけれどとりあえず裏はない、とそれなりにパターンは組み替えてきたのが、本作では原点回帰の印象を受けます。
他方で、仕事で真尋を守りに来ていたニャル子と比べても本作のカグヤは本人のせいで追放されてきて迷惑をもたらしてばかり(終盤では、彼女のせいではない危機とも対峙しますが)。これは主人公が乱暴に接するのに正当性を確保したのか……と考えてみたり。
バトルパートでは二人の接触で真価を発揮する設定は『ヴァルキリーワークス』と同様ですし、何を書いても同じという芸風の部分を超えて、過去作の要素に立ち返りつつ模索している印象も受けました。

それから、特筆に値するのはイラスト。表紙に描かれているカグヤの独特の衣装など、本文中にかなり詳細な記述があるのですが、イラストはそれを正確に反映しているのです。ちなみに髪をアップにしてヘアバンドで留めた結太の髪型についても同様。
さらに人物だけでなく、敵の怪人などもきっちり描いています。貴重なくらいに質の高い仕事です。

そして本作、すでに2巻はドラマCD付きでも発売が決定しており、あとがきによれば3巻までの原稿はすでに提出してあるとのこと(これだけ早くに原稿ができていると、新作ライダーのネタをいち早く取り入れる作者ならではの芸はどうなるんでしょうか)。
『ヴァルキリーワークス』はストーリー的には気になる引きのまま音沙汰なくして1年以上経ちますが、あちらは打ち切りなのか、だとしてこちらはそれだけの勝算があるのか……色々と余計なことが気になってしまうところですが、はてさて。

しかし、あとがきも『ニャル子』の時のスタイルに回帰していますが、3巻までの原稿を提出済みと言いつつ次巻について「何も考えていません」って……




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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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