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新たな謎解きへ――『バリアクラッカー II 火刑台上のリベリオン』

今回取り上げるライトノベルはこちら、電撃文庫『バリアクラッカー』の2巻です。


 (前巻の記事

前巻でバリアクラッカーを捕縛した業績により、主人公のベルヘルミナ(通称ベル)は新設の機関「テン・コミュニオン」の一員に任命、と大出世。
他方で、当の「バリアクラッカー」は火刑に処せられることが決まります。

しかし火刑の当日は、王を奪還するべくレプトイドの襲撃が……と、そこまでは想定通りだったのですが、その騒動の中で、何人かの異端審問官が謎の人体発火により焼死します。
全人類がアイギスにより守られている世界で、普通ならあり得ない現象。そこで囁かれるのが、教皇庁が粛正のために操る「清めの火」の噂なのですが、その実態は一体……?
タイトルの「火刑台上」というのは、火刑に処せられる罪人だけでなく、全人類が「清めの火」の脅威に曝されていることを指しています。

というわけで、今巻も謎解きを軸にしたストーリーになっていました。
前巻で世界観の根本に関わる大きな謎の答えを提示し終えた後なので、続編はどうなるのかと思いましたが、「清めの火」という新たな謎を提示する形で来ました。
しかも、前巻の最後でベルは「黙示録」の知識をただ受け取るのみだった(そこから敷衍しての推理も少しは行いましたが)のに対し、今回は前巻で得た予備知識があるだけに、敵の正体から攻略法まで主人公サイドが真相を推理する余地も増えており、なかなかの出来でした。
前巻のラスボスが囚人というレクター博士的なポジションで登場、場合によっては助言もくれる(しかし、野望は諦めていない)のもなかなか魅せてくれます(脇役は結構な比率で死にますが)。

そして、主人公の目標はこの歪な世界(社会)を変えることにあるのですが、もちろんそれは遠い道のり。
ですがその入口として、まずは教会内部の政争を扱うというのも、方向性としては良かったのではないでしょうか(今巻を読んでいて途中でようやく分かってきたのですが、ベルが所属している教会は教皇庁の下部組織で、そこに新たに就任したトリスタン枢機卿と教皇庁上層部との対決が主題になります)。この社会の権力の中心にある教会組織の改革は、つまるところ社会全体の変化に向かいますし。
とは言え、仮にベルが出世して権力を得たところで、これまでの社会システムの根本を変えてしまえば、これまでの歪みが噴出して社会の崩壊に繋がりかねないという問題は相変わらずで、やはり主人公の意向とする道に困難が山積みであることは変わりないのですが。

今後どこまでやってくれるのか分かりませんが、なおも続くならば楽しみです。


なお、『電撃文庫MAGAZINE』では引き続きタルタロスに追放されたベルの兄・ナレシュが主人公の番外編を連載中。こちらもいずれ単行本化を目指して欲しいところですが……どういうわけか、こちらの方がヒロインが可愛かったりします。
とは言え、本作の世界の歪みの象徴でもある、レプトイドたちの住む地タルタロスの描写に関しては、物足りなさはあるのですが。
たしかに、残酷な権力者による命を見世物にする催しや裏切り、といった人道的な過酷さは存分に描かれていますが、本編で聞いていた「食べるものにも事欠く」という日常生活の厳しさに関しては、それほど描写がないような。
レプトイドにも(過酷な環境の中でも)人間味溢れ仲間意識に篤い奴がいるのは、まあ彼らの精神構造は人間と同じという設定上、理解できますが。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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