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伝説はどう塗り替えられるのか――『仮面ライダークウガ 2』

今回取り上げる漫画はこちら、15年を隔ててのコミカライズとなった『仮面ライダークウガ』の2巻です。


 (前巻の記事

前巻ラストで、5話かけてようやく五代雄介がクウガに変身しました。
今巻ではいよいよグロンギたちの殺人ゲームが始まり、ようやく敵が動き、雄介がクウガに変身して倒すという物語のフォーマットに入ります。
着ぐるみに縛られない漫画ならではの、モチーフとなった動物の特徴をよく出したこのフォルム。

バヅー
 (横島一『仮面ライダークウガ 2』、小学館、2015、p. 42)

とは言え、最初に雄介が変身したクウガはまだ不完全な「白」の姿。
今巻の後半部でようやく、表紙にも描かれる「赤」のフォームに変身します。
これはモノクロの漫画では伝わらないということか、きちんとカラーページを入れてくる力の入れ具合はさすが。

赤への変身
 (同書、p. 133)

ただ、原作であるTVシリーズでは最初の敵であるズ・グムン・バとの戦いでまず白に、そして再戦で赤に変身、続くメビオ戦で警視庁の最新鋭バイクであるトライチェイサー2000を貰い受け、その後バヅー戦で新フォーム(青)登場……という流れだったのですが、漫画版ではグムン戦は先代クウガの役目となり、今回バヅー戦で赤に変身……となっており、(バヅーとメビオの准場が入れ替わってるというのもありますが)フォームの登場が一つ後にずれ込んでいます。
そもそもフォームチェンジは玩具販促用の設定であり、また白黒の漫画ではそもそも色の違いが目立たないということもありますし(今回のようにカラーページを効果的に使うとして、せいぜい各フォームの初登場時に限られるでしょう)、4つのフォームチェンジという設定にはあまりこだわらない方針なのかも知れません。
(巻末のインタビューで白倉伸一郎氏が、実写と異なり「漫画においては変身前も変身後も同じく絵ですから、愛着の湧いたキャラクターが変身することでただの無表情な仮面になって、むしろ魅力が減ってしまう」、だから「バトルシーン自体は一瞬で終わってしまうものにしかならない」と語っていますが、その判断は正解でしょう)

沢渡桜子がクウガについて記した古代文字を解読し、それに基づいて雄介が戦う、というTVシリーズでは定例だった展開もここまでやっていませんし。

なお、前巻ラストで第3の主役とも言うべき人物である桜子がゴオマにさらわれた、しかもこの漫画版ではゴオマは吸血鬼のように血を吸った相手を変異させるという設定なので、これはもう彼女を助けるためにはゴオマの命は長くないかと思いましたが、ゴオマは逃げ延び、桜子も元々抗体があったとかいう理由であっさり助かりました。これ、今後に何か活きてくるんでしょうか。
ただ、おかげでゴオマが出しゃばってはバルバ(バラのタトゥの女)にしばかれるという「女王様と下僕」的関係はTVシリーズと変わらないようで、何だか安心しました。

ゴオマ&バルバ
 (同書、p. 15)

ちなみに、バルバと一条の邂逅というフラグ(?)も健在。

バルバ&一条
 (同書、)

そして、今回は一条に心を病んだ妹がいることが判明。
これが彼の極端過ぎるくらい真っ直ぐな正義感の源でもあるようですが……やはり、あえて遵法者としての一条を主役に、ヒーローおよびそれが求められる場面との出会いを描く、という方向性が強く感じられます。

一条香里奈
 (同書、p. 54)

次巻の敵は(TVシリーズとはバヅーと順番が逆になりましたが)ヒョウの怪人ズ・メビオ・ダのようです。
TVではゲーム開始前に馴れ馴れしく絡んできたチンピラをぶちのめしたところでクウガおよび警察と邂逅、そのまま戦って倒されましたが、漫画版では(チンピラに絡まれるところまでは同じであるものの)そこで倒されることなくバヅーより後まで生存、ゲームに挑むことになりました。
しかも、この漫画版のメビオはやけに可愛いのです。まもなく退場するのが惜しいくらい。

メビオ1
 (同書、p. 66)

メビオ2
 (同書、p. 183)


……などと思っていると、今巻最後の第9話で大幅なオリジナル展開が来ました。
オリジナルキャラクター登場の上、原作キャラではあったラ・ドルド・グもかなり思いがけない形で登場、さらにアギトも名前まで出てきました(『仮面ライダーアギト』は『クウガ』の後番組で、シナリオライターは井上敏樹氏でした)。
ドルドの服装は、ほぼTVシリーズのままなんですけどね。

ドルド


そしてどうやら、警察の「未確認生命体対策委員会」にも裏がありそうな様子です。

アギトに関してともかく、警察関係に関してはある程度のことは見えます。
もし法を定め執行する体制側に悪が巣食っているのであれば、警察という機構の一員であり遵法者であることは無力となるでしょう(つい最近『バビロン 1 ―女―』でも似たようなテーマを見たばかりですが)。
そうした場面を描くことは遵法者と超法規的存在たるヒーローの対比を、そしてヒーローが求められることの意味をいっそう鮮明にすることでしょう。

ちなみに上で触れたように、今巻末には白倉伸一郎氏のインタビューが収録されているのですが、これがこの漫画が第8話まで公刊されていた時点のもので、曰く――

 最初にディスカッションしていたときは、どうせ今のお客さんをターゲットにするんだったら、『クウガ』『アギト』くらいだったら混ぜちまえよ、と(笑)。『龍騎』まで入ると訳がわからなくなるけど、そのくらいやらないと地味だろうという話は出たんです。〔……〕そういう意見は井上〔敏樹〕さんからもあったんですが、結果的にものすごく丁寧にテレビシリーズを踏襲して描いてますよね。上手い形で咀嚼して、解体して再構築しているなと思います。
 (同書、p. 190)


この次で一気にTVシリーズの流れを外れて本当に『アギト』まで混ぜてくるわけで、タイミングがいいのやら悪いのやら。

まあ、「伝説は塗り替えるもの」とは『クウガ』主題歌の歌詞でもありました。
本作がふたたび『クウガ』の伝説を塗り替えてくれるのか、期待しましょう。

来月には早くも3巻も発売予定。楽しみです。




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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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