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事件が収束する中心点は

さて、今月も『マガジンSPECIAL』の発売日がやって参りました。
しかし、BooWalkerのブラウザの不便さにはほとほと困り果てます。新型にアップデートされると最新版をインストールして使うよう強要、旧型は起動できなくなりますし、さらに起動時の不具合が増えたり(他のプログラムを同時起動していることによるバッティングだった模様)、起動するときちんと「終了」することができず、インストールされている外付けハードの取り外しが不可能になったりと、最新版にアップデートするたびに不具合が増えていきます。
もうそろそろ別の電子書籍に切り替えようかと考え中ですが、何にせよ、余計なものをインストールしていいことはないのですよね。



まあそれはともかく、『絡新婦の理』コミカライズも第7話となります。
今回は原作第5章、木場パートの続きでした(今回1話で第5章の全体を消化)。

絡新婦の理第7話扉

何だか、毎回毎回(「今度こそ原作の順番通りだろう」という想定の下に)「次はどの章」と予想しつつ、当たった試しがないような気がします。このことについては後で検証しましょう。

内容ですが、「目潰し魔」による連続殺人4件目――前島八千代殺し――の容疑が(これまで犯人として指名手配中であった平野祐吉から)友人の川島に移ったものの、そこに納得がいかない木場。
「密室」の件を始めとして、八千代殺しの真相解明に動き始めます。
ここまで謎が重なるばかりだった物語にあって、個々の事件については謎解きが始まる、一つの転換点と言ってもいいところでしょう。(まあ原作の場合、この前の第4章で別の件の犯人の示唆ばかりか、京極堂が「この事件は一つの事件の実行犯を捕まえて済む話ではない」ことまですでに指摘しているのですが、このコミカライズでは順番が相前後していますので)

またこの謎解きが、ミステリのトリックとしては言ってしまえばシンプルでオーソドックスながら、それだけに「なぜ捜査者は真相を見逃したのか」「なぜその答えが正解であり、他ではないと確実性(あるいは高い蓋然性)をもって言えるのか」という点で出来が良く、原作でも何度も読み返してしまう部分です。

今回やや残念だったのは、着物の扱いから検死結果まで、木場が色々なことを細かく人に聞く過程がかなり省略されていたことでしょうか。特に、監察医の里村に関しては彼のもとを訪れるシーンすらなく、登場なし。
原作だと、(容疑者が友人だということもあって捜査を外されたのもあり)「今一つ納得がいかない」まま燻っていた木場がバーの女主人・潤子(じゅんこ)との会話の中でようやく動きだし、そして謎解きの糸口に気付く過程が丁寧に描かれていたのですが。
まあ内省的で思想面の話題も多い会話で連載1回の大半を費やしてしまうのも問題かも……と考えるとこの選択が悪いというわけでもないのですが、しかしこの描写だと、事件発生から2週間も経った今になって木場が真相を見出した理由がやや伝わりにくいのでは、という懸念もないではありません。

さて、新登場のキャラとしてはまずバー「猫目洞」の女主人・潤子。
「暹羅(シャム)猫のような顔」で「猫の目のごとくくるくると表情が変わる」という記述のイメージにぴったりです。

お潤

それから、前回の木場パート(漫画版第3話)で川島と揉めていた街娼・高橋志摩子(たかはし しまこ)彼女が「蜘蛛」に狙われているらしい――ひいては、八千代を呼び出した脅迫犯も「蜘蛛の使い」を名乗っていたことから背後には真犯人「蜘蛛」がいるのだ、という気付きが、木場が動き始める動因になります。
個人的に、彼女の外見についてはあまりイメージがなかったのですが、違和感はありません。

志摩子

そして、質屋の店主・中条コウ
原作を読んだ時には外見上は鋭いイメージがありましたが、思ったより普通の親父でした。まあ彼については最初無愛想なのが相手を警察と知って態度を変えるとか、印象的な言動の多くがカットされて地味な人物になっていますしね。
証人として登場するだけでこれっきりというのもあるんですが、ストーリー上の扱いは同様だった前島貞輔に比べても扱いが小さくなりました。

中条


それから、新キャラではなく『狂骨の夢』からの再登場になりますが、木場の幼馴染みで(元)精神科医の降旗弘
平野祐吉を診察した精神科医ということで登場。街娼のヒモとなってずいぶん変わった様子、原作の記述通りです。

降旗

里村の検死報告は省略されても降旗は登場したのは、やはり彼の分析によれば平野は衝動的殺人者であるはずにもかかわらず、今回の殺人には妙に計画性が見られること(黒幕の存在の示唆)、そして彼の駆使する「男根主義的」精神分析とフェミニズムとの対決というテーマが重要となってくるためでしょう。


さて、最初の方で触れた、原作の順番の組み替えに関する私の予想がほぼ全て外れていることにつきまして(今後、話が合流するにつれて順番を組み替える余地も少なくなりますから、ほぼ全敗で終了です)。なぜ予想が外れたのかを検証することで、さらなる知の足しにすることを目指しましょう。

まずポイントは、展開の早さと区切りどころでしょう。
コミカライズでは『姑獲鳥の夏』が全4巻、『魍魎の匣』と『狂骨の夢』が全5巻だったことから、原作のページ数で『魍魎』の1.5倍くらいある本作と『鉄鼠の檻』は全7巻になるのでは、と計算していましたが、今回はだいぶ様子が違います。次回で原作第4章を消化すれば、そこまでが単行本2巻収録分なので、全11章の半分近くを2巻に収めることになります。その気になれば全4巻で終了できるペースです。
これは掲載誌が変わり、(連載ペースが早く1回ページ数が少なくなる中で)連載1回ごとの区切りを良くしたいというのもあったかと思いますが、あるいは商業的に思わしくなければ早めに畳まねばならない、という事情もあったのかも知れません。
とすれば、今後のペースは変わってくるかも知れません。少なくとも全4巻という可能性は低いでしょう。

それから、先月は今回が原作第4章だと予想しましたが、第4章で榎木津のところに依頼が持ち込まれると、彼が学院に乗り込むことで美由紀パートと合流するわけで、それとまだ合流しない木場パートである第5章をどこに置くのか、という問題は確かにありました。
どうも1巻末尾で榎木津の顔見せとして第4章の一幕が描かれたこともあって、私はそちらが早く来るものと思ってしまったのですが、考えてみると第4章では直前の第3章で起こった事件だけでなく、複数の案件が持ち込まれるので、第3章から第4章の間の「事件発生→探偵社に依頼」という繋がりはそれほど強くありません。だから志水アキ氏は第4章→第6章の繋がりを優先した、とも考えられます。

そして今回、平野の降旗への紹介に織作家の娘が噛んでいるという話から、木場は千葉の織作家に向かうことを決意する――という引きになっているのですが、これは原作第5章の結びとは全く違います。

絡新婦の理第7話 引き

どうやら、前回織作邸の事件を描いた後で今回をこの引きにすることで、「全てが織作家に収束する」という印象を強調し、話の繋がりを示す意図のようです。
私はどうも、織作家そのものと事件の主役は少し別というイメージだったせいか、この印象は新鮮でした。

まあ、連載漫画で毎回のように視点が切り替わる群像劇は読者がついて来にくいという懸念もありますし、「話が繋がってくる」というイメージを示すことは存外肝要なのかも知れません。
総じて、ただ時系列に沿って話を組み替えるだけでなく、話の繋がり、総体的な「まとまり」を示すという点について、私の見通しが甘かったようです。

さてこうなったからには、次回で第4章を消化すれば、その引き次第で原作第6章の後半(1巻の続き)にスムーズに繋がると思うのですが……また外れたらどうしましょう。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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