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妖怪――ポピュラーだが扱いは難しい

正月に親戚と会った際のことですが、妖怪の話をすると3歳の甥が反応するのです。「妖怪ウォッチ」「ジバニャン」と口にして。
妖怪(ウォッチ)ブームの強さを感じました。

翌日には、そんな今こそ妖怪学講座をやるべきではないかという話に発展。
いやまあ、もちろん、いやしくも学を標榜するならば一過性のブームに乗るだけでは駄目なことは承知の上ですが、しかし興味深い話ではあるのではないかと。
どこがどうやって主催するのかという問題は考慮の外ですが。

さて、仮に妖怪学講座をやるとしましょう。「妖怪」という言葉の近代的用法のルーツを考えるに、やはり最初に井上円了は外せないでしょう。そもそも「妖怪学」という名称も井上円了のものですし。
次に柳田國男。どうしてもそうなります。
近代合理主義的な視点から怪異を批判・解明した井上と、怪異を伝える人々の民俗を保存し、それとして解明しようとした柳田。二人の対比は基本中の基本です。

その他に、やはり妖怪は図像化というのが重要ですから、妖怪絵巻の歴史――それこそ近代における水木しげる氏等の活動にまで繋がる――にも尺を割く必要があるでしょう。
学際的で濃い内容になりそうです。

……と、まあ色々と妄想することはできるのですが、そもそも妖怪“学”とは何でしょう。
妖怪を「研究する」とは、何をすることを意味するのでしょうか。

様々な人が様々な視点から妖怪を研究してきましたが、それぞれに問題もありました。
井上円了のような立場だと、なぜ人々が妖怪というものを考え出したのか、単に近代的合理性から見て「無知で迷信深かったから」と言うにはあまりにも豊かなその在りようを取り逃しますし、民俗学も元々柳田國男というアマチュア的な人物によって創始されたせいか、偏った考察がまかり通ってきたきらいがあります。

妖怪を研究するとは、「研究とは何か」という学問論を問うこと――そう考えると、ますます内容的には濃くなりそうです。
初心者にこの分野に首を突っ込むことは全くお勧めできませんが。

――さらに言えば、今「妖怪」を扱うならば、たんに前近代の伝承だけでなく、現代の怪異譚(都市伝説など)や表現媒体(たとえばアニメ・漫画・ゲームなど)における妖怪の扱いも視野に入れる必要があるでしょう。
ただ「本来の妖怪のあり方から外れている」というだけでは生産的ではありません。
この点に関しては、実は『異世界妖怪サモナー』2巻のあとがきは、「現代のフィクションにおいて描かれた妖怪」という問題を扱った貴重な論攷の一つと呼べるものでした。


【ケーススタディ】
『妖怪ウォッチ』の「ジバニャン」は「地縛霊の猫」という設定とのことです。
この設定を聞いて、何となく奇異に感じないでしょうか。
たとえば猫が車に轢かれて死んでいることは時折ありますが、その現場に「猫の地縛霊が出る」という話は聞きません。

理由は単純、「そういう考え方が私達の社会には存在しないから」です。
「動物霊」という考えそのものは伝統としてあって、動物憑きと呼ばれる現象もありました。
ただ、動物霊が「場所に憑く」という考え方はしなかったのです。

そもそも地縛霊という考え方はどこから出てきたのか。
やはり伝統的な霊は「人に憑く・祟る」もののように思われます。
起源の問題は要調査、というかちょっとやそっと調べてみてもよくは分からないのですが、そう古いものではなさそうな感じはします。
――講座をやるなら、こういうこともいちいち調べなければなりますまい。







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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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