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漫画と生活

さて、今回は漫画の新巻を複数取り上げさせていただきます。
まずは『修羅の刻(しゅらのとき)』新巻から。



本作は格闘技漫画『修羅の門』の外伝シリーズです。
本編である『門』がついに完結しての新章となりました。

 (『修羅の門』最終巻についての記事

今回は本編の主人公から一つ前の世代を描く『昭和編』です。
まずは読書メーターに書いたレビューの抜粋を。

昭和の頃、不破一族の現は、陸奥超えを目指す武術家ケンシン・マエダと出会い、彼を陸奥の里へと案内し、そこで陸奥の娘・静流と出会う……というわけで『刻』としては初めて歴史上の人物が登場しない、九十九出生の背景を描く親世代編。これまでと違い、戦いでカタルシスとは行かなさそうな話だが、明るくパワフルな静流がいい味を出してる。飄然としつつも闘志を秘めた陸奥達と違い、戦う気のない現も物語にいつもと違う味を与えるが、助けに入る時の動きなどはさり気なく流石。しかし想像以上に昔の雰囲気のような。地域の問題もあるだろうけど。


というわけで、普段は歴史上に実在した強者たちと歴代陸奥が戦うドリームファイトシリーズの『刻』ですが、今回は趣向が少々違って歴史上の人物が登場しませんし、そもそも主人公に戦う気がありません。
今回の主人公は、本編では「山田さん」を名乗っていた、陸奥の分家・不破一族の(うつつ)です(陸奥も不破も実力と認められた正規の後継者だけがその姓を名乗ることを許されるので、彼自身は「不破」ではありません)。
無印の最後で九十九が戦いに赴き、その激闘が『第弐門』で描かれた相手、ケンシン・マエダと出会い、そして後に九十九の母となる静流(しずる)と出会う……という、九十九の親世代の物語です。

修羅の刻17巻2
 (川原正敏『修羅の刻 17』、講談社、2016、p. 33)

早死にした九十九の母(しかも二人の息子も兄の冬弥は後に死亡)……ということでどこか薄幸なイメージがあった静流ですが、実はイノシシを格闘で仕留め、通りすがりの現とケンシンに運ぶのを手伝わせてから知らない相手であることに気付くという、逞しさと誰も逆らえない独特のテンポを持った娘でした。

修羅の刻17巻3
 (同書、p. 110)

修羅の刻17巻4
 (同書、p. 116)

気になるのは、年代です。
木の壁に古めかしいポスターが張り出され、三輪トラックの走る街並みはともすると高度経済成長以前のイメージなのですが……
しかし登場人物は、本編『修羅の門』で「40代のおっさん」だった現が(おそらく)20歳そこそこ、それよりやや年下のケンシンはまだ10代に見えます。なおケンシンは、日本とブラジルが国交断絶していた(1951年までと註釈あり)のは「らしい」と聞き及んでいるだけの世代です。

修羅の刻17巻5
 (同書、p. 27)

まあ山中で昔ながらの暮らしを続けている陸奥は平成になっても変わっていなさそうなので、気にしないことにしますが。

修羅の刻17巻1
 (同書、p. 142)

無印『修羅の門』の連載時期は1987~96年、『第弐門』は2010~15年です。
現実における14年のブランクが作中の2年に圧縮されているのでちょっと妙なことになっている面はあり、2年間で「今風の」総合格闘技がすっかり広まったことになっていますし、無印のブラジル・バーリトゥード編で舞子の母が「最近登場のワイドテレビ」の話をしていたかと思うと『第弐門』では液晶の薄型テレビが定着していました。

ただ、仮にそういうことは無視して、『門』の作中年代を'90年前後としましょう。
それでも今回の「昭和編」の時期は20数年前、'60年代後半くらいまで遡るのが限度だと思われます。
しかも今回地名表記はないので、地方都市だとすればこの風景も何とか可能かも知れません。

さて、今回の「昭和編」は次巻完結、つまり全2巻とのこと。
過去に『刻』で3~4巻の長編というと戦記物の色彩が強い話だったので、そんな壮大なストーリーにはならない、どころか戦いもしない今回はそのくらいの尺が妥当でしょう。

歴代陸奥は、たとえ普段はのらくらしていても強者がいれば闘志を見せる連中でしたし、4巻の(あずま)(彼も正規の「陸奥」ではありませんでした)のように戦い好きでなくとも、誰かを守る戦う、というところに少年漫画らしい見せ場があったわけですが、現は本当に戦いません。
しかも、ケンシン・マエダとの戦いは次世代に預けられることが確定しているわけで、強敵と戦い、破るというカタルシスを見せる話ではそもそもなさそうです。
とはいえ、キャラ的なドラマは悪くなさそうなので、どう締めてくれるのか期待しましょう。

 ~~~

続いて、『ハクメイとミコチ』の4巻です。



 (前巻に触れている記事

こちらもまずは読書メーターのレビューを↓

セン作のフグの骨による潜水艇・サイモンで湖に潜水、祭に出店、馴染みの喫茶店の珈琲ミル修理、竹で露天風呂作成、ミコチの姉アユネが大根を持って登場、夜汽車…と相変わらず食を中心に温かい生活感と人情を感じさせる話が続くが、目立ったのは主人公コンビ不在で、美容師ジャダの家が倒れたところにイワシが出会う話。二人ともいいキャラしてて、こんなところにも繋がりが生じる楽しさ。温泉はいずれ再チャレンジで今度こそ入れる話が見たいところ。あまりスケールは感じないことが多いが、珈琲豆の砕き方に久々に彼女達の小ささを見た。


発明家のセンと歌姫のコンジュ、

ハクメイとミコチ4巻1
 (樫木祐人『ハクメイとミコチ 4』、KADOKAWA、2016、pp. 8-9)

大工のイワシ(種族はイタチ)と美容師のジャダといった新たなキャラの組み合わせも見られます。相性の悪そうに見えた組み合わせも、だいたい暖かく微笑ましいところに落ち着きます。

ハクメイとミコチ4巻2
 (同書、p. 48)

そして、毎回何か飲み食いするシーンがありますね。
2話を費やした冒頭の水中探索編ではまあ、お弁当はおまけという感じで、主題は音楽(で楽しくやること)です。
他は食べ物、道具、建物といったものづくりに絡んだ話が目立ちます。
最後は夜汽車での旅、これまた風情があります。

そして、そんなものと触れあう生活感を存分に感じさせてくれるのが、食べ物の美味さ、物の手触りどころか空気の冷たさまで伝わってくるような描き込みですね。

ハクメイとミコチ4巻3
 (同書、pp. 58-59)

ハクメイとミコチ4巻4
 (同書、p. 162)

素晴らしいシリーズです。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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