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複数の事件が繋がり、織り成すもの――『絡新婦の理』(漫画版)第2版

世の中には色々と奇遇というのはあります。
例えば、同時の行われたスポーツの試合がどれも同じようなスコアや展開になったり……
現在日本プロ野球には両リーグ合わせて12のチームがあり、全チームが試合をすれば日に6試合が行われるわけですが、ちょうど本日(4月12日)の6試合も、その内4試合が9回裏に同点となり、内3試合が追い付いたホームチームのサヨナラ勝ちでした。12球団のクローザ-(抑え投手)の内で8人が登板し、5人が失点する展開。

普段なら「そういうこともあるか」で済むのですが、なにぶん野球賭博問題の直後だと「八百長かな?」「プロレスと同じで、実はシナリオに従ってやってるんじゃないか」等と考えてしまいます。
そこに疑惑の判定や要所でのエラーまで付きまとえば、なおさらです。
とりわけ、あまりにも低レベルな誤審がしばしば肝心なところで生じるのは、勝敗をシナリオ通りにするための帳尻合わせと言われても仕方ありますまい。

こういうことを言うと「真剣にやっている選手に失礼だ」と言われるかも知れませんが、「失礼だ」と言えるのは、選手が八百長しないで真剣勝負をしているという前提で、です。
ところが日本野球機構は賭博問題について「開幕までの解明は困難」と認めており、開幕後になって「自分から名乗り出た者には処分を軽減する」措置を発表しています。(その他にも、細々言うのも面倒ですが、実に意味不明の弁明の多いこと)
疑惑を払拭できない状態で始めておいて、「疑うな」とはムシのいい話ではないでしょうか。
疑われたくないのなら、そもそもペナントレースを中止してでも解明に全力を尽くすべきでした。

 ~~~

さて、今日は何年ぶりかに『クレションしんちゃん』の映画新作を観てきました。今年のタイトルは『爆睡! ユメミーワールド大突撃』です。
初期の映画『クレションしんちゃん』はヒーロー物やらアクション映画やらのフォーマットに『しんちゃん』らしいふざげて下品なネタを上手く絡め、笑えるところとシリアスなストーリーのゲストキャラの味、それに迫力あるアクションシーンを併せ持った傑作揃いでした。それに、クソガキなばかりか、「ほうほう」と言っているだけで何もしないしんのすけが「結果的に活躍するようにさせる」ところに話の妙味がありました。
ただ、『アッパレ戦国大合戦』と『モ~レツ! オトナ帝国の逆襲』辺りの成功の影響でしょうか、「しんのすけが走る=感動」を強調するようになり、徐々に興味が薄れていきました。それがおよそ「しんのすけらしくない」だけになおさら、鼻につきます。
『アッパレ戦国大合戦』と『オトナ帝国の逆襲』の2作は面白かったからいいのですが(TVの「アニメ名場面集」などで繰り返し放送されるのにうんざりしましたけれど)、話で見劣りするとどうも……

ただ、最近はまた傾向が変わっているとの評もあり、観てみました。
良かったんじゃないでしょうか。
感動要素は割合に強いものの、シリアスと感動の主役はサキというゲストヒロイン(しんのすけのクラスに転入してきた幼稚園児ですけど)に負わせ、しんのすけに関しては彼女が何者であれ手を差し伸べるところも、活躍するところもあくまで彼のとぼけた味を維持しているのが、いい塩梅だったように思います。親の想いに関する締めは母のみさえが持って行って、ラストは(特にボケたオチなどはなく)非常に王道の綺麗なものになっていますが、それほど違和感はありませんでした。
もちろんギャグもキレていますし、実在のタレント等が本人役で登場するのもとにかく明るい安村・大和田獏・城咲仁の3人という豪華さですけれど、まあ使いどころには納得ですかね。

 ~~~

さて、字数から言って何が本題なのかよく分からなくなってきましたが、『絡新婦の理』コミカライズの第2巻が発売です。



 (前巻の記事

さて、連載時に1話のページ数を数えていれば予測できたはずのことですが、今回は全6話――第5~10話を収録しています。

 (連載時の記事: 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話

なお、残念ながら第6話のカラー扉はそもそも収録されていません。
コミカライズとしての特色――キャラクターデザイン、内容の組み替え、演出等――については連載時に書いてきましたが、改めて内容を整理すると以下の通りです。

第5~6話:原作第3章 釣り堀屋の伊佐間は釣りの旅で千葉を訪れ、美由紀の祖父・呉仁吉(くれ にきち)と出会う。そこで地元の名士・織作家に関する話を聞き、さらに使用人の出門耕作の紹介で、コレクション鑑定のため骨董屋の今川と共に織作家を訪れるのだが、そこで新たな事件に遭遇。
第7話:原作第5章。原作第1章(コミカライズ1巻第3話)の続きで、刑事・木場は「目潰し魔」の第4の殺人――呉服屋の内儀が連込宿で殺された事件の真相を解明。と同時に織作家に繋がる背後関係を知る。
第8~9話:原作第4章。刑事を辞めて探偵・榎木津への弟子入りを志願する青年・益田は、失踪した夫を捜して欲しいという女性と、そして柴田財閥の使いとして(1巻で描かれた)聖ベルナール女学院の解決を依頼したい増岡弁護士という二人の依頼人と出会い、増岡と共に京極堂を訪れる。
第10話:原作第6章前半。第6話の続きで、事件により織作邸に拘留されて取り調べを受けている伊佐間たち。そこに(伊佐間たちとも旧知の仲である)木場が訪れる。

そんなわけで、学園編が中心だった1巻からは一転して、男たちがメイン(といっても後述のように、事件の主役はまた別なのですが)。マイペースな伊佐間とユーモラスな容貌の今川が癒しめいたものを与えてくれますが。
一つ一つの事件についてはすでに「解決編」が始まっているのですが、しかしそれが次の事件を呼び、次第に全てが大きな蜘蛛の巣の上にあるがごとく、何者かの描いた仕掛けの内にあり、誰もが絡め取られていることが見えてきます。

本作においては、「蜘蛛」のモチーフ

1. 具体名――学院で呪いと売春を行うグループが「蜘蛛の僕」を名乗り、目潰し魔の第4の被害者・前島八千代を呼び出した人物が「蜘蛛の使い」を名乗っており、そして織作家の館は「蜘蛛の巣館」と呼ばれるetc.
2. 事件構造の比喩――事件が事件を呼ぶ大仕掛けを描き、その中心にいる真犯人が、精緻な秩序ある巣を張る「蜘蛛」に喩えられる

という少なくとも二重の意味で繰り返し登場してきます。
この点に関しては、このコミカライズ2巻でかなりはっきりと見えてきたことと思います。

他方で、複数の事件にはそれぞれ売春等の問題が関わっており、織作家は女系の一族であり、そして織作の三女・葵と益田の依頼人である杉浦女史は女権運動家(フェミニスト)である……と、女性の問題も様々な形で現れます。
女性の理屈と男性の理屈はどう違い、両者の緊張関係がいかにして社会を織り成しているのか、そして売春はいかにして売春として成立するのか――etc.

この「蜘蛛」と「女性」というモチーフの綜合を象徴するのが、妖怪「絡新婦(じょろうぐも)=女郎蜘蛛」です。

まあそれについては、京極堂の蘊蓄を待つことになります。


そう言えば、単行本でまとめて読んで改めて気付いた比較的どうでもいいこととして、実は織作家の先代・伊兵衛(いへえ)のイメージ映像が2回登場しているのですが、

絡新婦の理2巻1
 (京極夏彦/志水アキ『絡新婦の理 2』、講談社、2016、p. 9)

絡新婦の理2巻2
 (同書、p. 132)

和装と洋装の違いにヒゲの違いがありますが、結構イメージが変わっていたりして。


それはともかく、これで内容的には原作の半分くらいを消化しているわけですが、そもそも売れ行き次第では早期終了の可能性もあったために前半はやや詰め込み、場合によっては特定の部分をかなり省略することも考えていたフシがある(そのため、1巻ラストの榎木津が今巻で反復される結果にもなったり)ので、ここからはもう少し伸ばして全5巻くらいにはなるかも知れません。
とにかく、これ以上繰り返すまでもないかも知れませんが、原作のイメージをよく伝えて素晴らしいコミカライズです。

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実行犯判明と、より大きな蜘蛛の巣と――『絡新婦の理』(漫画版)第3巻

またまたご無沙汰していました。 今回取り上げる作品は当然というべきかこちら、『絡新婦の理』コミカライズの第3巻です。  (前巻の記事) 各回の内容については概ね連載時に書いてきた通り。  (連載時の記事:第11話 第12話 第13話 第14~15話 第16話) 整理すると以下のようになります。 第11話:原作第6章(伊佐間パート)後半。刑事・木場修太郎...
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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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