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蜘蛛の網の目の上で

どんどんご無沙汰することが増えています。
夏の予定も微妙なところなので、この調子は続くかも知れません。

連載開始から恒例だった『絡新婦の理』コミカライズ版のレビューも先月は書きませんでした。
先月発売の『マガジンSPECIAL』2016年No. 7に第14話、そして今月のNo. 8に第15話の掲載なのですが。





第13話の時点では色々と予想しましたが、またも外れ、第14話は丸々原作第7章の締めの部分でした。
黒い聖母――に扮した絞殺魔――がついに3件目の殺人を犯し、さらなる凶行に及ぼうとするところを榎木津が取り押さえる……という展開なのですが、実はここ、原作小説にすると数ページ分しかありませんでした。

しかし文章なら一文で済むことも、絵にすると紙面を要することもあります。とりわけ、スピーディなアクションはそういうことが多いもの。
それに漫画は、やはり迫力を求めるアクションには大きなコマを使うものです。

絡新婦の理第13話1
 (京極夏彦/志水アキ「絡新婦の理」、『マガジンSPECIAL』2016年No. 8、p. 573)

絡新婦の理第13話2
 (同誌、p. 576)

絡新婦の理第13話3
 (同誌、p. 583)

これで連載1回の半分くらいをきっちり費やしました(これでもアクション主体の漫画にとは比べものになりませんが)。

しかし、事件が事件を生むこの件の構造を察した榎木津は「敵は事件の作者だ」「登場人物は作者を指弾できないぞ」と断言、京極堂を呼ぶべきだと言い出します。
もっとも、「あれも盤に乗れば駒になるか…」と言い添えてのことですが……

絡新婦の理第13話4
 (同誌、p. 595)

絡新婦の理第13話5

絡新婦の理第13話6
 (同誌、pp. 596-597)

こういうところも、原作小説では1ページに満たない流れなのですが、一言で済む台詞に大きなコマを使っての演出が付いてきます。
小説ではページを埋め尽くしていた長広舌を圧縮している蘊蓄パートとは対照的です。

といっても冗長な印象はありません。
そもそも言ってきたように、今回のコミカライズの序盤は早期終了の可能性も考慮してか、原作の1章を1~2話という、これまでの作品に比べると結構な急ぎ足に処理してきていました。
早期終了の可能性はなくなって余裕が出てくるとともに展開も山場で、じっくり紙面を使って描けるようになってきた、ということなのでしょう。

――というわけで、今回第15話は原作第8章に相当する内容となり、榎木津の命に従い益田が京極堂のもとを訪れるのですが……

絡新婦の理第13話6
 (京極夏彦/志水アキ「絡新婦の理」、『マガジンSPECIAL』2016年No. 9、p. 559)

京極堂は協力を拒みます。

というのも結局のところ、榎木津の指摘した通りだからです。
この事件は実行犯を捕らえ、さらにその背後を押さえたところで、それによって事件のステップを進めるだけであり、それは全て真犯人――蜘蛛――の掌の上だからです。
それは京極堂といえど例外ではなく、現状の解決を進めるべく出て行くこと自体が結局「真犯人の役に立つ」ことでしかないのだと。

絡新婦の理第13話8
 (同誌、p. 585)

もっとも現状は、一人の実行犯――「黒い聖母」――捕縛から進まず難航しているような状況ですが、京極堂に言わせればそれは相手が巧みだからではなく稚拙だから混乱しているだけで、遅かれ早かれ捕まるべく人物は捕まり、事態は進展するはずだ、と明晰な説明があります。

絡新婦の理第13話9
 (同誌、p. 587)

絡新婦の理第13話7
 (同誌、p. 584)

とは言え、「このままじゃ少々癪だな」とのことで、現場に登板する気こそない(し、そうしたところでただちに真犯人を押さえられるわけでもない)ものの、考えるところはあるようですが――というところで引き。

絡新婦の理第13話10
 (同誌、p. 588)

今回、「黒い聖母」の供述などについては益田が語ってくれたわけですが、これはまだ学園編の一展開に過ぎません。
本作は複数の事件が同時展開されつつ絡まって、まさに蜘蛛の巣を形成しているというところが味噌でした。
次回は「目潰し魔」の事件も京極堂に持ち込まれ、いよいよ合流が進むはずです。
と同時に、共通する事件がまったく異なる意味の層の下に現れるという本作の醍醐味が、本格的に見えてくることでしょう。

真犯人「蜘蛛」はなぜかくも意のままに事件を操れるのか、という京極堂の説明もあるはずで、そうすると原作第8章も2話で済むのか、また3話要するのか微妙なところですが――いずれにせよ、大変に楽しみです。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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