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2016年11月の読書メーター

先月の読書メーターまとめです。
10冊2480ページでした。

読書メーター2016年11月

明らかに、読書メーターを始めて以来最低の数値です。
その理由は一つには、550ページくらいある英語の大著『The Simgular Univers』(+いくつかの未読了の学術書)を読んでいたことでしょうか。2ヶ月続けて300~500ページの洋書を登録しているというのは、そう多くないはずです。
逆に言うと、学術書に集中してこの程度のペースではとうてい満足はできませんが。
今後はもっと研究に本腰を入れ、洋書をもっとハイペースで登録できる……といいのですが。その一方でブログの更新がなければ、そういうものだと思ってください。

それと、最近読書メーターがリニューアルされました。
書き込みの反映が遅かったりと不便も多いのですが、まとめも少し変化したようで、月間読書冊数のグラフはまとめに入らなくなりました。今はまだ旧読書メーターも使えるので、そちらからグラフをダウンロードしましたが、それもやがて消えるかも知れません。

以下は抜粋です。


【小説】



失恋した女子高生・児嶋アリサのもとに哲学者ニーチェを名乗る男が現れる。以来、ニーチェをはじめキルケゴール、ショーペンハウアー、サルトル、ハイデガー、ヤスパースが現代の京都に現れ、哲学を教授してくれる日々が始まる…ニーチェの時には大胆に噛み砕きつつも外れてはいないという感覚だが、キルケゴールに至っては宗教的な部分を抜きにすると中身も失われた感が否めない。背景の異なる思考を伝える難しさよ。ただ、著者が自らの実存から、表面的な慰めでなく真の導きとして哲学を受け止めているのが伝わるのは好印象。読後感も良かった。


こういう「現代日本人に分かりやすい例で噛み砕いて説明された哲学解説」を見ると逆に、やっぱり西洋哲学には西洋的文脈が重要なのだなあ、と実感しますね。それはやはり一つには、キリスト教です。
キリスト教を厳しく批判して「神の死」を唱えたニーチェにせよ、独自の信仰の立場を確立しようとしたキルケゴールにせよ、どちらの方向についてもそれは言えます。が、やはりとりわけキルケゴールについては……という気がします。

……が、他方で、これが哲学解説書のコーナーに置かれているのではなく、(専門家ではない)「哲学ファン」を自称する著者の手によって書かれた小説である限り、これもいいのかな、とも思います。
著者が自分の人生の導きとして哲学を求め、自分の問題として受け止めていることがよく伝わる、それでいいではないでしょうか。
学問の題材として哲学書を読んでいるとかえって疎かにしがちなことだけに、なおさらです。

そもそも死者の魂が残って現世に帰ってくるという設定が彼らの哲学と相容れるのか、等という野暮なことも言いますまい(等と書いた時点で言ってしまっていますけれど)。




 (前巻のレビューを含む記事はこちら

現役中高生の相談に答える『読売中高生新聞』連載版の単行本化、これをもって今度こそ最終巻らしい。相談員は初期メンバーの3人のみ。ただ、書き下ろしの最終回を除いて1話4ページしかないため、あらぬ方向に話が転がって行くいつもの持ち味は弱め。毎回回答ページには別個のキャラ絵があり、あとがきにもイラストを使ってのネタありでイラストはやけに凝っている。随所にキャラのらしさも見られたので良しとするか。



【漫画】



 (前巻の記事

総大将ジシュカの裏切り、多くの女達も捕虜になり苦境のターボル軍。だが、娘を攫いにクマン人が街に潜入し、攫われたクローニャを助けるべくシャールカが動いたことから真冬の奇襲が始まる…多重の裏切り工作も成功し、最後は十字軍を国から追い出す勝利も戦争終結には至らず、さらに新たな内紛の影も。毎回不穏な影をちかつかせながら、それを振り払っての勝利を描いてきたが、どこで終局を迎えるのか…怖いながらも楽しみだ。女の戦いという点では、今回はクマン人の姫エドゥアとフランチェスカも、それに皇后バルバラの存在感も印象的だった。


今回、シャールカはついに親友を殺した犯人を知るのですが、それでもその相手を「憎む」方には向かいません。そもそも、敵に対しても憎しみで戦っている風ではありませんでした。けれども戦う力を欲し、優しくか弱い少女でありながらいくら傷付いても立ち上がる――そんな主人公シャールカの不思議な強さが魅力なのは、言うに及ばず。




『週刊文春』の連載、気になっていたがちゃんと単行本化されたか。前半は東京の漫画喫茶に泊まり込み、後半は伊豆の別荘での計3年間の生活を綴る日記漫画。行き逢った不快な人、変な人をしばしば怒りを交えて描くのはもはや芸風だが、後半は環境の変化により人が減って虫や齧歯類との戦いが増えていく。虫の擬人化が多かったのは人間の女性が足りないせいか。その中でも珍しく日記漫画でなかったナウシカネタには大笑い。場面に応じた絵の味の出し方も外さず、老練の味である。久々の単行本を読めて良かった。


ちなみにケース入りの装丁で判型は横長(短編綴じ)、表紙と裏表紙も漫画になっている――というか、普通に連載第1回が表紙に、最後の収録分である第150回が裏表紙に掲載されています。週刊連載150回でちょうど3年分。

前半はこんな感じでしばしば人と世間に怒りをぶつけ、

日々我人間7回

伊豆の別荘暮らしになった後半では、たとえば屋内に侵入するタイワンリスと戦ったりする日々(他にもムカデとの戦いが何話にも渡って続いたり)。

日々我人間87回
 (いずれもクリックで画像拡大されます)


【美術】



個人的にダリは昔から馴染み深い画家なので、こういうコンパクトな本に書かれることならばかなりのことは既知。ポイントは画家の著作も豊富に引用し、ダブル・イメージの指摘も親切な作品解説、それに様々な作風を模倣した初期から、夫婦仲も冷え切って不遇になった晩年までの包括的な記述だろうか。最盛期の細密描写を示すいくつかの拡大写真や、例外的に抽象的な遺作《ツバメの尾》の読み解きがあるのも良かった。



【科学】



相対性理論、量子力学、宇宙観の歴史、素粒子論、相対論と量子論の統一理論、熱力学、そして宇宙における人間の地位を題材とした7つの物理講義。「とくに中心的な」統一理論として超弦理論でなく自分の専門であるループ量子重力を挙げる辺りはこだわりか。ループ入門には手頃かも。反面、熱力学と時間については古典的な印象も。古典や歴史にも通暁した学識と簡素ながらも鋭さのある解説は流石。ただ、各項の説明は本当に初歩の初歩。ベストセラーとは裏を返せば、これだけ易しくないと売れないのか、と思わないでもない。


イタリアではジャンル別ではなく、全書籍でトップのベストセラーになり、「奇跡」と言われた一冊とのこと。それは凄いことです。
しかし、「売れる本とはこれくらい初歩的なもの」だというのを見せられた後だと、興味深い本を見るたび「でもこれじゃ売れるには専門的すぎるか……」と、自分と世間との落差を思い知らされそうです。
ちなみに、著者のロヴェッリは物理学者ですが、人文学にも豊富な教養を持つ人だとあとがきでも言われています。それは事実。しかしその面でも、本書に表れているのはほんの一端でしかないように思われます。何しろ、古代ギリシアの哲学者アナクシマンドロスに科学的思考の起源を見るという本を書いて、紀元前のミレトスの歴史を述べ、古典ギリシア語でアナクシマンドロスの断章を飲用したりしているのと見比べれば、分かります。




「単独の宇宙」「時間の包括的実在性」「数学の選択的実在論(反プラトニズム・反規約主義)」という三つのテーゼに基づき、部分を理解するための理論を全体へと延長する宇宙論的誤謬を乗り越え、宇宙全体を理解するための自然哲学を目指す、哲学者と物理学者の共著。哲学的時間論ではなく現代の物理学が直面する問題から時間の実在性を唱えるのが味噌。スモーリンの部がTime Rebornより専門的なのはともかく、アンガーの部は繰り返しが多くやや辛い。ただ数学の選択的実在論だけでも価値はあったか。とにかく重要な一冊なのは確か。





11月の読書メーター読んだ本の数:10読んだページ数:2480ナイス数:322奇異太郎少年の妖怪絵日記 八 (マイクロマガジン☆コミックス)奇異太郎少年の妖怪絵日記 八 (マイクロマガジン☆コミックス)感想前半は絡新婦、骨女、ろくろ首、抜け首、二口女と女妖達が続々登場、里の新メンバーとして定着。今までにもまして美少女増量と思いきや、後半は化け猫、山姥、火消婆、砂かけ婆、姥ヶ火とババア連発という計算された構成。人型の妖怪は「特異な人間」という設定も多く、本作にもそれが反映されている。こうして人の世を追放され妖怪世界入りする者がいる一方で、麓の里で暮らしている妖怪もいて、これも妖怪の本質に関わるポイントか。それにしてもホネ子、手足は常に骨なのにラストで脱げた時だけ…。そして相変わらず奇異太郎の謎の器用な技。読了日:11月01日 著者:影山理一
もっと知りたいサルバドール・ダリ (生涯と作品)もっと知りたいサルバドール・ダリ (生涯と作品)感想個人的にダリは昔から馴染み深い画家なので、こういうコンパクトな本に書かれることならばかなりのことは既知。ポイントは画家の著作も豊富に引用し、ダブル・イメージの指摘も親切な作品解説、それに様々な作風を模倣した初期から、夫婦仲も冷え切って不遇になった晩年までの包括的な記述だろうか。最盛期の細密描写を示すいくつかの拡大写真や、例外的に抽象的な遺作《ツバメの尾》の読み解きがあるのも良かった。読了日:11月11日 著者:村松 和明
ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。感想失恋した女子高生・児嶋アリサのもとに哲学者ニーチェを名乗る男が現れる。以来、ニーチェをはじめキルケゴール、ショーペンハウアー、サルトル、ハイデガー、ヤスパースが現代の京都に現れ、哲学を教授してくれる日々が始まる…ニーチェの時には大胆に噛み砕きつつも外れてはいないという感覚だが、キルケゴールに至っては宗教的な部分を抜きにすると中身も失われた感が否めない。背景の異なる思考を伝える難しさよ。ただ、著者が自らの実存から、表面的な慰めでなく真の導きとして哲学を受け止めているのが伝わるのは好印象。読後感も良かった。読了日:11月16日 著者:原田 まりる
のんのんびより10巻 OAD付き特装版 (MFコミックス アライブシリーズ)のんのんびより10巻 OAD付き特装版 (MFコミックス アライブシリーズ)感想こちらは付録OVAについて。冬春夏秋と四つの季節に関する四編、内容は原作準拠だが春(蛍が駄菓子屋とクッキー作り)は見覚えなし。単行本未収録か? 夏は小鞠の夢編だが原作では本来冬のエピソード(第64話)。冬―蛍の雪遊び(原作65話)と秋―木の実採り(第60話)はネタそのものに季節感が満点で分かりやすい。やはり背景等によって自然と季節感を表現してこその本作であって、そこはしっかりしている。そしてここでもれんげが賢いこと。読了日:11月17日 著者:あっと
乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(7) (アクションコミックス(月刊アクション))乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(7) (アクションコミックス(月刊アクション))感想総大将ジシュカの裏切り、多くの女達も捕虜になり苦境のターボル軍。だが、娘を攫いにクマン人が街に潜入し、攫われたクローニャを助けるべくシャールカが動いたことから真冬の奇襲が始まる…多重の裏切り工作も成功し、最後は十字軍を国から追い出す勝利も戦争終結には至らず、さらに新たな内紛の影も。毎回不穏な影をちかつかせながら、それを振り払っての勝利を描いてきたが、どこで終局を迎えるのか…怖いながらも楽しみだ。女の戦いという点では、今回はクマン人の姫エドゥアとフランチェスカも、それに皇后バルバラの存在感も印象的だった。読了日:11月19日 著者:大西 巷一
ぼくらの16bit戦争 -ラララ終末論。II- (ラララ終末論。 2)ぼくらの16bit戦争 -ラララ終末論。II- (ラララ終末論。 2)感想冒頭は前巻の「男の子」視点の話だったが、主人公は彼を戦争に導いたレジスタンスの女リーダー・アルトだった。機械の暴走で壊滅的になった世界で、「16bit」と呼ばれる異能に覚醒した者達はそれを取り締まる勢力と戦っていた…謎に包まれていた状況が少しずつ見えてくる一方で、大局は未だ不明(むしろ誰か把握しているのかどうか)という絶妙な塩梅。アルトのある種の爽やさのお陰か読後感も良かった。原曲と比較すると、歌詞では象徴的に見えた鍵語がそのままに固有の用語として登場して、比喩を文字通りに語らせる再解釈という印象が強い。読了日:11月20日 著者:入間 人間
人生 ぷち (ガガガ文庫)人生 ぷち (ガガガ文庫)感想現役中高生の相談に答える『読売中高生新聞』連載版の単行本化、これをもって今度こそ最終巻らしい。相談員は初期メンバーの3人のみ。ただ、書き下ろしの最終回を除いて1話4ページしかないため、あらぬ方向に話が転がって行くいつもの持ち味は弱め。毎回回答ページには別個のキャラ絵があり、あとがきにもイラストを使ってのネタありでイラストはやけに凝っている。随所にキャラのらしさも見られたので良しとするか。読了日:11月22日 著者:川岸 殴魚
日々我人間日々我人間感想『週刊文春』の連載、気になっていたがちゃんと単行本化されたか。前半は東京の漫画喫茶に泊まり込み、後半は伊豆の別荘での計3年間の生活を綴る日記漫画。行き逢った不快な人、変な人をしばしば怒りを交えて描くのはもはや芸風だが、後半は環境の変化により人が減って虫や齧歯類との戦いが増えていく。虫の擬人化が多かったのは人間の女性が足りないせいか。その中でも珍しく日記漫画でなかったナウシカネタには大笑い。場面に応じた絵の味の出し方も外さず、老練の味である。久々の単行本を読めて良かった。読了日:11月26日 著者:桜 玉吉
The Singular Universe and the Reality of Time: A Proposal in Natural PhilosophyThe Singular Universe and the Reality of Time: A Proposal in Natural Philosophy感想「単独の宇宙」「時間の包括的実在性」「数学の選択的実在論(反プラトニズム・反規約主義)」という三つのテーゼに基づき、部分を理解するための理論を全体へと延長する宇宙論的誤謬を乗り越え、宇宙全体を理解するための自然哲学を目指す、哲学者と物理学者の共著。哲学的時間論ではなく現代の物理学が直面する問題から時間の実在性を唱えるのが味噌。スモーリンの部がTime Rebornより専門的なのはともかく、アンガーの部は繰り返しが多くやや辛い。ただ数学の選択的実在論だけでも価値はあったか。とにかく重要な一冊なのは確か。読了日:11月29日 著者:Roberto Mangabeira Unger,Lee Smolin
世の中ががらりと変わって見える物理の本世の中ががらりと変わって見える物理の本感想相対性理論、量子力学、宇宙観の歴史、素粒子論、相対論と量子論の統一理論、熱力学、そして宇宙における人間の地位を題材とした7つの物理講義。「とくに中心的な」統一理論として超弦理論でなく自分の専門であるループ量子重力を挙げる辺りはこだわりか。ループ入門には手頃かも。反面、熱力学と時間については古典的な印象も。古典や歴史にも通暁した学識と簡素ながらも鋭さのある解説は流石。ただ、各項の説明は本当に初歩の初歩。ベストセラーとは裏を返せば、これだけ易しくないと売れないのか、と思わないでもない。読了日:11月30日 著者:カルロ ロヴェッリ
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プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

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7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
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