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2017年1月の読書メーター

ついに今年の3月限りで私も京都大学大学院文学研究科を満期退学することになります(手続きに問題がなければ)。
と言っても、これからOD(オーバードクター)の期間で博士論文を仕上げねばなりませんし、退学後の当て(就職)が決まっているわけでもないんですが。

本ブログは読書メーターまとめ以外にも更新したいのですが、他のことに手を取られている状態です。
ちょっとどうなるかか分かりません。

ひとまず先月の読書メーターまとめです。
24冊5649ページでした。

読書メーター2017年1月

冊数は稼ぎましたが100ページ未満の薄い本や漫画が多いので実質多くはありません。
洋書は3冊読了してますが、内2冊は100ページ未満ですし。
以下は抜粋です。

【ライトノベル】



黒ギャルの東条あにすは異世界に転生した。ダークエルフと勘違いされて敵視されることもあるものの、モンスターや魔法の力たるマナとも仲良くなれるスキルで活躍する。彼女が出会った冒険者の少年ケンゴは「女難」のスキルを持つ故に女を避けようとしており…この設定なら転生より転移で良かったんじゃないかとか、ちょっと耳が尖りすぎてませんか(これはイラストの問題か)とか気になることはあるが、まあタフな主人公のお陰で軽く読めた。ラッキースケベをスキル扱いにして、それによる本人の苦悩に焦点を当てるという発想も悪くはないか。


正直なところ、

・生前の年齢、姿のままで異世界に突如送られる
・しかも本人は(元の世界で自分は死んだのだということを把握しつつ)「元の世界に戻る」ことを考えている。

この設定だと「死んで転生」だという意味を感じない、異世界転移(あるいは召喚)の方が相応しい気がします。そういう部分が一番気になる読者の方もアレですが。
「異世界転移」と「異世界召喚」は「小説家になろう」では独自ジャンルとして別枠になり、その区別にうるさかったりするので、そこに無頓着な作者はこの分野のプロパーじゃないな、と感じたり。それはどうでもいいんですが。


【漫画】



23世紀ものかと思ったら魔法ものの方の未来、火星植民地で日常的に魔法を使ってる世界だった。風林火山ネグリッシュ(眼鏡っ娘)は幼少時こそ祖父のステッキで魔法を使いこなし天才と呼ばれたものの、今は上手く行かない日々。そこに巨大魚や人魚が現れ、魔法を巡る異変が火星では貴重な入道雲に繋いで1巻で締め、ネタは割と良かった。人魚姫の件で百合要素ありかと思いきや、メインキャラ4人の誰と誰がくっつくという方には進まず、男女ベタベタする垣根が低いのは作者の描く未来もの共通かな。コマ外の描き込みネタは懐かしくて良かった。





 (前巻は2016年1月の読書メーターにて。ただし抜粋には入れていません)

今回は何と言ってもかつてハクメイがいたキャラバンの回。会うこともできず遠目に見て無事を伝えるだけ、しかもそれだけで道中は波乱万丈。でも過去の掘り下げも進むし良かった。釣りをして祭「樹鎮の夕べ」では悪魔役を演じ、仕事で廃屋を解体し…コンジュの隣人とかナライ会長の夫婦エピソードとか、サブキャラのエピソードも広がってる感じ。後、虫も隣人としていたけど虫メインの話は初めてのような。寸法の違いによる家具の扱いとか難しい。図書館ではハクメイの本を見出す意外な能力が。どれが一番と選べないくらい素晴らしかった。


ちょうど1年ぶりの新巻です。冒頭のエピソードは4巻最後のエピソードの続きでした。


【スポーツ】



2016年のシーズン、クライマックスシリーズ、日本シリーズの回顧。自分の過去の著書での言葉を振り返って考えの変わらないこと、進展したこと。そして選手かコーチ達への評価。なぜ大逆転優勝できたかではなく、なぜ11.5ゲーム差も離されてしまったかから考えること、短期決戦で打つべき手…著者の監督としての考え方が明晰に語られている。特にポストシーズンは全試合を裏舞台も含めて解説しており、リアル二刀流、1番ピッチャー大谷、中田翔への代打等の采配についても明瞭な説明あり。栗山野球の理解と'16年のまとめに相応しい。



【生物】



孤島の固有種である鳥を研究してきた鳥類学者、島について語る。島とは何かから始まり、特に大陸と繋がったことのない海洋島に着目する。海を越えて島に到着できるのはどんな生物が、どのようにしてなのか。その制約により生じる生物相の偏りと、その結果生じる固有種、そしてその脆さ。生物の移動と進化、その様々な具体例に生物多様性の維持と、かなり幅広いトピックに関わる一冊。最後の方まで読むと、この問題に公衆の感心を掻き立てるという本書の実践的意味も見えてくる。妖怪を例に挙げたり、毎頁冗談を飛ばすユーモアも健在で楽しかった。


以前に取り上げた『鳥類学者、無謀にも恐竜を語る』の著者による第二著。今回の話題はではなくです。まあ著者の専門が小笠原諸島の固有種であるメグロということで、著者の背ノンに深く関わる話題のようですが。
相変わらずジョークに溢れていて、しかし面白く分かりやすい科学書です。


【科学史・哲学】



19世紀の心理学・天文学における測定の誤差の問題から「十分の一秒」が重要なトピックとなった顛末、それを巡る議論の数々。それは、測定技術の進歩は何を捉え、何を逃すのかという深い認識論的問題にまで通じる。歴史のスタンダードな説明に挑み、過去のものと思われている問題が今にも通じていることを示す著者の手腕と知識の浩瀚さは見事の一言。登場人物の多くはマイナーな科学者だが、終盤にはベルクソンとアインシュタインの論争をもこの問題の中に位置付けており、同じ論争を主題とした次著に繋がるものも見て取れる。興味深い一冊。


2016年6月の読書メーターで取り上げた『The Physicist & the Philosopher』の著者 Jimena Canales の最初の著作(『The Physicist & the Philosopher』)が第二著に当たります)。まず「10分の1秒」という目の付け所にすでに独自性を感じます。両書でした。




現代は物質資源の消費量が減少し、情報技術やナノテクノロジーに移行している「脱物質化」の時代というのは本当か。事実、持続可能な発展のための命令、技術発展の動員という各面から「脱物質化」論を検討、その一面性を指摘する。さらには現代の新技術において一般的な「物質」ではなくそれぞれの特性の持った「素材」が重要になっているとの論を展開。技術による考え方の根本的な変化、その意義と危険性というオーソドックスな主題を扱った小著だが、さすがは優れた科学史家の手によるもの、切り口鋭く明晰。最後には質疑応答も収録。


上記の Canales が第二著『The Physicist & the Philosopher』で教えを受けた人として名を挙げていた一人がこちらの著者、Bernadette Bensaude-Vincent でした。
とりあえず薄くて手軽なものから読んでみましたが、なるほど「技術の革新による思想の変化」(遡れば)という着眼点からして通じるものがあります。そして間違いなく優れた考察を展開しています。


読んだの本の詳細は追記にて。


1月の読書メーター読んだ本の数:24読んだページ数:5649ナイス数:872虚実妖怪百物語 序 (怪BOOKS)虚実妖怪百物語 序 (怪BOOKS)感想水木しげるは「見えないもの」がいなくなったと怒り、怪談作家は取材が成り立たないと嘆く。他方で中東に『帝都物語』の魔人・加藤保憲が現れ、村上健司は取材で喋る石の精? を発見し、多田克己は浅草で一つ目小僧に出会い…と、実体を持った妖怪が続々出現し始める。猟奇犯罪も多発し、変わりゆく世界は妖怪文化の危機か…作者周辺の実在作家・編集者・研究者が大量登場の怪奇譚。人物が多すぎて一人一人の描写が薄いのも現実っぽくはある。京極夏彦は言及のみで姿を見せないのも布石か。考察は明瞭だが話の先は見えない、いつもの京極らしさ。読了日:01月01日 著者:京極 夏彦
トリコ 43 (ジャンプコミックス)トリコ 43 (ジャンプコミックス)感想総力でネオと決戦、その結末は、そして地球の崩壊は止められるのか…最終巻。端折り気味な面はあれど盛り上げは十分。ただトリコの仲に3体も悪魔がいたことが活かされてたかなは微妙だなあ。細胞はもっとたくさん種類があるとかの話になってるし。ただ、チンピラみたいな悪役キャラになってたアカシアの真意も判明し、作者らしい綺麗な締めを見せてくれたのと、ずっとバトル中心の流れになってたのが最後は「グルメ」に回帰し、今までの旅を振り返り、キャラと食材も再登場させて締めてくれたのは良かった。旅はまだ続く最後も納得で、概ね満足。読了日:01月02日 著者:島袋 光年
Comprendre Anaximandre (analyse complète de sa pensée)Comprendre Anaximandre (analyse complète de sa pensée)感想西洋哲学の始まりとも言われるアナクシマンドロスについての、実質20ページあるかどうかという入門書。むう、著者がどのくらい深い理解をもって書いているのかよく分からない。こと断片しか残っていない古代の哲学者については資料研究が問題になるだけになおさら。しかし説明のために神々を要しない「科学的」思考、師タレスへの批判などへの着目はロヴェッリとの共通点も多く、実際ロヴェッリも参考文献に入れているが、こちらはあらゆる事物が「不正により罰を受ける」という(神話的)思想にも触れているのがポイント。読了日:01月05日 著者:Anaximandre
虚実妖怪百物語 破 (怪BOOKS)虚実妖怪百物語 破 (怪BOOKS)感想妖怪が巷に溢れると同時に世相は荒み、悪いことは妖怪のせいという風潮になって、弾圧が起こる。作家達は避難し、荒俣宏の研究所を暴徒が襲撃する。黒史郎に取り憑いたしょうけらはクトゥルーに変貌し、荒俣が巨大ロボ學天則で進撃する……妖怪関係者は活路を見いだせるのか。今回、冒頭で意外とあっさり京極夏彦が登場、妖怪出現の仕組みを解明し始める。徹底したバカ話でありながら、妖怪は概念であるという作者のスタンスは不動であり、それに則りながらこの荒唐無稽な展開なのだから、お見事。さて、黒幕を倒して事態を収められるのか?読了日:01月07日 著者:京極 夏彦
夏に積乱雲まで (ビームコミックス)夏に積乱雲まで (ビームコミックス)感想23世紀ものかと思ったら魔法ものの方の未来、火星植民地で日常的に魔法を使ってる世界だった。風林火山ネグリッシュ(眼鏡っ娘)は幼少時こそ祖父のステッキで魔法を使いこなし天才と呼ばれたものの、今は上手く行かない日々。そこに巨大魚や人魚が現れ、魔法を巡る異変が火星では貴重な入道雲に繋いで1巻で締め、ネタは割と良かった。人魚姫の件で百合要素ありかと思いきや、メインキャラ4人の誰と誰がくっつくという方には進まず、男女ベタベタする垣根が低いのは作者の描く未来もの共通かな。コマ外の描き込みネタは懐かしくて良かった。読了日:01月09日 著者:竹本 泉
虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)感想迫害された妖怪関係者は富士の裾野に集い、敵の正体を解明して反撃に臨む。敵は日本中から余裕と馬鹿を奪っている。古典の百鬼夜行からうしおととらに犬夜叉、怪獣と貞子まで出現させて自衛隊と対峙し、ついに全面対決の時。フィクションとリアル、作者(荒俣)とキャラクター(加藤保憲)が対決する超メタ小説は、妖怪とは非存在であるという考察を徹底して、その妖怪を今のリアルの中で実現する唯一の道。この設定なら突然『豆腐小僧』とのリンクも必然か。榎木津平太郎の設定も全て伏線で、最後は水木翁追悼。大笑いしながらも納得の結末。読了日:01月10日 著者:京極 夏彦
そもそも島に進化あり (生物ミステリー)そもそも島に進化あり (生物ミステリー)感想孤島の固有種である鳥を研究してきた鳥類学者、島について語る。島とは何かから始まり、特に大陸と繋がったことのない海洋島に着目する。海を越えて島に到着できるのはどんな生物が、どのようにしてなのか。その制約により生じる生物相の偏りと、その結果生じる固有種、そしてその脆さ。生物の移動と進化、その様々な具体例に生物多様性の維持と、かなり幅広いトピックに関わる一冊。最後の方まで読むと、この問題に公衆の感心を掻き立てるという本書の実践的意味も見えてくる。妖怪を例に挙げたり、毎頁冗談を飛ばすユーモアも健在で楽しかった。読了日:01月11日 著者:川上 和人
肉女のススメ  1巻 (ヤングキングコミックス)肉女のススメ 1巻 (ヤングキングコミックス)感想デザイナー狼谷花子は食べ方が汚いということで挙式3週間前に彼氏にフラれた。同じ事務所の受付嬢・犬塚まりあは表向き穏やかだがプライヴェートでは大食いでオタク。上司の熊代奈津美も肉食にハマりつつあった…弁当や大衆食堂から焼肉まで、もっぱら肉料理のみに焦点を当てたグルメ漫画。庶民的な肉料理中心という目の付け所がまずポイント、料理の表現は十分だし、食べている女子の表情の色っぽさは強い特色。しかしここまでのところ女子3人での食交流が中心で、狼谷の食べている表情に勃起する年下の上司・鷹木との関係はどうなるんだろうか。読了日:01月11日 著者:小鳩 ねねこ
ゲゲゲの鬼太郎 1 鬼太郎の誕生 (中公文庫 コミック版 み 1-5)ゲゲゲの鬼太郎 1 鬼太郎の誕生 (中公文庫 コミック版 み 1-5)感想幽霊族最後の生き残り夫婦から鬼太郎が生まれる表題作では、人間に育てられたという生い立ちが、人間を助けて妖怪退治する鬼太郎の背景として重要なのが分かる。死んだ人間でなく独自の種族としての幽霊という設定も面白い着眼点。長めの「妖怪大裁判」や「釜なり」等では砂かけ婆や子泣き達メンバーが鬼太郎を助ける話あり、過去に助けられた・退治された妖怪への言及ありで、お馴染みのフォーマットが出来てくる。後は「泥田坊」、元は陸軍に田を奪われた農民だったとは。アニメだと筋はそのまま、時代に合わせた開発に置き換えられてて興味深い。読了日:01月12日 著者:水木 しげる
小林さんちのメイドラゴン 公式アンソロジー(1) (アクションコミックス(月刊アクション))小林さんちのメイドラゴン 公式アンソロジー(1) (アクションコミックス(月刊アクション))感想う~む執筆陣の大半を知らず最近の漫画に疎いことを実感。ネタとしては日常コメディ、オタク趣味ネタ、それに魔術の類による肉体変形ネタが主か。原作の世界観を大胆にぶち壊すようなネタはあまりなく、これは方針か原作の懐の深さか。原作が時に見せるシリアス要素が薄めな分大人しいとも言える。読了日:01月13日 著者:浜田よしかづ,堀博昭,伊藤ハチ,OYSTER,ノブヨシ侍,鮭夫,鳥取砂丘,221,黒川おとぎ,GUNP,AHOBAKA,木村光博,吉北ぽぷり,クール教信者
ハクメイとミコチ 5巻 (ビームコミックス)ハクメイとミコチ 5巻 (ビームコミックス)感想今回は何と言ってもかつてハクメイがいたキャラバンの回。会うこともできず遠目に見て無事を伝えるだけ、しかもそれだけで道中は波乱万丈。でも過去の掘り下げも進むし良かった。釣りをして祭「樹鎮の夕べ」では悪魔役を演じ、仕事で廃屋を解体し…コンジュの隣人とかナライ会長の夫婦エピソードとか、サブキャラのエピソードも広がってる感じ。後、虫も隣人としていたけど虫メインの話は初めてのような。寸法の違いによる家具の扱いとか難しい。図書館ではハクメイの本を見出す意外な能力が。どれが一番と選べないくらい素晴らしかった。読了日:01月14日 著者:樫木 祐人
この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)感想昭和と共に広島で生まれ育った浦野すずは、18歳で呉の北條周作に嫁入りする。広島の海苔漉きに始まり、次第に戦争が深刻化して、配給の物資も乏しくなる中での衣食住、日常生活を丹念に描いた物語。この巻の内はすずの身の上に悲劇は到来せずほのぼのした空気。映画はここまでのエピソードを概ね忠実に拾いつつ、温かく素朴な原作の絵を写実的な背景と巧みに融合させていたのを実感。同時にここはオチだったのね、ってのも分かる。すずのマイペースでとぼけた性格と目を細めて苦笑するような表情が癖になる味わい。非常に良かった。読了日:01月14日 著者:こうの 史代
彼女と僕の伝奇的学問 (メディアワークス文庫)彼女と僕の伝奇的学問 (メディアワークス文庫)感想知り合いがチェックに関わっていたと聞いて。大学で民俗学サークルに入った能見啓介は、古い祭儀の習慣が残る葦加賀村への調査旅行に参加する。だが村で予備校時代からの女友達・弓立桜花の姿を見たことから、隠された裏の慣習を知ることになり…意外と(失礼)民俗学に関する考証はしっかりしていた感じ。現代となっては忌まわしい習俗とそれに対する倫理的葛藤の描写も悪くはなかった。確かに胸糞悪い話ではあるが。ただ主人公が一番無能な凡人で冴えず、不思議っ娘の雪希に頼りっぱなしだったような。鈍感主人公を巡るラブコメ要素も必要かね。読了日:01月15日 著者:水沢 あきと
黒ギャルが異世界に転生してダークエルフと勘違いされました ~モンスターもマナもマブって実は最強~ (講談社ラノベ文庫)黒ギャルが異世界に転生してダークエルフと勘違いされました ~モンスターもマナもマブって実は最強~ (講談社ラノベ文庫)感想黒ギャルの東条あにすは異世界に転生した。ダークエルフと勘違いされて敵視されることもあるものの、モンスターや魔法の力たるマナとも仲良くなれるスキルで活躍する。彼女が出会った冒険者の少年ケンゴは「女難」のスキルを持つ故に女を避けようとしており…この設定なら転生より転移で良かったんじゃないかとか、ちょっと耳が尖りすぎてませんか(これはイラストの問題か)とか気になることはあるが、まあタフな主人公のお陰で軽く読めた。ラッキースケベをスキル扱いにして、それによる本人の苦悩に焦点を当てるという発想も悪くはないか。読了日:01月16日 著者:七烏未 奏
A Tenth of a Second: A HistoryA Tenth of a Second: A History感想19世紀の心理学・天文学における測定の誤差の問題から「十分の一秒」が重要なトピックとなった顛末、それを巡る議論の数々。それは、測定技術の進歩は何を捉え、何を逃すのかという深い認識論的問題にまで通じる。歴史のスタンダードな説明に挑み、過去のものと思われている問題が今にも通じていることを示す著者の手腕と知識の浩瀚さは見事の一言。登場人物の多くはマイナーな科学者だが、終盤にはベルクソンとアインシュタインの論争をもこの問題の中に位置付けており、同じ論争を主題とした次著に繋がるものも見て取れる。興味深い一冊。読了日:01月18日 著者:Jimena Canales
この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)感想昭和19年7月~20年4月。砂糖の配給も停止し、呉に初の空襲が来る。すずは闇市の帰りに遊郭に迷い込んで遊女の白木リンと出会い、また幼馴染みの水原哲とも再会するが…この巻から映画には収録されなかったエピソードも多い。特にすずの友人となり、時に憧れと嫉妬を喚起するリンの存在感。水原との夜は何ともいい雰囲気だが、すずは今の夫を大切にし、そのそっけなさに苛立つ。誠実だ。基本はのほほんとしたすずが強い感情をぶつけたり沈んだりする様が出てくるのが印象的だが、それは戦争の影とイコールではない。そこにまた味わいがある。読了日:01月19日 著者:こうの 史代
彼女と僕の伝奇的学問〈2〉 (メディアワークス文庫)彼女と僕の伝奇的学問〈2〉 (メディアワークス文庫)感想孤島・九重島にシャーマンの神懸りの取材にやって来た民間伝承研究会一同。しかも新たな巫女の沙織は会長・風守楓のかつての馴染みだという。他方で沙織の父・義男が島の開発を狙っており島には不穏な空気が…現代には歪なものとなった古い習慣が引き起こす騒動と悲劇、隠された信仰の謎解きというフォーマットは相変わらずで、今回は会長のドラマでもある。相変わらず主人公の能見は冴えなさすぎていささか苛立ち、雪希が美味しいキャラと役回り。ただ、ビジネスでの成功を狙う人間が簡単に人を殺そうとするってのは短慮すぎてどうなんだろうか。読了日:01月19日 著者:水沢 あきと
「最高のチーム」の作り方「最高のチーム」の作り方感想2016年のシーズン、クライマックスシリーズ、日本シリーズの回顧。自分の過去の著書での言葉を振り返って考えの変わらないこと、進展したこと。そして選手かコーチ達への評価。なぜ大逆転優勝できたかではなく、なぜ11.5ゲーム差も離されてしまったかから考えること、短期決戦で打つべき手…著者の監督としての考え方が明晰に語られている。特にポストシーズンは全試合を裏舞台も含めて解説しており、リアル二刀流、1番ピッチャー大谷、中田翔への代打等の采配についても明瞭な説明あり。栗山野球の理解と'16年のまとめに相応しい。読了日:01月21日 著者:栗山 英樹
かがみのサーカス  かがみのえほん (福音館の単行本)かがみのサーカス かがみのえほん (福音館の単行本)感想かがみのえほんシリーズ第3弾が出たと知って。紙質の関係でちょっと開きにくいので、普通に開いていくとうまく90度になり、後で両ページをこうなってたのね、と確認したり。曲芸とかゾウの鼻とか、鏡像により三次元的な形態を再現できるのが素晴らしい。最後の「増殖」も鏡を使った王道ネタか。読了日:01月21日 著者:わたなべ ちなつ
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)感想晴美の死のインパクトとそこから一気に鬱屈を抱えていくすずの心理描写が凄まじい。自らも右腕を失い、実家のある広島への原爆投下、そして終戦。何のためにここまで犠牲を耐え忍んできたのか、という感情の炸裂は強く訴える。そしてそんな悲劇の中で、時には居づらさを感じることもあった嫁入り先の北條家を自らの居場所として見出すすず。悲劇の後でも緩いオチもあって、辛さも幸せもそれで十分伝わる。最後でカラーになる演出も鮮やか。見事だった。映画でカットされたのはリン関係が少しだけか。幼少時に見た天井裏の子供がここに繋がるとは。読了日:01月24日 著者:こうの 史代
俺の妹がカリフなわけがない!俺の妹がカリフなわけがない!感想天馬愛紗は天馬家が予言者ムハンマドの子孫だという祖父の言葉を信じ、カリフを名乗って学園の生徒会長に立候補する。底辺の兄・垂葉は妹の行動に頭が痛いのだが…。イスラーム法学者・中田考の原作によるイスラームとカリフ入門漫画。最初はマッドドクター和田たち学校の異常性の方が目立っててどうなるかと思ったが、中盤からは確かにイスラームの話をしていた。カリフは男性であるべきという反論にハリーファは本来女性形と答えるのには感心したが、そこで笑うのは私みたいな語学マニアだけでいい。階層の厳しい学校は『暗殺教室』オマージュか。読了日:01月25日 著者:中田 ハサン 考, 天川 マナル
ムルシエラゴ(9) (ヤングガンガンコミックス)ムルシエラゴ(9) (ヤングガンガンコミックス)感想長かった「忘却の桜」編も終幕。最期まで自分であり続けることにこだわり、自ら選んだ戦い方と死に方を貫いた緋垣はこの漫画の敵役の中でも幸せな方だったのでは。ひな子の正体についても少しずつ判明してきた。改造人間がデザイナーズチャイルドの類かね。黒幕は1~2巻の敵だった悟兵衛の殺されたはずの孫娘……全てが繋がっており今後がますます楽しみだ。後半は藍子も仲間に加えて釣り旅行…のはずが何と巨大ロボ戦になろうとは。何に乗っても強いひな子が大活躍、未知の乗り物でもいけるらしい。番外編は何かと思ったらゲームとのコラボか。読了日:01月25日 著者:よしむら かな
彼女と僕の伝奇的学問 (3) (メディアワークス文庫)彼女と僕の伝奇的学問 (3) (メディアワークス文庫)感想早池峰雪希が突如退学した。雪希の妹・氷雨からの願いを受けて彼女の故郷・遠野に向かう民間伝承研究会一行…。今回の題材は『遠野物語』。謎めいたキャラだった雪希がますます神秘的な活躍。雪希の魅力は十分味わえたが、彼女の万能っぷりから任せとけば大丈夫じゃないの? と思ってしまうのも事実。そんな中でも頼りなかった主人公の能見に役目が与えられ、彼が真相に気付く活躍もあったのは良かった。最後は明らかに怪現象が起こっての締め。真相の全ては分からないというスタンスは分かるが、全て雪希の神秘性に作品全体が引っ張られた気も。読了日:01月26日 著者:水沢あきと
Se liberer de la matiere ? fantasmes autour des nouvelles technologiesSe liberer de la matiere ? fantasmes autour des nouvelles technologies感想現代は物質資源の消費量が減少し、情報技術やナノテクノロジーに移行している「脱物質化」の時代というのは本当か。事実、持続可能な発展のための命令、技術発展の動員という各面から「脱物質化」論を検討、その一面性を指摘する。さらには現代の新技術において一般的な「物質」ではなくそれぞれの特性の持った「素材」が重要になっているとの論を展開。技術による考え方の根本的な変化、その意義と危険性というオーソドックスな主題を扱った小著だが、さすがは優れた科学史家の手によるもの、切り口鋭く明晰。最後には質疑応答も収録。読了日:01月28日 著者:Bernadette Bensaude Vincent
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プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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実名での仕事
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