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自由とはこういうこと…

さて、私も油絵に関しては初心者に毛が生えた程度(高校の美術で描いたことがありますが、その後はしばらく空いていて、大学1年時と2年時にそれぞれ6週間程度、後は個人で多少)ですし、まずはその立場から考えてみます。
初心者がいきなり絵具とカンヴァスを手にして「さあ、描いてみてごらん」と言われた場合、下描きの仕方を考える人はほとんどいないのではないでしょうか。油絵は重ね塗りで描き直しが効くなどと知ってしまえばなおさらです。
詳しいことは知りませんし、油絵を専門的に学んだ人なら描き方も色々でしょうが、多少なりとも聞き及んだ限りでは、油画の学生でも下描きのことまで考えている人は多くはないようです。

しかし、盛期ルネサンス辺りまでの古典的な西洋絵画においては、単色の絵具等で入念に(今の学生が鉛筆や木炭でで紙に描いているデッサンのように)下描きをしてから絵具を置いていくものでした。
しかし技法史研究の専門家の間ですら、下描きのことまではなかなか注目されにくかったと言う話ですから、容易にそこまで気が回るものではないでしょう。

別にどちらのやり方が良いと言っている訳ではないのですが、問題は、「下描きを入念に描いてから絵具を置く」というやり方の可能性にすら気付かずにいることですね。
「他の可能性があり得た」こと自体に気付かず、知らぬ間に数ある可能性の1つに行き着いてしまうというのは、実は不自由な話です。

必ずしもこれは絵の描き方の問題に限ったことではなく、考え方についてもそうで、自分の中にある偏向に捕らわれたまま、他の可能性に気付きもしないというのは、――(他の何者かではなく)「自らに由(ヨ)」っていると言えばそうでしょうが――自由としては貧しい部類に入るでしょう。
「自由にやりなさい」と任せているだけでは、その人は自分でも気付かないものに捕らわれてしまい、必ずしも自由にはなれない――では人の自由を豊かにするにはどうすれば良いのかと言われると、ことに問題が美術等である場合、かなりの難題であることは確かです。
                           (芸術学3年T.Y.)

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テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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