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ハーバード白熱教室とは関係のあるようなないような話ですが

昨夜、NHK教育で、マイケル・サンデル教授が8月に来日して東大安田講堂で行った講義が放送されていましたね。
サンデル教授の「政治哲学」の講義はハーバード大学で史上最多の受講者数を記録した超人気講義だとかで、これがNHKで「ハーバード白熱教室」として放送され、書籍の方の翻訳も日本語訳が出て、いずれも話題を呼びました。

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
(2010/05/22)
マイケル・サンデルMichael J. Sandel

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さて、その中でこんな話が。

東京大学を志願する学生で、入学後授業についていけないほどではないが、入試合格点には届かない者がいる。その志願者の親が大変裕福で、子供が東京大学に入学したら5000万ドル(約44億円)を寄付すると言っている。この志願者を入学させれば、寄付金で設備を充実させ、他の多くの学生の利益にもなるだろう。
この志願者の入学を認めるべきだと思うか?


ここで、「皆に利益になるなら認める」という功利主義の立場を取るか、あるいは「大学本来の目的に照らし合わせてふさわしくない」と考えるか…といった「正義」の概念についての議論が交わされる訳ですが…

それとは別に、私の正直に思ったところを言えば、「5000万ドルあるならいいじゃん」と。

聞いた話だと、本学の年間の維持費が20億円くらいなんですよ。44億円あれば、どれほど設備を充実させられるか…「大学の目的はお金儲けではない」と言ったところで、研究・教育資金は大事ですよ。まあ、本学に5000万ドル寄付する人はいないと思うので、意味のない話ではありますが。
東大の場合だとどうか分かりませんが、少なくとも確かなのは、本学とは比べものにならないほど予算規模は大きいはずで、44億円の恩恵もその分小さいだろうということです。

もちろん、「入試をくぐり抜けて入学した」ことに栄誉を感じている人は、この意見に賛同しないでしょう。これに対しては「入試というある一時点のことが何だ、入学後に学ぶことはどうなる」と言いたくなりますが、しかし考えてみると、「その大学に在籍すること」に栄誉を感じているのでなければ、その志願者の親も大学に大金を寄付しませんよね。
純粋に「その大学の教育が素晴らしいから、その大学で学びたい」と思われるような素晴らしい大学であれば、そう資金に困ってはいないはずであって。この論理で考えると、いずれにせよ必要なところに寄付金は回ってこないでしょう。

……いや、教育の質と資金の量は(関係はありますが)別かも知れませんね。国公立大学は昔から金がないので知られていましたし。(国立大学は法人化の際に変わった)

もう1つの問題は、「大学の本来の目的は研究・教育」と考えたとしても、その目的に唯一ふさわしい選抜が「入試」なのかということです。入試が本当に大学入学後に学ぶ能力を測っているのかというのも常々議論の的です。これはたんにある特定の入試制度に対する批判にとどまらず、「どんな試験にも限界はある」ということですね。

これが芸大の入試となるとさらに難しい。今や美大入試、いや入試問題にとどまらず、そもそも入試のための勉強でで石膏デッサンをやっているのは日本とか韓国くらいのもので、「今の時代にアーティストを養成するには古い」という考えは当然あります。
「“大学本来の目的”にかなった選抜」は可能か? 実は難しい問題です。
                           (芸術学3年T.Y.)

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テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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