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芸大生としてのアイデンティティ

先日に引き続き、もう少し森田(恒)先生にまつわる話です。(やはり、内容に関する責任は私に帰属します)

まず先生の言葉からいくつか。

「『日曜美術館』みたいなTV番組を見ていても、出て来る人はたいてい文学系の研究者なんですね。私に言わせれば、文学と美術は全く違う。美術には美術の見方がある

「まず作品をよく見ていく。それをしないと、これから美術は文学の人に絶対勝てません

一方で、彫刻の客員教授である北川フラム先生が以下のように手厳しく言っていたことも思い出されます。

「今、『美術手帳』のような雑誌を見ると『ウィトゲンシュタインによれば…』なんて書かれています。いいですが、ウィトゲンシュタインですよ。美術批評なんて昨日読んだ本の感想文になってます

私の見て取ったところでは、立場は違えど両先生に共通してあるのは、「美術を扱うものはどうしていくべきか。今のままで大丈夫か」という美術関係者、さらには業界そのものの将来に対する危機感です。
さらに言うなら、「文学(に限らず、他の業界)と同じ言葉、同じ方法論で同じようなことを言うだけなら、わざわざ美術を扱う意味は何なのか」という問題だとも言えると思います。
これはたとえ研究者・専門家にならないとしても避けられない問題で、つまりは「芸大という場所で、あなたは一体何を学んできたのか」という芸大生としてのアイデンティティの問題です。

こういう話が必ずしも喜ばれないことは覚悟の上で、それはつまり、専門家というのは「あなたはなぜそこに立っているのか」という自分の足下の話はしないものだからです。そして芸大ともなれば、最初から専門家養成一直線みたいな傾向は確かにあります。
しかし、自分の拠って立つ基盤のことを考えないで安穏としていられる程、今は安全な時でしょうか。
大学を出て行った後、出身大学について訊かれて、「う~ん、偏差値55くらい、芸大生にしては芸もないし…(芸術学の場合)」では、あんまりだと思いませんか
そして今、本学はそういうことを問える状況にある(これもまたいずれ詳しく話します)、それを自覚して、活かして欲しいと思います。
                           (芸術学2年 T.Y.)

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テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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