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すべてどんどん変化している

唐突ですが、日本で初めてAO入試を導入したのは慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(通称SFC、'90年創設)でした。

それはアメリカで行われていたAO(アドミッションズ・オフィス)での書類による選抜制度にヒントを得たものだった。……
それは従来に比べて、大変なコストを要求する方法だった。……
しかし、このAO入試は大成功だった。問題意識の強烈な学生、個性的な学生が多数選抜できたからだ。しかし、それは学力外での優秀さだけではなかった。成績でもAO入試の合格者が、一般選抜の合格者よりも上だったのである。
 (中井浩一『大学入試の戦後史』、中公新書ラクレ、2007、p.86-87)


かくしてAO入試は「時代の寵児とな」り(同書、p.88)、他にも多くの大学が次々と取り入れていくわけですが、それにしたがって次第に変質し、現在、多くのところで「推薦入試の変化球」(石渡嶺司)として使われるようになります。
つまり、名目上「推薦入試とは別物」として扱われているために、「推薦入試はいつから」「推薦入学は入学定員の何割まで」という規定の制約を受けないのですね。そこで学生の「青田買い」に利用されるようになった、と。

だめ押し的なのはSFCの現状だ。SFCは確かにAO入試開始当初は成功していたが、「それは五年ほどだった」と、関係者は語る。AO入試合格者と一般選抜合格者との差が縮まり、「AO入試で全体を底上げする」戦略は二○○○年には破綻していたようだ。
 (同書、p.91)


数年で新しい入試の力も失われてしまうのは、入試対策がマニュアル化されるせいでしょうか。本当の理由は分かりませんが、とにかくこういうことが起こるのですね。


長々とこんな話をしたのは、「同じ入試制度を続けていても、入って来る学生が同じとは限らない」とつねづね思うからです。

まあ、当たり前なんですけどね、「制度が同じでも、状況は刻一刻と変わっている」なんてことは。

本学についても――入試情報などあまり具体的な話はできませんが――しばしば思います。

たとえば、20年前は30倍くらいあったという油画の倍率も10倍を切るに至っているとか、そういうこともありますが(これは少子化を考えれば当然)、何より本当に女子比率が高くなっていますね。比較的若い方でも、先生方が学生だった頃は男子ばかりだったと聞くのに…
とはいえ、20年、30年も経てばそのくらい変化して当然と思われるかもしれません。

とりあえず「なぜ美大・芸大は女子ばかりなのか」という問いに対してよく聞く答えは「女の方が将来の心配をしなくていいから」というものでしょう。つまり、今や景気も就職状況も悪化し、男子は「将来の心配をして」避ける度合いが高まる一方、女子が美大・芸大を目指す道は広く開かれる風土ができてきた、とか。
個々の女子学生にとっては当てはまることも当てはまらないこともあるかも知れませんが、この論に一定の説得力はあると思います。

…ただ、我々の芸術学は創設10年目なんですが…最初だけ男性比率が高くて…。
私の学年では男は私7人中私1人、これより下の学年に男はいません。1・2年生合わせて13人全員女の子です。
まあ、1学年5人程度だと、偶然による面も大きいでしょうね。年ごとの気質の違いも大きいのをよく感じます。
1期生(私がお会いしたことのある相手の方が少ないですね)に男性が多かったのは、たまたまと言えばたまたまなのかも知れませんが…はてさて。

それはそうと、男手が足りないために芸祭店舗の設営のような作業に支障をきたしているというのは、あちこちで少なからず起こっていることのようです。でも伝統の店が廃業したりしたら寂しいことです。
                           (芸術学3年T.Y.)

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テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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