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「正義」の話

あけましておめでとうございます。

さて、登山には行って来ましたが、カメラが故障したので写真はなしです。
元旦には帰ってきていたのですが、そのまま更新を怠ってしまいました。何しろ、今回はリュックサックを旅館等に置いて最小限の荷物のみで登る予定しかなかったので、辞書まで持って行って温泉旅館でも文献を文献を読んでいたくらい、まあ忙しいのです。

旅館の部屋にいるとだいたいTVをつけています。紅白歌合戦見るともなしに見ていました
紅白に劣らず恒例なのが、一年間のニュースを振り返るという類の番組ですね。
色々ありましたね。不祥事とか外交問題とか

全てには触れられませんが、少しだけ。
検察の証拠捏造という事件がありましたよね。この件も当然取り上げられて、街頭インタビューらしきもので「市民の声」を紹介する場面もありました(以前も同じようなインタビューを見た覚えがあります。例によって映像の使い回しでしょう)。
で、こんな発言が。

「検察は正義だと思ってたのに、これじゃ何を正義として信じればいいのか」

えっ、検察が正義だって?

いいですか、英語では「正義」=「裁判」=「justice」です。これはヨーロッパ言語ではどこでも概ね同じのはずです。そして、基本的に近代法制度は欧米発です。その近代法制度においては…

 ……刑事裁判とは被告を裁くためのものではありません。ましてや「犯罪者を裁くためのもの」などとんでもない。そんな答えをしていたら即刻、本講座から退学処分です。
 そもそも、刑事裁判においては、被告は有罪が確定するまでは無罪と見なされるというのが近代デモクラシー裁判の鉄則です。
 たとえ、どれだけ物的証拠があろうと、心証が真っ黒であろうとも、その人は無罪であるとして扱わねばなりません。
 判決が確定するまでは、どこにも犯罪者は存在しないわけですから、「犯罪者を裁く」という表現は本来、ありえないことになります。
では、いったい刑事裁判は誰を裁くためのものか。
 それは検察官であり、行政権力を裁くためのもの。
 裁判で裁かれるのは、被告ではありません。行政権力の代理人(アトーニー)たる検察官なのです。
 ……
 ですから、刑事裁判では検察側に1点でも落ち度があれば、ただちにアウトです。少しでも法に触れる操作をしたり、手続き上のミスが1つでもあったり、真実の証明が不完全ならば、検察は負け、被告が勝つ。
  (小室直樹『痛快!憲法学』、集英社、2001、pp.22-24)


「裁判=正義」で裁かれる側である検察が正義のはずはないのです。

そもそも、特定の個人や機関はつねに悪をなすことができます「正義」が特定の個人や機関に属しているということは、ありえないのです。

それが「検察は正義」なんて持ち上げられていたら、それこそ「俺は正義だから何をやってもいい。証拠を捏造したっていい」と思っても不思議はありません。事件の報道こそが、なんでこういう事件が起こるのかを雄弁に物語っています。

しかし、さらに考えれば、TV報道が「市民の声」なるものをそのまま伝えているとは言えません。
世の中に上記のようなことを知らない人がいるのは不思議ではありません。ただ、そういう声をわざわざピックアップするTVにはどんな意図があるのか、と考えたくなります。
「検察は正義」と人々に思わせてどうするつもりなのか?
                           (芸術学3年T.Y..)

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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