オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
ちょっと政治に傾きすぎか
原因は単なる書き損じです。就職で出すものなら、修正跡などがあってはまずいと言いますが、博物館実習の申し込みに出すものはどうなのでしょう。
結局書き直しで何回も。
鉛筆で下書きするか、いっそPCで打ち込めればいいんですけどね。PCに関しては、所定の用紙に印刷する技術がないので(履歴書用紙の枠ごと印刷できればいいんですが、それはまだできていません)。
次回からは鉛筆下書き必須ですね。
そういうしょうもない状況ですが、何とか博物館実習の申し込みは出してきました。
後は結果を待つのみ。
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(先日の続き)
なぜ民主主義が誤解され、根付いていないのか。
社会学者・宮台真司氏の指摘を。
宮台 ……日本にはなぜ「権威主義=任せる政治」ばかりで、欧米流の「参加主義=引き受ける政治」が根づかないのか。背景には、少なくとも四○○年ほど――十七世紀まで――さかのぼる、長いガバナンスの伝統があります。
今回の総選挙でも、選挙前には「民主党に任せられるか」という議論が、選挙後は「お手並み拝見」という態度が拡がります。自ら引き受けるものとして政治を捉える伝統がない以上、仕方ありません。「任せる政治」は、十七世紀以降の江戸幕府の治世の成功に由来します。
……
有権者と政治家の分断は、地方政治において日本では専業政治が専らであるのが背景です。米欧では地方政治とりわけ基礎自治体の政治は、普通の生活者が、仕事が終わって十八時や十九時から、三時間ないし四時間、議会に参加するのが、ノーマルな形式です。
(宮台真司・福山哲郎『民主主義が一度もかった国・日本』、幻冬社新書、2009、pp.35-36)
ただし、先に一つ断っておきますが、出版年を見れば分かる通り、この対談本は民主党が政権をとった直後に出たもので、「なぜ自民党が敗れ民主党が勝利したのか」と問うて民主党を賞賛する論調ですから、すでにかなりの部分、賞味期限切れの感があります。
まことに、たまに選挙で名前を投じればどうなるのかというと、あまりにも投票用紙から現実の政治は遠い。
とは言え、江戸時代以来まるで状況が変わっていないのかというと、いかがでしょうか。小室直樹氏は、戦前にも前後にも、日本に「デモクラシーが生じた」ことがあったにも関わらず、いずれも「デモクラシーは自殺した」として、戦後民主主義の「死」は田中角栄元首相をロッキード裁判で抹殺した時にあった、としています(『痛快! 憲法学』)。
とは言え、「一度民主主義が根づいたが、死んだ」のは「伏流していた江戸時代的なものが復活したから」という可能性もありますから、両者の見解が対立するとも限りません。
では、例えば思い切り範囲を絞り、町内レベルの「地方政治」であれば、政治家に「お任せ」するのではなく、自ら参加したいと思うか。
Yes…と言いたいところですが、よく考えてみるとそれでどんな「政治」を行うのか。
我が家の周辺は滅法便利ですし、特に困っていることもありませんし、「喫緊の課題」があるかと言うと、はてさて……
これが一つの原因のような気はします。
つまり、恵まれていて、本気で政治にコミットしなければならない理由がないから、「何でもいいから政治を攻撃する」ことで事足れリとしているのではないか、と。
宮台氏が江戸幕府の治世の「成功」と言っているのも、あるいはそういうことかも知れません。
自戒も込めなければいけないところですが。
P.S.
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初代内閣安全保障室長を務め、東大安田講堂事件やあさま山荘事件を担当した佐々淳之氏。
「危機管理のスペシャリスト」と言えば、他の誰でもないこの人のことでした(私は当然、聞き及ぶのみですが)。
そんな佐々氏による民主党政権批判の書です。
個々の事例に対する評価においては、佐々氏と政治的立場で完全に一致はしないとしても、「国防」という観点から政府の危機管理能力を問うているところは、さすがにスペシャリストならではの重みがあります。民主党政権になってからの主要な政治的事件がよくまとめられてもいますし。
ところで「著者紹介」によれば、佐々氏は「89年、昭和天皇大喪の礼の警備を最後に退官」とのこと。ここでも昭和という一つの時代がその時終わったんだなあ、と。
それから20年あまり――震災・原発事故という未曾有の危機が訪れて改めて、「いかに何でもまずい」レベルでボケていたことが発覚しているのが今ですね。
(芸術学3年T.Y.)
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