FC2ブログ

三次元は二次元に超越しない

「魔法少女まどか☆マギカ」に関する話はとりあえず一段落つきましたが、まだそれに関わることを一部引っ張っています。
もう今回は「まどか☆マギカ」に関するネタバレ話はありませんが、前回までに一部結びついているところも。まあ前回までを読まなくても通じるようにしたいものですが。

古い話ですが、私が子供の頃(1993年)、「勇者特急マイトガイン」というアニメがありました。
サンライズのロボットアニメ「勇者シリーズ」の一つで、大富豪の主人公・旋風寺舞人がいわば趣味でマイトガインを始めとするロボットを作って悪と戦ってるとか、地球を貫通してリオデジャネイロからヌーベルトキオシティ(=新東京)に帰還したりと、相当にとんでもない設定と展開が満載のアニメでした。
で…この作品のラスボスはブラック・ノワールというのですが、最終回でついにマイトガインと対峙すると、自分のことを「この二次元世界を征服するためにやってきた三次元人」だと言います。
えっ、「マイトガイン」の世界は二次元なのか? と驚かされますが、要するに、アニメという二次元世界を制服しにやって来た三次元人(=我々)、ということなのですね。
そしてまたブラック・ノワールは、自分は「プレイヤー」であり、舞人たち二次元人は「駒」であって、駒はプレイヤーには勝てない、と言い切ります。
ここまではメタなネタなのですが、しかし攻略法もメタになるわけではなく、ブラック・ノワールは普通に倒されます。彼の最後の台詞は…

「そうか…私も駒にすぎなかったのか…“巨大なる悪”という名の……」

しかも描写では、ブラック・ノワールはスクリーンに映った顔の映像のような姿で、舞人たち作中人物に対してブラック・ノワールの方が二次元にしか見えません

これは一体どういうことだったのでしょうか。
現実の我々も、製作者でさえも、「ラスボスを倒して終わらせねばならない」という物語の圧力には勝てない、ということなのでしょうか。
あるいは、実際に最終回をもって我々視聴者は「マイトガイン」の世界に別れを告げなければならないわけで、我々はマイトガインの世界から文字通りに「撃退された」のかも知れません

これをメタ言及という視点から見るとどうでしょうか。
三次元は二次元に対して超越的な(=メタ)審級にあるわけではなく、二次元の物語の延長上に回収され、退治されてしまう、というわけです。「メタレベルの否定」は、この時点で進行していたのではないか、と思えます。
まあ、前回言及した斉藤環氏の「メタレベルは存在しない」というのが、そういうことを言っていたのかどうか分かりませんが、村上隆の「スーパーフラット」に言及しつつ、「作者も『キャラ』となって」しまい、全てが同じ平面(フラット)上に展開される、と論じていた箇所は、どうもそういうことを思わせます。

私自身は以前「魔法少女まどか☆マギカ」の作画そのものに二次元と三次元の問題を読み取っていただけに、ストーリー面でのメタ言及性の問題に行き着くとは、何やらよくでき(すぎ)ているような気がしますが…どうなるのか楽しみです。
                           (芸術学4年T.Y.)

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

実名での仕事
7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
カレンダー
03 | 2021/04 | 05
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
参考文献
私が展開している思考の拠り所など(一部)。
スポンサー広告