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こんな時だからこそのウィキリークス

デスクトップの接続が極端に遅いので、(古い)ノートパソコンをネット接続できるようにしての更新です。
無論、結果は何も変わりませんが。

ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命 (光文社新書)ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命 (光文社新書)
(2011/03/17)
上杉隆

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そもそもウィキリークスとは何であり、アサーンジとは何者なのか。
一連の騒動では何が問題となっており、アメリカを初めとする各国政府はなぜかくもアサーンジを敵視するのか。

そういった話のまとめは主に本書の前半で、後半はこの件での日本のマスコミの反応、そして記者クラブ制度への批判となっていきます。
アサーンジ氏はあくまで政府の情報公開を求め、市民の「知る権利」に応える「ジャーナリスト」を称しており、上杉氏もそれを認めた上で、政府と一緒になってウィキリークスを攻撃する日本のマスコミを「非常識」と非難します。

(……)日本のメディアだけは自ら検証することなく、「暴露系サイト」による信用ならない情報だと決め付け、実際そういう論調のニュースを繰り返し流し続けたのだ。
 (……)
 本来ならば、信憑性の問われる情報があれば、それを取材・検証するのが世界のジャーナリズムたちの仕事である。ところが、日本では新聞・テレビの大手メディアは自らそうした役割を放棄したうえに、政府と一体となって情報の信憑性にケチをつけているのだ。
  (上杉隆『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』、光文社新書、2001、pp.94-95)


ここには従来の「権力vsメディア」ではなく「既存メディアvsインターネットメディア」(同書、p.109)という状況への転換があり、新聞・テレビといった「既存メディア」は自らの立場を脅かされていることに気付きつつ、新たなライバルを黙殺しようとしている、という指摘。
記者クラブ批判はすでに著者がたっぷりやってきたことで、一度はもう手を引いたつもりだったとのことですが、結局、問題はそこに帰着してしまうとのこと。これも面白い。
たとえば、日本が「国際社会で存在感がない」と言われる理由の一つも、「記者クラブが海外メディアを排除して首相の言葉が海外に伝わらないようにしてきた」ことにある、と。

 九〇年の湾岸戦争で日本は計一三五億ドルも拠出したが、クウェートが米紙に掲載した広告に日本の名前がなかったため、「人を出さないと国際貢献として認められない」と解釈された。
 しかし、この事件の真相は別のところにある。実はクウェート側の担当者が日本の援助を知らなかったのだ。当時の外務省記者クラブ(霞クラブ)は、外相記者会見から海外メディアを締め出していたために、BBCや「ニューヨーク・タイムズ」などの世界的メディアは日本の戦費負担を報じることができなかった。
  (同書、p.107)


……ここで思うのですが、「戦時中は言論統制があって、戦線で負けても勝った勝ったとばかり報道されていた」と小学校から教えられていますよね。その後に「今は違う」と言いたいなら、それこそ…。「大本営発表」は当時から変わらず、ということです
しかし、言論統制ができるかと言うと、もう昔のようにはできません。
実際、今はどこの新聞も購買部数が落ちていると言いますが、それも当然、インターネットメディアの台頭で、多くの人がこういう実態に気付いてきているからではないでしょうか。インターネットメディアにも不正確な情報やひどいものもありますが、少なくとも政府発表一本じゃありませんから。
学校で生徒に新聞購読の課題を出したりして延命を図っても、もう悪足掻きというものです。

本書を読み、そんなことを考えているところでアメリカがオサマ・ビンラディンを殺害のニュースです。
無抵抗な相手を殺すことについては、先にそれをやったのはビンラディンの方だという言い分もあるでしょう。
しかし、その時の映像を公開できないというのは…何やら大っぴらにできない、後ろ暗いことがあると思わせるには充分です。
まだまだウィキリークスには活躍してほしいところですね。
ついでに日本関係の外交文書も公開されて、日本政府も揺らいでくれた方がいいと思うのですが。

ちなみに、アサーンジ氏の「性的暴行」容疑についても本書では述べられていますが…

 ひとりの訴えは、アサーンジとの性行為の最中に避妊具が破れ、そのままの状態で続けたというもの。もうひとりは、就寝中に二回目の性交を共用され、その際にアサーンジがコンドームを使わなかったというもの。しかも、二人はセックス自体は合意の上で、ともに女性のほうからアプローチしたことは認めている。
 (……)
 ちなみにスウェーデンでは、女性が求めたにもかかわらずコンドームをつけずに性行為に及ぶと刑法に触れ、再考で約六万円の罰金刑を受けるという。だが、それで身柄を拘束されることは珍しい。にもかかわらず、アサーンジは十一月三十日、インターポール(ICPO=国際刑事警察機構)に国際指名手配され、十二月七日に滞在中の英国で出頭、逮捕されたのだ。
  (同書、pp.14-15)


ゴムを付けなかったからインターポールに手配されるというのは、別の意味で歴史に残る椿事ですね。
これが別件逮捕というものであることは言うに及ばず。
                           (芸術学4年T.Y.)

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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