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人と人と繋がりのために駆ける――『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』8巻

アブラムシの話の続報――ぼちぼち、テントウムシの幼虫を見かけるようになりました。今までは小さかったのでまだ見えなかったのかも知れません。
黒光りのするテントウムシの成虫も見ました(交尾していました)。
それから、クサカゲロウの卵――いわゆる「優曇華(うどんげ)の花」も見かけました。
 画像はGoogleで→クサカゲロウ 卵

 ~~~

さて、店頭から品切れになっていましたが、ようやく手に入れました『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』8巻
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈8〉 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈8〉 (電撃文庫)
(2011/05/10)
伏見 つかさ

商品詳細を見る

本作(の第1巻)の内容については、別の話からの流れででしたが、少し触れましたね。
主人公にして語り手は平凡な(はずの)高校2年生・高坂京介。その妹の桐乃は華やかで成績優秀、陸上部で活躍すると同時にファッションモデルのアルバイトとしているという中学2年生…なのですが、実はアニメとエロゲーのオタクという裏の顔も持っていました。たまたまその「秘密」を知られてしまったことから、桐乃はほとんど口も聞かないくらい仲の悪かった兄に「人生相談」を持ちかけ……それを受けた京介は桐乃のオタク友達を見付けたり、親や友達の偏見と戦うため策を練ったりと奮闘することに……
…とまあ、「“オタクの生態と周囲の偏見”を巡るコメディ」とでも言うような感じの作品でした、当初は
人物描写も、現実にありそうとは言わないものの、比較的地に足の付いた感じで、個人的にはいわゆるアニメ絵のイラストに結構違和感があったくらいでした(構図まで含めて非常に上手いのは確かですが)。
それが次第に登場人物が壊れたり(京介も変態化が進行)、地の文にもオタクネタやネットネタが出るようになったり、かなり暴走が進んできた印象があります。
そもそもストーリーからして、桐乃(実の妹)と黒猫(その友達)が京介を巡って争うなんて、初期からすれば恐ろしく遠くに来たのではないかと思うのですが。……いや、こう言ってしまうと少なからず語弊もありますが、その実態は読んでのお楽しみということで。

それはさておき、京介が桐乃の「人生相談」を受けて、問題解決のために何をしてきたかを見ると興味深い。何しろ、最初の桐乃のオタク仲間探しの件でも、まずは幼馴染みの麻奈実に(出所は隠して)相談しています。その後の様々な件に関しても、結構な率でさらに別人に相談しています。かつてはその偏見と闘わねばならない相手だった父親に相談したことも。
後は…かなりの率で自分が泥を被ることになっていますね。策がご都合に上手く行っていることも少なからずありますが。
実際、特別な才覚を持つわけでもない京介には、まずはそれくらいしかできません。

桐乃はそのお陰で、オタクをやりつつ普通の学校生活も楽しみ、陸上部でもモデルでも活躍しています。少なくともオタクを隠した「表の顔」とオタクとしての「裏の顔」、細かく分ければもっと多くの顔があることになりますね。
京介はオタク趣味を認めない父親に対し、「この全部が桐乃なんだよ!」(1巻p.255)と迫りますが、複数の顔を持つ「この全部」の結節点は、ある意味では桐乃自身である以上に京介なのです
それはまさしく、京介が西の問題を東に持って行って相談し、北と南を和睦させるべく奮闘してきたからに他なりません。

しかし、桐乃はそんな兄に対して態度が悪く、暴力的で、――少なくとも初期は――タイトルに言うほど「可愛く」は見えません(そういうタイプが好きならそれでもいいんですが)。
そんな妹のため献身的になる京介には今ひとつ共感できない…というのも事実でしたが、しかし、“そんなの”でも「頼られたからには、困っているのを知ってしまったからには、放ってはおけない」という心情も、分かる気はします(矛盾するようですけれど)。
何故そこまで? ――と問われれば、「嫌いでも、仲が悪くても、妹だから」というのが変わらぬ――と言うより、8巻現在でますます強固になっている回答のようですが、それだけとも言いきれません。一時期桐乃がいなくなり、黒猫の友達作りの面倒を見ていた時も、相変わらずでしたから(黒猫に言わせれば、京介は自分を「妹の代わりにしている」ということになるのですが)。
放ってはおけないものは、放ってはおけないのです。本人に「放っておいて」と言われようと。

かくして、オタクと非オタク、はたまたオタク内でも異種族といった、臨戦態勢の国境を越えて(この比喩が必ずしも冗談でないことは分かる人にはお分かりでしょう)、和平のため、京介は戦場ネゴシエーターのごとく駆ける――この作品は、ほとんどそう形容したくなることがあります。

ここでようやく最新刊の話になりますが、随分と桐乃の態度も軟化、今回は京介に理不尽に当たるシーンがほとんど見られませんでした。兄妹の仲も接近しましたね。まあ、あくまで健全な兄妹関係だとの主張ですが、今後どう動くかは不明です(正直、近親相姦に向かうようなタイプの作品だとは思いませんが……はてさて)。
8巻のメインは恋愛話ですが、その話は今回は無しです。
ただ、上記の視点で見ていると、8巻ではそもそも、京介が他人のために奔走していないのがこと目立ちます。自分の恋愛でドキドキしたり、悩んだり、兄妹の仲の変化を改めて感じていたり…。
その代わり、今度は京介が自分の問題を人に相談したり、周囲が京介のためにあの手この手を尽くしたりしています。
桐乃や黒猫のために奔走することを通して、京介自身も多くの人間関係を手に入れていたのであって、その報い――という印象も強い巻でした(まあその分、人生に厄介なオプションがついて回りそうな感もありますが…)。
                           (芸術学4年T.Y.)

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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