オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
授業方針
今週は3年生が修学旅行ということで、3年生の担任の先生の授業は自習になります。
その自習時間は他の先生が必要に応じて「買う」ことができます。美術の授業も遅れているクラスの自習時間をいただき、通常の授業と合わせて、今日は計4時間授業をやりました。
その内の2つのクラスからは、それぞれ15枚以上の感想文を貰いました。温かい励ましや高評価は嬉しいですし、厳しい忠告は謹んで受け取りたいと思います。
中には、「美術の授業は嫌いだったけれど、先生の授業で興味を持てた」という趣旨の感想もいくつか見られました。
これは本当に、授業をやった甲斐があったと感じる時です。
さて、ちょっと調子に乗って内容の話をしますと、題材は自画像と名画の模写でした。
私の在学していた頃とはカリキュラムが大きく変わって、比較的自由度の低い題材ですね。
日本の美術教育は「自由画」が推奨されていた時期が長かったこともありますし、特に小学校の先生は美術が専門でもありませんから(音楽にはたいてい専任教員がいるんですが)、あんまり技法的なことは細かく指導されないことが多いんですね。私の生徒時代を思い返してもそうです。
しかし、さらに思い出してみると「どう描いていいのか、分からない」ということは多かったのではないかと。“ヘタに描きたい”という人を自由にさせるのはいいんですが、ほとんどの人は「上手に描きたいけれど、やり方が分からない」のであり、つまり「どう描けば“上手”であり、どう描けば“下手”になるのか、分からない」のだと思います(さらに言えば、「やり方が分からない」ことと「才能がない」ことの区別が付かない人が大部分です)。
――といった考えに基づき、私は全体に向けての話でも個人指導でも、基本的な技法を指導することにしました。今回は題材も幸いしましたが、もっと自由度の高い題材だとしても技法指導の方に持って行ったでしょう。
もう一つ言うと、学校のわずかばかりの美術の授業だけで「上手く」なろうと思ったら、それこそ並ならぬ才能が必要です。
本学のような美術系大学の実技専攻は二浪、三浪が珍しくないところで、要するに、毎日描いてばかりという生活を何年も続けるわけです。逆に言うと、それだけやれば「当初は下手だったのが見違えるほど上手くなった」という例も出て来ます。
そんなに練習できないのであれば、結果の「上手さ」には限度があります。
が、それでも、「こんなやり方があり、こんなものの見方がある」ということを知るのは、糧にはなるかと思うのです。
そんな方針でやった授業がある程度の成果を挙げたとすれば、これに勝る喜びはありません。
(芸術学4年T.Y.)
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