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業界生き残り戦

ちょっと昔の話になりますが、鈴木みそ氏の漫画『銭』は連載開始時からリアルタイムで読んでいました。

コミック 銭 1巻 (Beam comix)コミック 銭 1巻 (Beam comix)
(2003/09/26)
鈴木 みそ

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(導入に当たる第一話を除いた)最初のエピソードが「漫画雑誌の値段」で、これがなかなかインパクトがありました。
マイナー漫画雑誌――月刊誌ならほとんど――が雑誌単体では赤字で、単行本の売り上げでそれを埋めているという話です。具体的かつ詳細なデータ(どう見ても掲載誌であるコミックビームの内情)を挙げているだけによく分かります。
一タイトル大量に売れるヒット作が出れば一気に余裕が出て、その分新人発掘に力を入れることができるのですが、そうでないとどうしても一定の売り上げが見込める作家に頼まざるを得ない――この辺は、読者として雑誌に掲載される作家の面子を見ていても、ある程度分かることですよね。新人とベテランのバランスを取るのはどこでも大事ですが、それがなかなか難しい、と。

別のところで聞いた話ですが、出版業界そのものが自転車操業なんですね。
要するに、本は出版した時点で出版社にお金が入る、返本分は後から返す、というシステムなので、新しく本を出して前の本の出費を埋める限り、資金繰りを続けられる、というわけです。
出版不況で本が売れない、と言われつつ粗製濫造の本が大量に出続けているのは、そういう事情だったわけです。
もちろん、だんだん赤字がかさんでいったらいつ倒れるやら分かりませんから、弱小出版社の倒産など珍しくないわけですが。しかし、一冊ヒット作が出ればしばらく長らえられることも容易に分かるわけで、どこもそんな「ヒットの引き当て」を期待しつつ生き残りレースを続けていることでしょう。

さて話は戻って、『銭』掲載当時(いやその前後もずっと)、コミックビームはいつ休刊するやら分からないと関係者自ら煽り、「日本一読者に心配されている雑誌」とも囁かれていました。
実際、マイナー漫画雑誌がいつの間にか休刊しているのも、よくあることでして。
しかし、いいところでヒット作が出て、今に至るまで続いているんですね。今ではメディアミックス作品もそこそこ出て(深夜アニメが増えすぎたせいもあるのかも知れませんが)、系列誌も刊行し、今すぐ潰れるとは思われないくらいになりました。
親会社がエンターブレインという大手のお陰もあるかも知れませんが、作家の発掘元もマイナー作家だったり同人だったりと色々で、編集者の漫画眼が只ものでないのも分かります。

『銭』に登城する『コミックブーム』編集長(モデルはそのまんま、コミックビームの奥村氏)の台詞によると、雑誌の赤字を埋めるためには、単行本の売り上げは「1冊あたりノルマが3万部」「50万部も出るキラー作品は最近は月刊じゃ聞かねえけどな」

ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』、まさかの1巻平均70万部超え……
(公称部数と実売部数の差はありますが…)

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)
(2009/11/26)
ヤマザキマリ

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                           (芸術学4年T.Y.)

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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