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レオナール・フジタ展

先日、松坂屋美術館で開催さていれた「レオナール・フジタ展」に行って来ました。
傘を忘れて、取りにまた行く破目になったりしましたが…それはおいておきまして。

デッサンを見ると明らかなんですが、輪郭線がくっきり描かれていて、後は身体の凹凸に沿って陰が入れられている。この陰の濃さにはそう多くの段階は無いんですね。陰影のグラデーションで立体の量感を表現する西洋絵画の常識的なデッサンとは全く違うものです。これは油彩画についても同様ですね。
ですから「日本画の手法を取り入れた」というのも分かるんですが、ではそれがヨーロッパで絶賛されたのは何故かと言うと、容易には分からないものがあります。あの時代には色々と新しい表現が出て来ましたけれど、新しければ何でも良かった訳ではないでしょう。キャプションでは何度も「乳白色の肌」のことに触れていましたけれど、これも藤田の作品が他の「白い肌」とどう違うのか言うのは簡単ではないでしょう。(微妙な色合いの問題を言葉に置き換えるのが困難なのは当然ですが)
まあ、この2つの点を合わせて、「一面乳白色の地にグレーでいくらかの陰が入っているだけ」という表現を見ると、それは普通でないのは一目瞭然です。しかしそれが「なぜ良かったか」と言うのは難しい。

ここで「(今の我々にとって)良い」ということと「(当時の人にとって)良かった」ということの違いも気にしておく必要があるでしょう。美術史というのは作品・作家の歴史的な意義、つまり「当時の人がどう考えて描き、どう見ていて、どう影響を与えたか」ということも問題にしますけど、一方では後世の立場から俯瞰して見るのが「歴史を書く」作業でもありますし、第一現代的な見方が入らないというのは不可能でしょうね。今の私にこの辺の複雑な事情を言い表せるとは思いませんが。
「歴史的価値」か「作品自体の価値」か、価値をどこに見出すか、というのは厄介な問題で、時々触れていた美術批評の問題とも関わってくると思うんですが、それは機会があればまた。
                           (芸術学2年 T.Y.)

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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