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応報

昨日触れたアクセス解析の件ですが、どうも実際データが来るのが遅れていただけらしく、今日見るとここ数日分のデータがままとめて来ていました。

 ~~~

さて、一昨日の記事「オウム真理教」から16年から少々続きます。

まずは大田氏の『オウム真理教の精神史』第5章の記述に基づく話ですが、オウム真理教では1988年に、修行中の事故で信者の真島照之が死亡するという事件が起こっていました。

 今から振り返ってみれば、真島の事件は、オウムの組織がうまく機能しないこと、そして麻原の能力が虚偽に過ぎないことを如実に示すものであった。というのは、幹部たちは麻原の命令に忠実に従い、真島の状態を把握できずに死に至らしめてしまったからであり、また麻原も、最終解脱者として人の生死をコントロールできると言いながら、死にゆく真島に対して何もすることができなかったからである。実はここでオウムは、幻想を捨てて現実に立ち帰るための重要な機会を得ていたわけだが、麻原は現実を見つめ直そうとはせず、幻想をさらに肥大化させる道を選ぶ。麻原は真島の事件に対し、「これはヴァジラヤーナに入れというシヴァ神からの示唆だな」とつぶやき、事件を隠蔽するためであれば手段を選ばないということを決意する。
 (大田俊寛『オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義』、春秋社、2011、p.239)


 よく知られているように、麻原が説法において好んで繰り返した言葉は、「人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対死ぬ、死は避けられない」という文句であった。こうしてオウムは、人々に剥き出しの死の事実を突きつけることによって多くの信者を獲得したが、その活動において結局は、死にまつわる数々の幻想を弄ぶことに終始し、人の死をどのようにして弔うかという、古くかつ新しい問いに対して、適切な回答を見つけることはできなかった。真島事件の経緯に端的に示されているように、信者の死に初めて直面した麻原は、彼の死を弔う方法を見出すことができず、その死体をやむなく秘密裏に遺棄するしかなかった。そして、現実から目を背けた麻原は、むしろこの事件から、自分は人の魂の行方を支配することのできる全能者である、ゆえに自分が日本の主権者になる必要がある、それを妨げる邪魔な人間はすべて抹殺しなければならない、という妄想的世界観を肥大化させた。そして彼は、オウム信者以外の日本の全国民を「剥き出しの死体」に変えることを目指す道を歩き始めたのである。
 (同書、p.278、強調は原文では傍点)


ふと、ここで思い出したのが、ふたたび京極夏彦氏の『魍魎の匣』です。
作中での暫定的な定義によれば「宗教者」ではなく「霊能者」ですが、人の不幸を箱に封じ込めるという「穢れ封じ御筥様」が登場。
しかし、憑物落としのため御筥様のもとに乗り込んだ京極堂は、「魍魎は箱に封じられてなどいない」「この部屋は魍魎でいっぱいだ」と言い……

魍魎の匣 憑物落とし1

魍魎の匣 憑物落とし2
 (原作/京極夏彦・漫画/志水アキ『魍魎の匣』4巻、角川書店、2010、pp.26-27)

「他人の苦しみや不幸をこんなに集めてしまってどうするんです?
これをひとりで背負い込んで平気でいられる人間などいない」


もちろん、これは京極堂ならではのハッタリで、教主達の身に起こっていることが実際ただちに霊能者としての活動を関係があるとは限りません。
ただ、これは確かな指摘でもあるのです。

信者達は財産を手放して御筥様に渡して、それで自分が救われていると思っていられるなら良い、とも言えます。
しかし、それを引き受けるというのは、いかに恐ろしいことか。

「死」についても、同じことが言えるでしょう。
もちろん、「人の代わりに死ぬ」ことはできません。
ただ、死はつねに「生きている者にとっての死」であり、宗教は生きている人達の「死に対する態度」に関わるものです。
結局、宗教というのは、死に向き合う人達を後ろから支えるような形で、いわば間接的に人々の「死を引き受けている」ようなものです。
できもしないのに引き受ければ、必ず報いを受けます。

これは何もオカルトな話ではありません。
実際、麻原の場合、それは「自分は人の魂の行方を支配することのできる全能者である」という誇大妄想をなって帰り、周囲にまで災厄を振り撒くに至りました。
(できれば、“罰”は本人にだけ当たってほしいものですが、そうは行かないのがまた恐ろしいところです)
                           (芸術学4年T.Y.)

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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