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日常の中で不意打ちする変化

今日は時間帯によってはかなりの風雨で、大学図書館も休館とのお知らせ。交通機関も止まったりしたようですが、夜になった今はもう(我が家の近辺では)風雨ともに止んでいます。

しかし我が家の門前には水が溜まります。ここに排水溝が通っていないのは欠陥設計ですね。

 ~~~

何度も同じ相手を仮想敵として取り上げるのも芸がないとは思いますが、使いやすいのでついついやってしまいます。

大森〔望〕 僕も『けいおん!』があんなに大ヒットになったのは驚いた(笑)。ここまでなんにも起きなくていいのかと。
佐々木〔敦〕 『けいおん!』も『らき☆すた』も元は4コマ漫画ですよね。つまり、『あずまんが大王』以後の萌え4コマの想像力がラノベに流入していったのが、現在の流れとは言えないですか?
大森 そうですね。『ハルヒ』にしても、短篇だとわりあい平凡な日常を書いているから――『けいおん!』に比べれば波瀾万丈の事件が起こってますけど(笑)。――短い話ならキャラだけでも成立する。でも、長篇では、つねにSF的な大きな出来事が核になる。たわいない話で長篇一本書いてしまえないところがオールドクスールたるゆえんでしょうか(笑)。たぶん、いまのライトノベル読者にとっては、『驚愕』日常パートの、SOS団入団試験が延々と続くみたいなものがストライクなんだろうけど。
佐々木 それで僕は気になってることは一つあるんですけど、大したことが起こらない日常が何となく続いてくだけでいいという無意識が受け手の側にあるとするならば、なぜ、「エンドレスエイト」のアニメ版はあれほど批判されたんでしょう? 僕はあれこそ理想形なんじゃないの?と思うんですけどね。
大森 やっぱりそれをそのままのかたちで真っ向から突きつけられたくはないんじゃないかな(笑)。ああいう実験的な試みは、むしろ日常の否定につながる。
 (大森望・佐々木敦対談「涼宮ハルヒは止まらない!」『ユリイカ臨時増刊号 総特集 涼宮ハルヒのユリイカ』、青土社、2011、p.17)


確かに「日常系」は今や大きな潮流ではありますが、両氏はそれのみが「今のライトノベル読者」にとっての「理想形」であるかのように語り、『このライトノベルがすごい!』2011年号の1位が『とある魔術の禁書目録』(鎌池和馬)だったことも、一頃は『IS(インフィニット・ストラトス)』(弓弦イズル)がどこのライトノベルコーナーにも平積みにされていたことも無視しています。
さらに、どことなく侮蔑的な調子も感じられます。
しかし、最大の問題はそこではなく、「日常」という誰もが知っているものに対する捉え方です。

アニメ『涼宮ハルヒ』の「エンドレスエイト」は、作中で時間がループするというネタに対応してほぼ同じ話を8回ループ放送したものですが、同じ日付を持った同じ出来事が何度も生じるというのは、どう考えても日常には決して起こり得ません。

大森氏は「むしろ日常の否定につながる」と言ってはいますが、その理由はあたかもファン自身が望んでいるものを「そのままのかたちで真っ向から突きつけられた」から、と言っているようです。そうではなく、元々「望んでいるもの」ではなkったというだけのことでしょう。

つまり、日常というのはただ単に同じような出来事が繰り返すものではなく、何気ないように見えてもそのつど変化、新しさ、驚きに満ちている、ということです。
もっと言うならば、「何か劇的な事件が起こる」と「何も起こらない」の二分法こそが問われるべきなのです。

以前、前島賢氏が新聞の書評でライトノベル『僕は友達が少ない』を取り上げて、これといった事件が起こるわけでもないこの作品を「ライトノベルに慣れていない読者にとっては戸惑うかもしれない」と言い、しかしこれこそが「日常系」の最先端である、という旨を書いていました。
ライトノベルに馴染みのない読者を想定した書評として的確だと思いますが、しかし「これと言った事件が起こらない」ことは「何も変化しない」ことと同義ではありません。

『僕は友達が少ない』の6巻については、結局感想も何も書かないまま終わってしまいましたが、それは多少の戸惑いと失望があったせいでもあります。
要するに、気が付くと皆普通になった、という感があったのです。
人格の残念な変人揃いだったヒロイン達は(まったくキャラが変わったというわけではないにもかかわらず)普通の恋する乙女らしい振る舞いが増え、ツッコミ役だった主人公の小鷹は(ヒロイン達の気持ちに対する)極端な鈍感さゆえにむしろ読者が違和感を感じるレベルになり、何より初期のようにゲームで本気で殺し合い「人を殺す時だけ生きていると実感できる!!」と言っていたような毒は薄れました。

劇的な転機……もなかったわけではありませんが、それを機にガラっと変わったというよりは、日々の中でいつの間にやら…という方が相応しいように思われます。
実際、本作は大部分ショートギャグ連作のような構成でありながら、一つ一つが積み重ねになっていて、多くのエピソードは順番を変えることはできません。
各巻のラストは引きになっていることが多いのですが、では次巻でそれを受けて大きなイベント炉なるかというと、そうでもありません。
しかし、これを「肩透かし」と思うのは、まだ「何も起こらない日常の中で、たまに大事件が起こる」というモデルに囚われているからなのでしょう。
実際には、日常は常に不意打ち的な変化の連続です。その中で、比較的大事に見えるものが巻末に来ているに過ぎません。そこでふと振り返ると、大きな変化に驚かされるのです。

というわけで、『僕は友達が少ない』7巻は今月発売です。
今回はすでに今日の時点で近所の書店に見かけましたが、まあネタバレは公式発売日まで待ちましょう。
ただ、今回は上記のような「日常」と「変化」の問題がはっきりと前面に出て来た感じです。一度起こった変化が戻るわけでもなく、やはり初期に比べれば毒は弱まったままですが、笑えるところは健在で、それなりにシリアスな展開もあり、十分に満足できる巻でした。

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                           (芸術学4年T.Y.)

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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