オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
ライトノベル紹介――『おと×まほ』
これもどう語ったものかと思いましたが…
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タイトルで分かった方はさすが、そうでなくてもAMAZONでレビューを見ればお分かりの通り、男の魔法少女、それゆえのタイトルです。
主人公の白姫彼方(しらひめ かなた)は12歳の中学一年生(1巻開始時点で)。身長はクラス一低い上、腰まで届く長い銀髪と女の子にしか見えない容姿の持ち主。
ある日、母親の白姫此方(しらひめ こなた)に「魔法少女になってね♪」と言われ、強制的に契約させられて…
ついでに、家で飼っていた金色の猫・モエルが喋れることも発覚。魔法少女のマスコット。王道ですね。(年齢も、中学一年生の後半からというのは、王道の「14歳」「中学二年生」を若干繰り上げたもので、融通の範囲内でしょう)
今やライトノベルは女装・男の娘・性転換ネタの実に多い業界です。それがメインの作品でなくても、ある程度続けていればこの手のネタが投入されるのは珍しくありません。いつからこうなったのか、私の知るところではありませんが、本作は少なくとも、「男の娘」なる言葉が普及する以前(※)から4年半に渡ってこのネタをメインに書き続けています。
※ Wikipediaによれば、「一般の印刷物やテレビで」取り上げられ始めたのは2009年頃からとのこと。
作者も、
もちろん、頂いたご意見はしっかりと心に受け止めております。
そこで自分なりの考えを述べさせていただけるのであれば、“白姫彼方には一つにとどまらずありとあらゆる可能性を与えてあげたい”といったところです。
彼方を悶えさせるためなら時空さえもねじ曲げる!
そんな意気込みをもって、これからも望んでいきたいと思っています。
(白瀬修『おと×まほ』4巻「あとがき」、ソフトバンククリエイティブ、2008、p.239)
(……)物語が動いても彼方を辱めるという根底のテーマだけは忘れないようにしますのでご安心ください。
(白瀬修『おと×まほ』10巻「あとがき」、ソフトバンククリエイティブ、2010、p.239)
と公言する徹底っぷり。
実際、彼方自身はあくまで自分は男だと強調、「男らしくなりたい」とも常々言うのですが、変身すると上記の表紙にある通りの衣装に(スカートの下はスパッツなのもことあるごとに強調されるポイントです)。
他にも何かとコスプレさせられたりでいじられます。
ストーリーは基本的には、1冊の前半が日常コメディ中心(そんな中でも敵が現れたりしますが)、後半が強敵との決戦と、これまた王道フォーマットに忠実。数巻単位で「巨大な敵」を設定した長編ストーリーが展開され、合間に時々、まる1冊短編集の巻もあります。
言い忘れていましたが、本作の魔法少女の仕事は、「ノイズ」と呼ばれる敵と戦うこと。それゆえ、正式名称は「チューナー」と言われます(ちなみに年齢制限はなく、「少女」でなくてもチューナーは続けられます。やたらと年齢のことを気にする24歳の
敵は基本的に異形のモンスターで、こちらはコメディではない不気味な存在。
また、古来魔力を扱うのは女の役割だったとかいうもっともらしい設定により、本来魔法少女(チューナー)は皆女で、男の彼方は例外中の例外という設定です。
そのため、彼方は全く魔力をコントロールできず、必殺技は一度で全ての魔力を撃ち尽くしてしまうため、途方もない威力の代わりに一度きり。性格も、難しく考えるより正面から力勝負という考え方で、そういうところは非常に少年漫画の主人公的ですね。
とは言うものの、一発限りの必殺技を活用するため工夫もしますし、それぞれに固有の武器を持つ仲間の魔法少女も登場、仲間と力を合わせたりパワーアップイベントがあったりもして、戦闘シーンもそれなりに工夫されていますね。
そして、彼方は主人公らしく、苦戦したり一時戦闘不能になったりしても、大一番では勝って決めます。
なお、上記のような設定により、途中から登場する仲間の魔法少女も全員女の子です。その他に、ストーリーに関してはあまり役に立たない日常パートの友人や、人外の仲間も登場しますが。
そして定番で、彼方もモテ(もしくはいじられ/セクハラされ)ます。
しかしそんな中、11巻で二年生に進級した彼方の前に、二人目の男の娘、野々下深未(ののした ふかみ)が登場、なんと同居することに。
向かって右が深未です↓
![]() | おと×まほ 12 (GA文庫) (2010/12/16) 白瀬 修 商品詳細を見る |
学校や会社、満員電車や混んでるエレベーターの中などで読むときは気をつけて下さいね。
もし見られてしまった場合の対処としましては、表紙を見せつけて「これ両方ともオトコだぜ?」で決まりです。もう一発です。色々一発です。試しても責任は取れませんが。
(白瀬修『おと×まほ』12巻「あとがき」、ソフトバンククリエイティブ、p.299)
そんな感じです。
最新14巻は今月発売されたところ。
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漫画化もされています。これはなかなかの出来ですが、他のメディアミックスの話はあまりないみたいですね…
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(芸術学4年T.Y.)
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