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社会を生きるための力――ライトノベル『好敵手オンリーワン』

今日は卒論の諮問で大学に行ってきました。
諮問は30分程度、手短に卒論の概要を話した後、先生方から質問を受け、講評を賜るという形ですね。

この期に及んで厳しいことはそれほど言われないことが多い……ようですね、周りの話を聞く限り。厳しく言われるのは書き上げるまでの指導過程でして。私は書式等の問題もあまりありませんでしたし。
来週は音科の実技試験週間で授業はなし、再来週に一つ試験があるにはありますが、大した相手ではありません。したがって、後はほとんど成績が付くのを待つだけです。

 ~~~

会社経営者と言いつつ、株を所有するだけの仕事に移行しているところが多いという話ではありますが、(一冊の厚みも考えて)兼業作家にしてはかなりの筆の速さ。『羽月莉音の帝国』の最終10巻より一足早く、至道流星氏の新作です。

好敵手オンリーワン1 (講談社ラノベ文庫)好敵手オンリーワン1 (講談社ラノベ文庫)
(2012/02/02)
至道 流星

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今回、久々に裏表紙のあらすじをそのまま引用してみることにします。

桜月神社の一人娘、桜月弥生。天都教会の一人娘、天都水貴。近隣でも有名な美少女二人と孝一郎は幼なじみである。家族のように仲良く過ごしていた三人だが、孝一郎の不用意な一言をきっかけに、二人はことあるごとに対抗するようになる。テストの点数、体育の授業、ラブレターの数まで、ありとあらゆることで勝負を繰り広げる。そんな不毛な争いに審判役としてつねに巻き込まれる孝一郎だが、二人を止めるためのとっさの一言から、さらにやっかいなことに、それは「どちらの家がより資金を増やせるかを勝負する」というもの。[……]


最後の一文の唐突さに仰け反ったら普通の感性の持ち主です。
まあたしかに、他のことに比べれば「どうでもよくない」勝負内容なのは事実ながら……

というわけで、いつもの通りの至道氏のビジネスラノベです。
モチーフが宗教団体だけに、「信者から金を巻き上げる話か?」と思いますが、別に胡散臭いセミナーを開講したりするわけではなく、副業で起業します。
ただ、すると気になるのが税制です。(「坊主丸儲け」とはよく言ったもので)宗教法人が税金で優遇されているのは比較的有名な話ですが、副業には課税されるのではないか……と、その辺もちゃんと解説があります。勉強になりますね。

才色兼備で押しの強いヒロインが引っ張る形でビジネスを推進する構成とキャラ配置も相変わらず。ただ今回はダブルヒロインというのが特徴ではありますが(しかし、二人のヒロインの差別化は若干弱いと思われるかも知れません)。
とすると、個々の作品の特徴付けとして、まずはビジネスアイディアの内容があります。本作では今のところ、そこまで斬新なものは出ていませんが、宗教法人の本来の業務(神社のお札販売や教会の結婚式)と連動させるという、それなりに興味深い話も出て来ます。

そして、ヤクザと揉めたりするのも恒例です(おそらく、作者の実体験に基づいているのでしょう)。
が、その辺で本作のさらなる特徴が見えてきます。
ヒロイン二人は何をやらせても並外れた能力を持っているとされてはいますが、まだまだ経験の浅い高校生です。アイディアは良く実行力もあっても、世の中は厳しく、悪い奴がいます。
世界一の天才だった『雷撃☆SSガール』の凛や、冒険家の娘として修羅場を潜ってきた莉音に比べれば彼女達はまだまだ未熟で、社会の壁を前に苦戦したり、負けを取り返せなかったりする場面も出て来ます。作者あとがきに、

 このシリーズの主人公たちは、ちょうどぼくが高校生くらいのころと同じように、まだまだ社会に踏み出したばかりで、右も左も分からない状況から試行錯誤し始めたところと言えるでしょう。彼ら彼女らは今後さまざまな見聞を通して、きっと大きく成長を遂げていくことになります。[……]
 (至道流星『好敵手オンリーワン』1巻、講談社、2012、p.291)


とある通りの話です。
と同時に、それを通じて主人公の存在も浮かび上がります。やはりラブコメ主人公らしく徹底して鈍く、ヒロインにこき使われる体質の孝一郎ですが、ここというところでかなりカッコいいところを見せます。それに、ヒロインたちよりも危険に対し鋭かったり、堅実だったりするところもあるんですね。
才能だけでは超えられない社会の厳しさを前に挫折を味わったところで、孝一郎のアドバイスで経営の基本を確認することに立ち返り、弥生と水貴が協働して巻き返しを図っていくところが1巻の山場ですね。

たしかに、学業でもスポーツでも、そしてビジネスアイディアでも、孝一郎は凡人で、弥生と水貴にはとても及びません。しかし、世の中を生き抜くために必要な力はそれだけではないのです。

そんな駆け出し起業家たちの物語です。
                           (芸術学4年T.Y.)

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