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間違いだらけの人生と将来への態度

昨日、先生に言われました。

「この研究はここ10年くらいで非常にレベルが高くなってますから、やるんだったらこれから5年10年そればっかりやるつもりで、かなり必死でやらないといけませんよ

少し補足しておきますと、私のように興味を持つ対象の範囲が広いとかえって何を専門にするか迷うことを、そしてあんまり迷っていると研究者として認められるような業績を挙げるには間に合わなくなることを先生は心配している訳です。
少子化でこれから大学の先生という職の間口が広がるとも思えない当今、院卒者は増えて研究者の競争は激化していると言います。先生の心配は至極真っ当です。
しかし、例えば東大ならようやく専門課程への進振りが決まるかという時期に、専門での将来の業績のことを考えなければいけないとは、何故世の中かくも慌ただしく、世知辛いのかと思わずにはいられません。
今までの自分が知らない世界に踏み出していくことであるはずの「学ぶこと」までが、将来挙げる成果から逆算して計画していかなければならないというのは本当に窮屈なことです。

もちろん、東大と本学では色々な意味で全く状況が違います。第一、東大にいれば(たとえ実用性のない学問を専攻しようと)もう少し一般への就職の道も開けているのだからそこまで焦る必要もない、それをこんなところにいるのは自分の責任だろうと言われれば全くその通りです。
そもそも先生は「学問をやるからには身を捧げなければいけない」と言っている訳ではありません。ただ、一度足を踏み込んでしまうと「学問に身を捧げる」以外の仕方で生活していこうと思っても難しくなってしまうということなのです。
元々芸術大学卒というのは社会に需要がある方ではありません。その中でも美術を直接扱うのでない美学(哲学の一分野です)なんかを専攻してしまうと、学芸員(これも求人は少ない仕事ですが)としての需要もあまりなくなってしまいます。さらに学問を続けよう等と思って大学院なんかに進学してしまうと、一般企業で院卒の採用はわずかです。そんなことをしていると人生を誤ることになるかも知れない、というのはよく分かります。

もっとも、そこで間違うような人生なら、そもそも私の人生は最初から間違いで織り成されていたという思いも強くあります。
高校は進学校を出ながら大した大学に行かず中退してフラフラし、ようやく大学できちんと学んで出直そうと思えば美術史などという益体もないものを志し、さらに一般大志望から芸術大学志望へ逸れ、芸術大学の中でもまた美術から離れる方向に向かっている訳で…振り返るとつくづく、ほぼ全てが脱線で出来ているような気がします。

私の人生の間違いはともかくとして、「本当に学びたいことがあるなら、それが将来の収入に直接繋がらなくても、学べる時に可能な限り学んでおく。生活のことは考えないのではなくて、将来の収入の心配は別にする。つまり、いい職にありつけなくても、低収入でも何でも何とかうまく暮らしていけるようにする」ことを目指したいですね。「安定した道」を選んだつもりでも、何があるか分からないんですし。(この辺の話をした時父が挙げていた例は石炭業界でした。半世紀から前はとてつもなく儲かる産業でしたが、石油が普及してからは…)

まあ、この「本当に学びたいこと」というのが問題で、(これまた先生も強調されていましたが)「研究テーマを見付けること」こそ大事な課題であり、本当に難しいことですが…
加えて、「何とか(普通に社会で)暮らしていく」というのは、私にとっては極めてハードルが高いのは認めます。
                           (芸術学2年 T.Y.)

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テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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