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まあ安定しています――『人生』第2章

> ポール・ブリッツさん

> 一神教という考え方が伝来して以来、日本人が終始行って来たのは、「内面化」ではなく「本地垂迹説」的世界観と摺り合わせるための、一種の「脱構築」だったのではないでしょうか。

一神教が受容されるに当たって日本的に変質させられた、ということに異存はありませんが、そこにおいて生じるのは、受け入れる側もまた変容させられるような「地平の融合」(ガダマー)ではないでしょうか。

そしてまた、一神教が日本的に変化しており、それゆえに日本と欧米の意識の隔たりは大きいとしても、「キリスト教」内部にもまた様々な変異があります。さらにアメリカになると、相当に変質した諸流派が林立しています。
「異端」が異端とされたのも今は昔であって、正当なキリスト教からすれば異端的な思想が――様々な評価を受けつつも――世界的に読まれている現状もあります。
では実質的に、それぞれがどのように変容したのか、日本における変質とヨーロッパ内部における変質とを比較するとどうなのか、ということを示すのは今の私では任に堪えない以上、これ以上あまり有効な論は提示できないかも知れませんが、欧米のものを「キリスト教」として一括りにする一方で、日本はそこに属さないとすることがどこまで有効なのか、という思いはあります。

ポール・ブリッツさんの場合、「一神教」と「日本人」でそれぞれどのくらいの範囲を想定されているのか分かりませんが、前々回に取り上げた八木雄二氏の文章にしても、日本人の「神」概念には異議ありですが、中世カトリック教会の中心にいた神学者たちの書いたものと現代日本人との間の隔たりを強調するという文脈から考えるなら、そのことに異を唱えようとは思いません。ヨーロッパにおいても今は「キリスト教信仰は盛んでない」ことも確認されています。
ただ、話が広がって「日本人一般」と「西洋人一般」を対置するような論を見ると、それは現実を単純化した上で自らの特権性を確保せんとする願望の産物ではないか、と思えてくるのです。

裏を返せば、それぞれの範囲を適切に考えた上でその差異を具体的に捉え、強調することが有効だとは、私も思います。

 ~~~

さて、先日発売のライトノベルです。

人生 第2章 (ガガガ文庫)人生 第2章 (ガガガ文庫)
(2012/04/18)
川岸 殴魚

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1巻発売時にも紹介した『人生』の第2巻です。
あらためて思うのですが、本作の主人公・赤松勇樹は

・強烈な個性の三人娘の話し合いをとにもかくにも仕切り、(毒にも薬にもならないとは言え)ちゃんと解答としてまとめている。
・梨乃の誕生日にサプライズパーティーを企画したり、今回は三人を合宿に誘うべく手を尽くしたりと、割と積極的。
・そのために合わせた相談を選ぶなど頭も使っている。

と、スペックもそこそこ高い好人物なのですが、それでも影が薄いのは、やはり変人揃いのコントの中で常識人だからでしょうか。
イラストも前巻では巻頭の4コマでデフォルメされた1コマ、今回もわずか1枚のイラストの背景に小さく登場しているだけという不遇さです。

とにかく、今回は第二新聞部の夏合宿で、それと共に第一新聞部志乃・くみ・よしたかの三人を相談員として揃えたパクリ企画をぶつけてきて、人生相談で対決となります。
勇樹と彩香部長以外は幽霊部員の第二新聞部、ということから、第一新聞部はもっと大きくてまともであることが想像されましたが、実は第一新聞部部長の浅野浩太の方が全てにおいてバカで残念な人物でした。
金にモノを言わせて嫌がらせをしてくるのに悪役に見えないくらいにバカです。
『邪神大沼』の姉小路を思わせる存在なので、これからもかき回し要員として登場しそうですね。

『邪神大沼』からお馴染みの、マニュアル的フレーズを異なる文脈に放り込み、別の意味を成立させてしまうデペイズマン的手法のギャグも健在です。

浅野と第一新聞部のお陰でギャグもますます密度を増した感のある2巻ですが、ラブコメ等の要素もほんの少しだけあります。
今回スポットが当たったのは表紙も飾っている文系担当・ふみですね。
文系というよりもボケキャラの印象の強かった彼女ですが、今回は歴史ネタの使用頻度が増加、持ちネタを確保した感あり。同時におじいちゃんも登場して、合宿に行くため皆でおじいちゃんを説得する展開もあり、クライマックス(第一新聞部との対決)でも一応決めています。
これで恋愛のフラグが立ったかどうかは微妙なところですが、それを気にしている描写のある梨乃の方のフラグは確実のようです。

帯コメントは渡航(わたり わたる)氏。

人生 第2章 帯

他の作家(多分同レーベルの)からの相談が帯に載るんじゃないかとは思っていましたが、同期デビューで今やレーベルの看板になりつつある渡航氏でしたか。本文中にも同氏の相談がある他、やはり同レーベルの大谷久氏の相談もあります。
読者公募の相談もちゃんと使用されている模様。

そうそう、前巻では本文中に言及がなく、しかもイラストによってあったりなかったりした梨乃の眼鏡について説明があったりと、イラストからの逆輸入およびそれへのフォローが見られましたね。
同じようなことは『僕は友達が少ない』でもありましたが……ともすれば、それをやっている端からまたイラストレーターが本文と食い違うことを書いてしまったりするわけですけれど。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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