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ひとりシェアドワールドは何をもたらすか――『アリス×アカデミィ』&『ありす×ユニバース』

京大の文学部では、各専修の授業は多くが学部生・院生合同なのですね。
愛知県芸では専門講義・文献購読ともに一応学部・大学院で分かれていたのに(まあ学部の授業に院生も参加していたり、あるいは読む外国語によって分けていたりするケースもありましたが)……こちらの方が資金も人手もありそうなのに
しかも、授業は基本的に院生対象。
学部1回生は教養課程として、2回生からを対象とした各分野の導入的な講義がありますが、その後はいきなり院生向けの授業に放り込まれて、そのギャップは自力で埋めてください、というのが自学自習という京大的伝統です。
ただ、今では昔のようには行かないこともあり、少なくとも私の所属する専修では、数年前から間を埋める演習を始めたと。……数年前になってようやく、というのは驚きました。

愛知県芸でも、ことに語学は教養の(他所より緩い)授業と専門の文献購読の間で明らかなギャップがありましたが、先生の裁量で、受講生の顔ぶれを見て読むテキストを決めたりしていましたからねえ。こちらはそこまで受講生が少なくないので。

 ~~~

竹本泉氏の漫画「レディ☆タンポポ」は、これも23世紀ものの一つで、祖父の跡を継いで宇宙海賊になってしまう女の子が主人公の話でした。
単行本『ちまりま わるつ』に収録されているはずです。

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そんなわけで、『ミニスカ宇宙海賊(パイレーツ)のアニメ化(アニメのタイトルは『モーレツ宇宙海賊』)に伴って設定を見た時にまず連想したのも「レディ☆タンポポ」でした。
まあ珍しい設定ではないのかも知れませんが。

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『ミニスカ宇宙海賊』の場合、かつての戦争時に発行された「私掠船免状」によって海賊が制限つきで認められていたりと世界観も作り込まれ、一介の女子高生であった主人公が海賊になる過程もなかなか丁寧に描かれていたりするのですが、他方で、人類が異星に入植して、高校のヨット部で宇宙船を操縦する世界でも自転車で高校に通うんだなあ、等と思わないでもありませんでした。
まあ、学制や日常生活の移動手段まで「未来的」なものを設定すべきか、そもそも「未来ではこうしたことが変化するはず」という発想自体がステロタイプに堕してはいないか、というのは難しい問題で、安易に良し悪しの言えないことでもありますが。
ただいずれと評価するにせよ、この点において、竹本氏は「未来では現代と常識が違う」様を実にさらっと描いてしまうことがあって、油断できない作家だと思っています。

 (実はここまでが前置き)

そんな中、モーレツ宇宙海賊の放送中にあって以下の新作ライトノベルの「キャプテンはJK」というサブタイトルを見ると、連想しないわけには行きませんでした(あとがきによると、書かれたのはだいぶ以前のことになるようですが…)。

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本作の主人公・西園寺ありすは現代世界の女子高生ですが、突然パラレルワールドに飛ばされ、そちらの世界の住人であるアリス・サイオンジの代わりで宇宙海賊船の船長になってしまいます。
死んだ親族の跡を継いだわけではないものの、船長の資格として血筋が必要、というのも上記2作と共通する設定です。

しかもややこしいことに、本作は「ひとりシェアドワールド」(p.260)で『アリス×アカデミィ』と同時発売という仕様です。

アリス×アカデミィ -彼女のついたウソ- (GA文庫)アリス×アカデミィ -彼女のついたウソ- (GA文庫)
(2012/04/16)
関 涼子

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こちらは逆に、入れ替わりで現代世界に飛ばされた宇宙海賊の船長、アリス・サイオンジを中心にしたストーリー。
主人公はこちらの世界の住人ですが、「人が今までついた嘘の数が見える」という特殊能力を持つ少年・的井歩吹(まとい ふぶき)で、それが異世界から来たアリスと出会って……という、オーソドックスな「現代学園異能」系の物語になっていますね。

すでに指摘はありますけれど、どちらを先に読んだものか分からないという点でいささか不親切な仕様で、含まれているネタバレの性質を考えると『アカデミィ』を先に読むのが妥当ですね。

それを踏まえて――二つのパラレルワールドのそっくりさんが交代することでそれぞれの世界で平行して起こっていることを描いているわけですが、『アカデミィ』は異世界からの来訪者と出会った“この世界(=現実に近い世界観の世界)”の住人が主人公、対して『ユニバース』は異世界に飛ばされた“この世界”の住人が主人公が主人公なわけで、両者は対称ではありません。
もちろんこれは、読者に近い位置にいる人間の視点から世界観を説明していった方が馴染みやすい、という叙述上の配慮に基づくものでしょう。『アカデミィ』の方が、アリス以外は主人公の知っている世界の知っている人々で、世界観の説明もあまり必要ない分だけ人物描写が豊富で、その点でも『アカデミィ』を先に読んだ分かりやすいですね。

ただその結果、ある事態が生じています。
ありす/アリスのみならず、基本的に両世界には共通する人物がある程度対応するポジションで存在していて、『アカデミィ』の主人公である歩吹は『ユニバース』では海賊船の航海士フブキであり、、高校の生徒会「エスツェット」とその主要メンバーは敵対する海賊団で、生徒指導の龍平真人たつひら まひと、通称マジン)先生は宇宙警察の刑事マジン、という具合です。
しかも宇宙警察の制服が龍平先生のジャージだったり、お隣のヨシコ・コマツバラさんが宇宙船をドッキングして乗り込んで来て肉じゃがを持って来たりするので、ツッコまないわけにはいきません(大体、移動可能名な宇宙船で「お隣さん」とはどういう意味なのか…)。
そもそも宇宙海賊や警察と一つの学校が対応していること自体、真面目に考えれば「何だそりゃ」と言いたくなります。
気風のいい女主人公が設定そのものにツッコミを入れるコメディのノリ等は、どこか『魔よりも黒くワガママに魔法少女は夢をみる』辺りを想起させないさせないでもありませんが、とかくなかなかに楽しく読めまました。

今回の長い前置きも、単なる連想ということもありましたが、まさに世界観の問題に触れる意図もありました。
この『ありす/アリス』は、『アカデミィ』の方で比較的真面目に現代学園異能を展開しつつ、『ユニバース』ではその雌型となる世界観そのものにツッコミを入れている風なところが感じられます。
と同時に、2つの世界での人物の対応にズレが生じているところがあって、それが敵の正体や目的等にも関わってくる物語の核心部分となります。

これはもしかすると、かくのごとき現代学園異能もの/異世界ものを成り立たせる世界観というものをラジカルに掘り下げる作品となり得たのかも知れませんが、そこまでは至らなかった印象です。
敵に関する事情や、そもそもアリス/ありすの世界移動を起こしたキーアイテム「クリュプトン鉱石」のこと、あるいは歩吹の能力のことなど、明かされないことが多いまま続くという内容になっているせいもあるのかも知れませんが。

今のところはまずまずながら特筆するにはあたらず、今後次第ではもしかすると…というところでしょうか。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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