オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
絵巻物の超展開
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遣唐使として唐に渡った吉備真備が活躍する物語ですが……この内容がなかなか凄い。
まず、史実では真備とともに遣唐使として派遣され、かの地で一生を終えたはずの阿倍仲麻呂がなぜか唐人に殺されて鬼(=幽霊)となって登場します。
この物語はフィクションです。実際の人物・団体・事件・国際政治等には一切関係ありません。
その後の内容もかなりのものです。何しろ、どうやって牢から脱出するかと問われて真備、「われ飛行自在の術を知れり」。
空を飛んでいるビジュアル等と合わせて、いかにも漫画的な感覚です(別にご都合主義でいい加減な展開だとバカにする意味ではなく)。
私としては、現代のアニメや漫画、あるいはライトノベル(文章に絵が付いているという意味ではこちらが近いのでしょうか)をこうした作品と結び付ける発想にただちに与するわけではないものの、こういうのを見るとなにやら通じるものをは感じたくもなります。
ちなみに、この絵巻において「唐人」は基本的に悪役で、真備を牢に幽閉し、文書(『文選』)を読ませたり囲碁で勝負したりして試して、恥じをかかせようとします。
この物語はフィクションであるものの、とかく唐人に舐められないような存在にならねば、という平安の読者の感覚をここに読み取ることはあながち見当違いでもないでしょう。
遣唐使から無事帰国し、後に日本で出世したほぼ唯一の人物である吉備真備が主人公に選ばれているのも、おそらくそのためと思われます。
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今読んでいる本。
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著者の肩書きからしてまず「昆虫料理研究家」とあります。
各国の昆虫料理やら、様々な虫の味の評価表やら、昆虫食に対する人々の意識やら、漫画や映画に描かれる昆虫食の描写やら……と話題は多岐に渡ります。
私も長野に行くとしばしば蜂の子やイナゴを買って来ますが……

こんな風に料理(この場合は寿司)に虫を組み込まれるとかえって食欲が失せる気がするのは気のせいでしょうか。
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