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慌ただしい変遷

私が小学生の頃は女子の体操服はブルマでした。
あれって形はパンツだよね、と思わなかったわけではありません。
その後、私が中学・高校と男子校にいた間にブルマーは全国的に廃止されたようです。
リアルタイムでそのニュースを耳に入れていたかどうか記憶定かでありませんが、30年以上も続いていたものがきっかけがあれば10年かそこらで全国的に廃止されるというのはかなり不気味な話でもあります。

……と前置きをしてみましたが、今回はブルマの話ではありません。ブルマフェチの方はまたの機会をお待ちください。
むしろ、『女学校と女学生』で制服に関する参考文献として挙げられていた以下の本に関係する話です。

ブルマーの社会史―女子体育へのまなざし (青弓社ライブラリー)ブルマーの社会史―女子体育へのまなざし (青弓社ライブラリー)
(2005/04)
高橋 一郎、谷口 雅子 他

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本書はブルマだけでなく、明治から現在に至る女子学生の服装の変遷とそれにまつわる問題をもっぱら「体育」との関係において論じています。
明治からの学校制服そのものも問題になるのは、そもそも(「体操着」の登場する以前から)制服というものが体育をやるための動きやすさと関係していたからです。

 いかがわしく恥ずかしい存在であるはずのブルマーはなぜ、かつてのわが国の学校体育界を支配しえたのだろうか。ブルマーのこの強力な権力作用は、いかにして発動しえたのだろうか。(……)
 (高橋一郎「はじめに」『ブルマーの社会史―女子体育へのまなざし』、青弓社、2005、p.9)


といった記述を見れば想像がつく通り、少なからずフェミニズム色の見える著作ですが(ただし、5人の論者によってかなり違いはあります)、しかしそのことが主題の興味を損なうことはありません。
写真やカリカチュア等、図版も多く掲載されていて、服装の具体的なイメージがよく分かります。

以下は1877(明治10)年から1894(明治27)年までの東京女子師範学校(現在のお茶ノ水女子大)の学生の服装の変遷です。

明治女子学生制服
 (同書、p.25)

まずは男物の袴を着用させたがこれが非難を浴び、江戸時代以来の着流しに戻り、鹿鳴館時代には洋装を推進し、また着流しに戻り……この後、1900(明治33)年前後にようやく、「女袴」(左右の足が分かれていないスカート型のもの)が登場します。
女学校制服の変遷については、以下の書中の「学校における制服の成立史」という論にさらに詳しい記述があり、こちらを読めば、セーラー服型制服のプリーツスカートが女袴に起源を持つことも分かります(なお、こちらもやはり『女学校と女学生』で参考文献として挙げられていたものであることを付記しておきます)。

教育の文化史〈2〉学校の文化教育の文化史〈2〉学校の文化
(2005/03)
佐藤 秀夫

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しかし、上の写真に見えるような、20年かそこらの間の目まぐるしい移り変わりを見ると、――社会全体が大きな変革を行っていて、試行錯誤の時期であったことを勘案しても――場当たり的との印象を禁じえません。

制服というのは身体に対する一つの管理である――そうでしょうとも。
しかしその「管理」は誰が手綱を取り、どこに向かわんとしているのか。
誰も分からないままやって来たのではないか、そう考えるとブルマの採用と廃止にしても……

稀に見る変革期であったけれども、同時に明治維新を成し遂げた「英傑」達が政治の中心にいた当時と比べて今がマシになっているかと言えば、私は楽観的には見ません。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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